「在籍型出向」で出向元・出向先両方に賃金等の費用最大90%を助成!(日額12,000円上限)+準備費用最大1人最大15万上乗せもある、産業雇用安定助成金が今後開始予定

先日「産業雇用安定助成金」出向元と出向先双方の企業を対象とした制度が今後スタートの方向!制度開始前・12月上旬時点の出向に対する助成金は?の記事で触れた、「産業雇用安定助成金(仮称)」の具体案が出てきました。

 

まず、下記の情報は2020年12月28日に発表されたリリースによる情報であり、今後制度の変更等が行われる可能性もありますので、最新の情報に関しては、ハローワーク・顧問の社会保険労務士など専門家に確認する事をおすすめします。

 

いつもの通り、かみ砕いて説明していきます。

 

スポンサーリンク

産業雇用安定助成金のポイントは?

 

  • 事業活動を縮小している会社の雇用維持が目的
  • 雇用維持を行うために、他社に出向させた後は、元の会社に戻れるようにするのが大前提
  • 親会社・子会社・グループ会社など、いわば「身内」は対象外
  • 出向先で、別の人を出向させたり離職させるなどの「玉突き出向」は不可
  • 出向先と出向元で、人を交換するような出向を行ってはだめ
  • 期間は1ヶ月以上6ヶ月以下(ただ、後ほどのべるが、第一期・第二期と区切って、実質的に1年分までになるケースもあるかも?詳細は後ほど)
  • 他にも要件はあり、今後追加される可能性

 

など、あくまで現在仕事が喪失している産業(飲食・交通・サービス他新型コロナウイルスの影響を受ける業種)産業から今人が足りない産業に、人を出向させる試みについて、

  • これまでは出向元だけに助成金を支給していたけど、これからは出向先にも助成金を支給する

 

ことで、出向先にも受け入れるメリットを与えるのが目的です。



スポンサーリンク

産業雇用安定助成金で、いくら助成されるの?

産業雇用安定助成金では、下記の助成が行われます。

教育訓練や労務管理に関する調整経費など、出向中に要する経費の一部を下記の割合で「出向運営経費」として助成

  • 業種問わず1日12,000円が上限
  • 出向元が労働者の解雇を行っていない場合:中小企業は10分の9、それ以外では4分の3を助成
  • 出向元が労働者の解雇を行っている場合:中小企業は5分の4、それ以外では3分の2

 

就業規則や出向契約書の整備費用、出向元事業主が出向に際してあらかじめ行う教育訓練、出向先事業主が出向者を受け入れるために用意する機器や備品などの出向に要する初期経費の一部などを下記の通り助成

  • 助成額:出向元:出向先両方に1人当たり10万円を定額で助成
  • 出向元事業主が、雇用過剰業種の企業や生産性指標要件が一定程度悪化した企業である場合、
    出向先事業主が労働者を異業種から受け入れる場合、1人当たり5万円を定額で助成、つまり一人15万円の助成

 

スポンサーリンク

産業雇用安定助成金はいつからの雇用が助成対象なの?

 

  • 出向開始日が令和3年1月1日以降出向開始日以降の出向運営経費および出向初期経費が助成対象
  • 出向開始日が令和3年1月1日より前の場合、1月以降の出向運営経費のみ助成対象

そのため、既に出向を行っている企業の場合は、出向の初期経費は対象外となる方向です。

 

スポンサーリンク

従来の雇用調整助成金を利用した出向と、新制度の産業雇用安定助成金による出向では、出向元・出向先双方の負担がどれくらい異なる?

