サプライチェーンの多元化と国内回帰、同時並行の重要性と地方の活用

現在、サプライチェーン(供給網)の問題で、様々な物資が入ってこない、輸送に時間がかかるなどの問題が生じています。

2021年10月現在においては、様々な規制が出てきてもなお、中国が魅力ある製造拠点であるという点は根強く残り続けています。

Newsweek2021.10.19号では、

中国で産業の空洞化が起きている訳ではない。今年1~3月期のFDI申請は前年同期比39.9%増の463億8,000万ドルに達した。今も莫大な投資が集まり続けているのは、中国自身が魅力的な製造拠点作りに力を入れているからだ。中でも注目されるのは、広東と香港とマカオを結ぶ「大湾区」計画だろう。35年までに世界的な競争力を持つメガ経済地区を目指している

としています。

このように、中国が極めて大きな供給力を持つ国家であることは変わりがありませんが、様々なサプライチェーンの滞留発生を通し、複数の国、あるは自国からサプライチェーンを供給できるようにする、サプライチェーンの複線化が求められています。

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サプライチェーンの複線化・国内での再構築は不可欠

サプライチェーンの複線化は、現在「産業のコメ」と呼ばれる半導体分野に限りません。

食料に関しても、10月現在は海外からの輸入が滞り、鶏肉や牛肉の価格がUPしています。(一方で、コメの卸売り価格は大きく下落するなど、同じ農林水産業でも差があるのですが・・)

もちろん、工業製品の完成品から部品の一個一個など、製造分野・販売分野で求められるものも、供給が滞っているのが現状です。

JETRO(日本貿易振興機構)など公的機関も、サプライチェーンの複線化で、ベトナムから滞ればマレーシアから、台湾から滞れば国内から・・・、など、一つの国・会社からの供給網が止まる、もしくは限定されても、他の国から仕入れを行っていく、もしくは日本で製造できるようにするという形で、サプライチェーンの複線化を実現しようとする動きが進んでいます。

半導体分野では、台湾の半導体メーカー・tsmcがソニー・デンソー等とタッグを組んで、熊本に半導体新工場を設立するというのが象徴的な例と言えます。

日経の報道では、

日本の半導体メーカーの多くは先端半導体の生産に必要な大型投資の競争から脱落し、最新技術を使う演算用半導体はTSMCなどに委託生産している。TSMCによる直接投資を受け入れることで先端品の国内製造を復活させる形となる。

新工場は熊本県菊陽町にあるソニーの画像センサー工場の隣接地に建設し、24年度をめどに操業を始める。画像センサーで集めた信号の処理や自動車向けに使う半導体を生産する。

とあり、日本国内での開発力が、完全に遅れを取ってしまっていることが明らかですし、

半導体の性能やコストを左右する回路線幅は20ナノ(ナノは10億分の1)メートル台の微細加工技術を使うとみられる。世界の最先端の5ナノに比べると世代が遅れる

と、性能面でも遅れたものとなっているのは残念ですが、

日本政府は総事業費の半分程度を補助金で支援する方針だ。衆院選後に編成する21年度補正予算案に計上する。経済安全保障の観点から先端半導体を生産できる国内拠点が欠かせないと判断した。1つのプロジェクトに4000億円もの補助金を出せば異例の対応となる。

補助金の対象メーカーには半導体の国内供給を約束してもらい、契約に反して撤退する際などは補助金を返してもらう。メーカーの認定手法、国内への優先供給などを定める法律を整える。高速通信規格「5G」やドローンを開発する国内企業を支援する関連法を改正する案が有力になっている。

と、日本国内でのサプライチェーン内製化の大きな一歩として、象徴的な事例になりそうです。

国からは4000億円の投資と、かなりの金額のものになりますが、ぜひこの取り組みが成功し、国内でのサプライチェーン再構築及び海外も含めたサプライチェーンの複線化が進み、現在のような有事でも、できるだけ経済・産業を動かせる体制が作られることを願うばかりです。

また、この試みが地方全体に広がり、雇用の受け皿、税収源となるなど、国内産業の活性化も図れればと強く思います。

 

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