2021年10月からの47都道府県の最低賃金全国確定、基本28円引き上げ、29円~32円等引き上げの自治体も!(9/3)

2021年10月から、全国の最低賃金が一律28円引き上げ(島根など7県では、一部地域では28円を超える値上げ)となる方向が定まり、一部では反対意見があったものの、結局全県方針通りになりました。

この決定に対しては、各地域で今回の上げ幅に対する使用者側からの反対意見が強く出ています。

特に、コンビニや外食など、労働力の頭数が物をいう産業では、特に反対の意見が強く、またフランチャイズなどでは改善への裁量権もないので、非常に厳しいところでしょう。

今回の答申は紛糾し、地域によっては、労働側が28円を大きく超える額の引き上げを要求、経営側は雇用維持のため引き上げゼロを求めるなど、労使の意見に大幅な隔たりがある地域もありました。

島根県ではこれを上回る32円の賃上げ答申、大分県、秋田県でもこれを上回る30円、山形県、佐賀県、青森県、鳥取県では29円の賃上げ答申が行われるなど、7県では28円を超える賃上げの答申が行われた件もあります。

特に、最低賃金ワースト(792円)の県で、28円を超える引き上げが行われるケースが多いです。

一方で、経営者側にとっては、最低賃金の労働者だけでなく、他のアルバイト・パートの時給も不公平感をなくすために上昇分程度を引き上げる必要があるため、大きな負担になります。

 

具体的な賃金引き上げの答申額(=実際の値上げ幅)は、下記の通りです。

データは、厚生労働省中央最低審議会の7/16答申及び、同ページに添付されていた令和2年度地域別最低賃金額の表をエクセルに手入力、計算、加工し貼り付けました。

 

R2年度の賃金プラス賃金R3.10~の賃金
東京¥1,013¥28¥1,041
神奈川¥1,012¥28¥1,040
大阪¥964¥28¥992
埼玉¥928¥28¥956
愛知¥927¥28¥955
埼玉¥928¥28¥956
千葉¥925¥28¥953
京都¥909¥28¥937
兵庫¥900¥28¥928
静岡¥885¥28¥913
三重¥874¥28¥902
広島¥871¥28¥899
滋賀¥868¥28¥896
北海道¥861¥28¥889
岐阜¥852¥28¥880
茨城¥851¥28¥879
長野¥849¥28¥877
富山¥849¥28¥877
福岡¥842¥28¥870
山梨¥838¥28¥866
奈良¥838¥28¥866
群馬¥837¥28¥865
岡山¥834¥28¥862
石川¥833¥28¥861
和歌山¥831¥28¥859
新潟¥831¥28¥859
福井¥830¥28¥858
山口¥829¥28¥857
宮城¥825¥28¥853
香川¥820¥28¥848
福島¥800¥28¥828
徳島¥796¥28¥824
山形¥793¥29¥822
愛媛¥793¥28¥821
熊本¥793¥28¥821
長崎¥793¥28¥821
岩手¥793¥28¥821
鹿児島¥793¥28¥821
青森¥793¥29¥822
宮崎¥793¥28¥821
大分¥792¥30¥822
島根¥792¥32¥824
鳥取¥792¥29¥821
高知¥792¥28¥820
佐賀¥792¥29¥821
秋田¥792¥30¥822
沖縄¥792¥28¥820

 

正直、経営者、特に飲食・宿泊・サービス・小売業などアルバイト・パート等を多く抱える企業にとっては、「この状況で!?最低時給28円値上げ!?勘弁してくれよ・・・」という印象をお持ちの方も少なくないと思います。

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単純な賃上げがはらむ課題とは

特に、パート主婦の労働力に頼る小売・飲食・サービス業などは、夫の扶養の関係もあるので、優秀なのにシフトに入れる時間が減ってしまう、シフト減を補うための新規採用が必要になるなど、頭の痛い点も少なくないでしょう。

国側としても、最低賃金上昇に対応できるよう支援する業務改善助成金の8月1日からの改正など、措置を用意してはいます。しかし、日経ビジネスの最低賃金引き上げに潜む懸念という記事で、生産性向上措置をとっても、賃上げとの間にタイムラグが生じることを指摘、

最低賃金の引き上げが企業の生産性を高めるとは言いにくい。何もしなければ企業が利益を減らし、それが賃金に悪影響を与えるだけ。新たな付加価値をつくるわけではない。生産性向上と賃上げの間にはタイムラグがあるとの見方が強く、むしろ雇用のリスクが拭いきれない。

当然ですが、単純な最低賃金上昇だけでは、結局企業の利益が減り、タイムラグが減るということは明白です。また、最低賃金ベースでは働く単純労働者を機械やAIなどのシステムに置き換えた方がましだ、ということで、決められたオペレーション作業しか難しい人間の行き場が追いやられていくことになるため、そういう人材のリカレント教育も必要になります。

本文では、

やはり必要なのは、就労と転職の支援になる教育訓練や、焦点を絞った貧困対策、中小企業の生産性向上策など狙いをはっきりさせた政策ではないか。剛腕だけでものごとは前に進まない。

と締めています。

ニワトリが先か、卵が先かという問題があるように、賃金上昇をすれば、不採算企業が退場したり、生産性の積極的な向上が図れるというのは、一見正論に聞こえますが、賃金上昇に対する相応の措置をもっと国が打ち出していかないといけません。

また、個人個人が、自主的に自身のスキルを、「今現在に求められる物に向けていく」必要があります。プログラミングスクールや、Udemy・Youtubeの教育系動画などオンライン学習を通した学び直し、職業訓練校、もしくは大学院などでの学び直しも一つの方法ですが、学び直しは様々な意味で必須といえます。

 

ノースキルの人材、でも給与は安い状態とすると、企業は「人を使わない」方向に持っていくか、「外国人実習生・留学生の活用」など、抜け穴を見つけて最低賃金以下で働かせるという方法など、「抜け穴」探しがより進むだけです。

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生産性の向上が「人間→機械への置き換え」に至るケースも

ユニクロや一部スーパー・ディスカウントストアは、完全にレジをセルフレジとしています。

ユニクロはセルフレジへの置き換えが特に進んでおり、数台のコーナーに案内担当者が一人だけとなっています。

カゴを棚に置くと、商品のタグに含まれたRFIDから商品量・値段を全て読み取り、清算・袋詰めも自分でという形で、レジの人員を大幅に配し、他の店員は品だしや発注などの業務に対応できる環境が完成されていました。

単純に最低時給を上げた先は、「人を雇わずにすむ仕組み作り」、「コア人材のみの採用と、最小限のコモディティ人材」へ行き着くでしょう。

こういう「自動化」と「単純労働人材の行き場の喪失(もちろん、そういう人材に学び直し、高付加価値の業務に対応できるようになってもらうことは重要)」になると言えます。

特に現在のコロナ渦では、記事でも指摘しているとおり、直近の雇用リスク(今のパート・アルバイトの利用時間減少)も存在するため、企業負担・行き場を失う人材が出ないよう、公的制度での配慮が必要といえます。

また、先日の「生活保護を受けていた無敵の人」が起こした事件(詳細はかきません)が示すように、生活保護がセーフティネットになりきれていないという現状もあります。

社会から落ちこぼれた人(あのケースは本人が相当問題があるわけですが)などを、学び直しや働き場の提供で、社会に戻す仕組みの拡充は必須といえます。

 

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