 

これまでの、雇用調整助成金を活用した出向の場合で、厚生労働省のパンフレット通り、出向運営経費で、出向元が1日3,600円を負担、出向先が1日8,400円(1日計11,000円)を負担していたと仮定します。また、前提として、出向元・出向先とも中小企業・個人事業主で、出向元が解雇を行わない、つまり最大で支給されるケースについて文章にします。

 

雇用調整助成金による場合の出向元事業主の実質負担:1,200円(2,400円が補助)

雇用調整助成金による場合の、出向先事業主の実質負担:8,400円(補助なし)

 

ということで、受け入れる事業主には、直接メリットがないよね・・・、という状態でした。

 

これが、産業雇用安定助成金だと、

出向元の実質負担(賃金負担):本来1日3,600円を支給する場合:10分の9の3,240円が助成され、実質負担は10分1の360円

出向先の実質負担(賃金負担・経費負担):出向先賃金負担を 5,400円、教育訓練および労務管理に
関する調整経費など を3,000円とした場合、10分の9の7,560円が助成され、実質負担は10分の1、1日840円

さらに、出向初期経費として、初回支給時に出向元・先双方に各10万円(一定の要件を満たす場合は5万円加算)が上乗せ、という、非常に出向元・出向先にとってメリットのある施策です。

出向が、現在の雇用調整助成金(出向)による出向元への助成措置にも該当する場合は、雇用調整助成金・産業雇用安定助成金のいずれか一方のみの助成金が申請可能で、当然ながら二重取りはできません。

 

パンフレットにも例がいろいろありますが、例えば観光業界の観光バスの会社の場合、現在は観光バスが運行しにくい状況にあります。

 

一方で、運送業界は、慢性的に人手不足。精密部品を運送する会社など、丁寧な配送が要される会社では、大型が運転でき、丁寧な運転ができるバス会社の運転手なら、歓迎できます。

 

他にも、リゾートホテルの職員を、食肉加工・販売・飲食事業者が運営するレストランに出向させるなど、「もともとの会社で培ったスキルが、出向先の会社でも活かせそう」という場合など、様々な「人出が一時的に余剰になってしまった産業→慢性的に人手不足の産業や、これから成長をはかる新興産業」への人材の出向により、「労働者の適材適所での活用」が容易になります。

 

実際、

 

先ほどの、新しい産業雇用安定助成金の条件で、例えば「ホテル会社の調理部門→高級食材の宅配会社の調理部門への出向」という形で、8名を労働日数140日間(最長期間の6ヶ月、1ヶ月23日前後勤務したと仮定)出向させたとします。先ほどの助成金の計算条件に加え、「出向先事業主が労働者を異業種から受け入れる場合による上乗せ1人5万円」が支給される想定で計算すると、

 

出向元は、まず初期経費の15万円×8人で120万円の助成

さらに、140日分の出向元負担のうち9割、3,240円×140日×8人=3628,800円の助成

計、4,828,800円が出向元に助成される計算になります。

 

さらに、受け入れる出向先は、初期経費の15万円×8人で120万円の助成

140日分の出向先負担のうち9割、7,560円×140日×8人=8,467,200円の助成

計、9,667,200円と、1,000万円に近い額が助成されます。

 

このように、出向元・出向先双方にとって、大きな負担軽減・助成が期待できる制度が産業雇用安定助成金です。

 

スポンサーリンク

産業雇用安定助成金申請の大まかな流れは?

産業雇用安定助成金申請の流れの要点を並べます。

  • まず出向予定者の同意を得る
  • 出向元と出向先の事業者で契約
  • 労働組合等との協定締結
  • 出向計画届提出や要件の確認(開始日の2週間前までに都道府県労働局またはハローワークへ提出、手続は出向元が行う
  • 出向の実施
  • 支給申請書に基づき助成金が支給(つまり、後払い

 

また、公益財団法人 産業雇用安定センター(各都道府県の県庁所在地自に事務所あり)では、出向元・出向先企業のマッチングを無料で行っていますので、余剰人材が出ているが雇用は維持したい、あるいは人手不足で受け入れ人材を探しているという場合には、ぜひ相談してみると良いでしょう。

 

この他、産業雇用安定助成金の具体的な要綱で気になる部分

 

ここまでは、パンフレットのPDFを元に解説してきましたが、補助金・助成金には、具体的な部分を定めた「要綱」も存在します。

 

