補助金の中ではメジャーな、2021年度IT導入補助金の公募が4月7日からスタートしています。
募集期限は2021年5月14日 17:00までとなっております。
そもそも、IT導入補助金とは?
概要をまとめると、下記の通りです。
- 中小企業(個人事業主含む)全体にとって、「ITツールを通した業務効率化」に対し支給される補助金
- 30万円~450万円の範囲で、IT投資額の半分~3分の2が補助
- 補助分は後で支払われる仕組み
- 制度を活用する上では、「IT導入支援事業者を通して」ITツールの導入を行う必要がある
- 自社のみで導入したもの、既に導入したものは対象外
- IT導入支援事業者を通してITツールの購入等を行う必要がある
- IT導入支援事業者は事務局によりリスト化されている
- 登録事業者に相談し、IT導入を行う必要がある
- 「IT導入支援事業者」は、ITツールの提案・導入及び経営診断ツールを利用した事業計画の策定の支援、各種申請等の手続きのサポートを行ってくれる
- 注意点として、IT導入に掛かる全ての費用が助成対象となるわけではない
- 「IT導入支援事業者が事務局に登録し、認定を受けたITツールのみ」が、IT導入補助金の補助対象となることに、留意する必要
- IT導入支援事業者は、「ITを使っていかに業務を効率化・高収益化するか」に対する解決策を提案できる事業者が多く登録
- 自社だけであれこれ考えるケースと異なり、自社の課題・改善点を伝えることで導入支援事業者は、「ITを使ってこのような効率化ができますよ」と提案してくれることが望める
- IT導入事業者はそれぞれ強みとする分野がある
- オールマイティに対応できる、ハードウェアに通じている、Webに通じている、各種業務管理サービスに通じているなど、得意分野が異なる
- リストにある事業者を検索し、強みがどこにあるかを見定める
- 地方の場合はオンラインで提案をしてくれる事業者・同じ地域内で訪問がしてもらいやすい地元の事業者を検討する
IT導入補助金2021の補助金助成額・助成割合は?
- 通常型A類型→30万~150万円(2分の1以内補助)
- 通常枠B類型→150万円~450万円(2分の1以内補助)
- 低感染リスク型ビジネス枠C類型→30~450万(3分の2以内補助)
- 低感染リスク型ビジネス枠D類型→30万円~150万円(3分の2以内補助)
(通常枠と低感染リスク型ビジネス枠は後ほど解説)
IT導入補助金2021の大まかな流れは?
大まかな流れを書くと、IT補助金2021のサイトにアクセス、
- 公募要領を確認
- よろず支援拠点・商工会・商工会議所・ITコーディネーターに相談し、IT導入支援事業者の選定を行い、当事者間で協議の上使用するITツールを選択
- 「gBizIDプライム(詳細はリンク先の記事で解説)」アカウントの取得(未取得の場合、2~3週間掛かるので大急ぎで!)
- 「SECURITY ACTION」宣言を行う(ITを扱う上で基本的な事項です)
- IT導入支援事業者と書類を共同作成・提出(提出・責任は補助金を受ける申請者が負う)
- 「交付決定が出た後に」ITツールの発注・契約・支払い(補助事業の実施) (交付決定の連絡が届く前に発注・契約・支払い等を行った場合は、補助金の交付を受けることができなくなるので注意)
- 事業実績報告
- 補助金交付手続き
- 事業実施効果報告
以上の流れとなります。
特に、公募要領に関しては、事業者が注意しなければならないポイントが多く書かれていますので、しっかりと読み、理解する必要があります。
IT補助金2021は、新型感染症の影響を踏まえ、通常枠と低感染リスク型ビジネス枠の2つの枠が存在します。
2つの枠の概要を整理します。
IT補助金2021補助金通常枠の概要
通常枠のポイントをまとめると、下記の通りとなります。
- 従来のIT補助金を承継した仕組み
- 費用の1/2、最大450万円を補助
- 様々な業種・組織形態に対応、応募可能
- 調達・物流などのロジスティクス、総務・人事・給与計算等のバックオフィス、顧客対応や販売支援などのセールス・マーケティング・CS向上など、自社の課題にあったITツールが導入できる