流し読みする中で、気になる部分をピックアップします。

 

本助成金(出向)の支給を受けようとする事業主は、当該出向労働者の最初の出向先事業
所における出向期間を出向開始の日から6か月ごとに区分して、それぞれ第1期及び第2期
とした各期(当該期の途中で出向期間が満了する場合は、当該期の初日からその出向期間が
満了する日までの期間を当該期とする。なお、当該出向労働者の出向先事業所における出向
期間が6か月を超えて7か月以下である場合は、第1期と第2期を合わせて第1期として一
の支給対象期とすることができる。

 

パンフレットでは、産業雇用安定助成金の期間は1ヶ月以上6ヶ月以下ですよ、としていますが、上記の通り、第一期・第二期と区切ることで、最長1年にわたり助成金の対象になる可能性も「想定」できます。

ここのところが、同じ出向先に適用されるのか、されないのか、他どういう意味を持つのかは、ざっと見ではわかりませんが、気になります。

 

返還
イ 管轄労働局長は、助成金の支給を受けた事業主が次の(イ)から(ハ)のいずれかに該当する場
合には、「雇用調整助成金支給決定取消通知書」(様式第11号)により、当該事業主に対
して、(イ)から(ハ)に掲げる額に係る支給決定を取り消す旨の通知を行うものとする。また、
第1共通要領 0703 に定める不支給措置期間の通知は、「雇用調整助成金不支給措置期間通知
書」(様式第12号)により通知するものとする。
(イ) 偽りその他不正の行為によって助成金の支給を受けた場合 支給した助成金の全部又は
一部(不正発生日を含む判定基礎期間(出向の場合は支給対象期)以降に支給した額)及び
必要に応じて当該事業主以外の事業主に支給した助成金の全部又は一部
(ロ) 助成金の支給すべき額を超えて助成金の支給を受けた場合 当該支給すべき額を超えて
支払われた部分の額
(ハ) 労働基準法第26条の規定に違反して支払った手当について助成金の支給を受けた場合
助成金のうち当該違反して支払った手当に係る部分の額
ロ 助成金の支給を受けた事業主が不正受給を行った場合、上記イ(イ)の返還額に加え、当該返
還額の2割に相当する額を支払う義務を負う。

 

0802 連帯債務
イ 連帯債務
社会保険労務士、代理人又は訓練を行う者が、不正受給に関与していた場合は、申請事業主等
と連帯して、不正受給により返還を求めた額に加え、不正受給の日の翌日から納付の日まで、年
5分の割合で算定した延滞金及び当該返還額の2割に相当する額の合計額を支払う義務を負う。
ロ 連帯債務の承諾
(イ) 社会保険労務士又は代理人は、「支給要件確認申立書」(様式第1号)にて、不正受給に
関与していた場合は、不正受給額の返還等に対して申請事業主等と連帯して債務を負うこと
を承諾する旨について、記名押印又は署名する。
(ロ) 訓練を行う者の連帯債務の承諾については、「第2 各助成金別要領」にて別途定める。

 

 

持続化給付金でも散々問題になりましたが、悪質な不正の場合は1.2倍+アルファの返還になり、また他の助成金と同様、社会保険労務士等代理人等関係者が不正に関与した場合は、連帯で返す責任を負うことになります。(このリスクがあるので、社会保険労務士も、助成金申請に及び腰になるケースが少なくないと聞きます・・・。)

 

とはいえ、適正に申請すれば、大きな負担軽減が望める助成金であることに変わりはありません。

 

このように、出向元・出向先にとって、大きな負担軽減が期待できる産業雇用安定助成金、早急な開始が望まれます。



「産業雇用安定助成金」出向元と出向先双方の企業を対象とした制度が今後スタートの方向!制度開始前・12月上旬時点の出向に対する助成金は?

 

参考:厚生労働省:「産業雇用安定助成金(仮称)」PDF

同:産業雇用安定助成金要領(PDF)

同:雇用保険助成金共通要領(PDF)

タイトルとURLをコピーしました