- 「IT導入支援事業者」が申請・手続きをサポートしてくれるため、自社だけで導入する際の抜け・漏れが発生しにくく、現状の課題に即した提案をしてもらえる
IT補助金のページに掲載されている具体例を見ると、下記のようなITを通した効率化が行われています。
- 介護事業者:書類ベースでの事務作業が多く残業が増加、介護という本来の業務が圧迫→訪問介護支援システムを導入、ICE他でヘルパーの訪問介護サービス状況時間を自動で把握、事務処理をIT化→書類確認などの事務作業がなくなり、介護というコアの部分に時間を割けるように。又、ペーパーレス化が進み、記録書類の保管スペースが不要に
- 建材事業者:熟練の業務担当者が交代、事務処理が遅れる。後継者問題への対応のため、ルール統一化を図ることも課題→業務フローを共有し、経営課題を把握。販売管理システムを導入。→ツールを活用し、取引先事に異なる商慣習の流れを一元化、情報の集計・分析を行う。経営の全体上が把握でき、需要予測、仕入れ単価の推移、最適な仕入れ先選定などで売上アップに繋がる
- 医院:本院と分院が存在。患者カルテをこれまで紙で管理、保存年限は5年のため、過去の情報を確認できない問題、本院と分院でのカルテの往来、予約管理や保管スペース、紛失対応などの課題も→複数場所からカルテ内容が確認できるクラウド型電子カルテシステムを導入、本院と分院双方から確認でき、稼働しているカルテから徐々に電子化→カルテの電子化で過去の治療履歴が一目で確認可能に。予約もスピーディーになり、本院と分院で稼働に応じサポートしあうこともできるように
- 宿泊施設:夫婦のみで5室のペンションを経営。宿泊予約サイトは複数あり、掲載情報の更新に多くの時間。接客業務の中で、新たなプランのアイデアはあるが、更新に時間がかかっていた。これまでは外部のコンサルに依頼していたが、コストが掛かる上にリアルタイムでの対応も期待できない。→宿泊予約サイト一元管理システムを導入、実際の動作のスムーズさを見て導入→これまでは各サイトの情報更新で半日の時間がかかっていたが、1~2時間に短縮。更新手順についても電話でのサポートがあり。季節限定プランやタイムリーなプランの情報を宿泊がしやすくなる
- 建設業:建築物の完成イメージ・間取り・図面資料等の事前準備に時間を要し、顧客の要望に応じたプラン変更などへのスピーディーな対応が求められる状態→3次元CADを導入、外観・内観のイメージ作成、間取り、図面作成、リフォーム、燃費計算シミュレーション・顧客管理・確認・積算機能などを備え、他とのデータ連携も容易→業務フローにおいて負担が大きく、顧客獲得に大きく関わる設計計画・立案・積算・契約や顧客管理・工程管理・アフターサービスなどが効率化、売上増加と粗利改善に結びつく
この他にも、様々な業界でITを活用した事例が見つかりますが、共通するポイントは、下記の通りと言えます。
- 導入支援事業者が依頼者よりしっかりとヒアリングを行い、現状の課題を把握
- 依頼者の規模・現状・ITスキル・サービスに求めるもの・コスト等を勘案し、導入支援事業者が策を提案
- 提案を実際に受けた後、依頼者・導入支援事業者・サービス提供会社の三社が適切に連携し、依頼者がきちんとシステムを使いこなせるようアフターフォローや実際の改善状況のチェックを行う
以上のように、「導入して終わり」ではないことがポイントになります。
IT補助金2021 低感染リスク型ビジネス枠について
新型感染症対策の、低感染リスク型ビジネス枠については、下記の特徴があります。
- 補助率が最大2/3・最大450万円を補助
- PC・タブレット等のハードウェアにかかるレンタル費用も補助対象
- 複数プロセスの非対面化や業務の更なる効率化を目的とした事業が対象
- 非対面化ツールの導入が必須
- D類型に関してはクラウド対応されていることも条件
- 非対面化ツールの定義:事業所以外の遠隔地から業務を行うテレワーク環境の整備・人と人との接触の機会を減らす・遠隔でのサービス提供が可能なビジネスモデルへ転換(業務形態の非対面化)などにより、労働生産性の向上を図るITツール
このように、業務の非対面化を図るITツール導入を推進する方向で進んでいます。
(この後も更新します)