電子データの請求書・領収書の電子保存義務化、2022年1月発令!WBS12/9でも特集、二年の猶予措置できたが申出必要!(12/10)

2022年1月に、請求書・領収書を電子保存することを義務づけた、電子保存帳簿法が施行されます。

この法改正で、電子保存の義務化が課せられるのですが、認知度が不十分なことに加え、データの日時を証明するタイムスタンプの具備など要件が厳格にされており、実務上間に合うのかという議論が多くありました。

日経新聞朝刊(12/6)によると、9月時点の民間企業の調査では、”企業の経理担当者の7割超が法改正について「知らない」「詳細までは知らない」と答えています。

この状況で、電子保存の義務化を特例措置なしに実施すると、総務・経理部門、その他各部門が混乱するのは目に見えています。

加えて、電子取引のデータ保存の対応状況が、税務調査の交渉材料になる可能性があることなどを、元国税調査官・税理士の松島洋氏が、エコノミストのWeb記事で注意喚起しています。

今回はこの電子保存の2年間猶予について要点・注意点・国税庁の発表などをまとめます。

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テレビ東京のワールドビジネスサテライトで、領収書電子保存の義務化が報道(12/9)

WBSで報道された要点をピックアップします。

  • 電子保存の義務化、78%が知らない、内容を知っているのは22%
  • 税制改正大綱に、電子保存の義務化の2年間猶予を盛り込む
  • 企業では、全面的に2年で整備するというのは無理という声も
  • freeeなど、電子システムを進める企業も、来年1月の前提で進めてきたのに、突然の2年間猶予に困惑
  • 企業が電子化しても、他の企業が対応しないと意味がない
  • クラウド保存でどこでも見られるのはメリット
  • 当局は徴税を強化したく、どんぶり勘定をできなくして透明化したい
  • 電子保存のマーケットは1兆円
  • 電子化は国税庁の広報不足もある

などの点が言われました。

なお、改めて書いておくと、猶予には企業や事業主からの申請が必要になり、自動的で2年の猶予になるわけではない点に注意が必要です。

 

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領収書の電子保存の2年間猶予方針・ただし手続き必要(12/8)

領収書の電子保存の義務化に関しては、発表直後から様々な議論、特に、

「準備期間が1年しかないのに、紙ベースから電子ベースに切り替えるのは短すぎる」

「違反時は青色申告を取り消す可能性があることが国税庁により言及された」

ことにより、各所で不安が高まっていました。

その中、日経12/6朝刊の記事では、2年間の猶予期間を設けることが一面左下で報道されました。

ポイントを整理します。

  • 年内に省令を改正
  • 2年間は引き続き紙での保存も容認
  • ただし、企業の申出が必要
  • 申出に応じ、税務署長が認めるかを判断
  • そのため、紙ベースの場合は必ず申出を出す必要があり、何もしない場合は電子保存の義務は生じるので注意

また、電子保存の義務化絡みの注意点として、@DIMEの記事、ツギノジダイ(朝日新聞系列)から一部追加事項を引用・箇条書きで整理します。

  • 電子取引で受領した請求書や領収書などは、これまでは印刷したうえで保管することも認められていた
  • 取引先が送ってきた領収書の電子データを、紙で保存しておくとペナルティが課される可能性があると、中小企業の現場が受け止めたため、混乱
  • 改正法の施行以降は、電子取引による請求書・領収書等の印刷保管は不可
  • 電子データのまま、データの日時を証明するタイムスタンプを付けた保存が必須
  • 電子帳簿保存法のルールに従って電子帳簿を保存していないと、後で税務調査が行われた際に、追徴課税を受けてしまう可能性が高まるとされたが、11月には追加回答で、取引情報の内容が書面を含む電子データ以外から確認できるような場合には、それ以外の特段の事由が無ければ、金銭の支出がなかったものと判断されたりするものではないと国税庁が回答
  • 電子帳簿保存法の改正後に紙で保管しても、適正な処理をしていれば、国税庁は青色申告を取り消さない方針であることを追記
  • ただし、電子化の方向性は確実に定まったため、準備をしていくことは必要になる

では、11月の国税庁の公式追加Q&Aの中から、一般の人も含め気になるであろう部分をピックアップします。

国税庁の11月追加Q&Aで提示された、よくある疑問とその回答の整理

「ダウンロードの求め」に応じることができるようにしておく場合の当該電磁的記録の提出について、提出の際のデータの形式や並び順について決まりがあるか、保存媒体自体についても提示・提出の必要はあるか

税務調査の際に税務職員が確認可能な状態で提供されれば形式や並び順は問わない。通常出力できるであろうファイル形式等で提供される必要があり。

「ダウンロードの求め」は、保存媒体自体の提示・提出までを求めるものではないが、税務調査の際には、質問検査権に基づき、保存媒体の確認を行う場合もある

 

検索要件の記録項目である「取引金額」については税抜、税込どちらとすべ
きか

基本的には帳簿と同じ金額で検索できるようにしておくべきと考えられる

単価契約のように、取引金額が定められていない契約書や見積書等に
ついては、検索要件における「取引金額」をどのように設定すべきか

記載すべき金額がない書類については、「取引金額」を空欄又は0円と記載することで差し支えない。ただし、空欄とする場合でも空欄を対象として検索できるようにしておく必要がある。

電子取引の保存方法で認められているような索引簿による方法について、スキ
ャナ保存についても適用は可能か。また適用が可能な場合に、電子取引の
ものと兼ねた一覧表や保存システムによることも可能か

一覧表を作成し、個々の保存ファイル名と対応させること(いわゆる索引簿方式)により検索機能を確保する方法は、スキャナ保存についても適用しても差し支えない。

また、スキャナ保存と電子取引に係る取引情報に係る電磁的記録の保存について、同じ索引簿や保存システムを使用することとしている場合であっても、明瞭な状態で確認でき、速やかに出力できれば問題ない。
一方で、スキャナ保存を行う場合には、スキャンしたデータのヴァージョン管理などその他の要件を満たす必要があることに留意

電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、一度、出力して書面にしたもの
を、スキャナ保存することは認められるか

他者から受領した電子データを書面等に出力して保存することは、電子帳簿保存法や他の税法に基づくものではなく、当然、その出力書面等は電子帳簿保
存法に基づくスキャナ保存の対象とならない
ただし、電子帳簿保存法に従った電子データの保存が適切に行われている前提で、それとは別に各納税者が社内経理の便宜などのために書面等への出力を行うことや、スキャナで読み取るなどの処理を行うこと自体を禁止するものではない

電子取引で受け取った取引情報について、同じ内容のものを書面でも受領し
た場合、書面を正本として取り扱うことを取り決めているときでも、電子データ
も保存する必要があるか

取引において、通常、請求書は一つであるから、正本・副本がある場合その正本を保存すれば足りると。ただし、書面で受領した取引情報に加えて、その詳細をメール本文で補足している場合等、当該電子データに正本を補完するような取引情報が含まれている場合等には、正本である書面の保存に加え、電子データの保存も必要になると考えられる

 

 

電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務に関する今般の改正を契機として、電子データの一部を保存せずに書面を保存していた場合には、その事実をもって青色申告の承認が取り消され、税務調査においても経費として認められないことになるのではないか、正直怖い

従来と同様に、例えば、その取引が正しく記帳されて申告にも反映されており、保存すべき取引情報の内容が書面を含む電子データ以外から確認できるような場合には、それ以外の特段の事由が無いにも関わらず、直ちに青色申告の承認を取り消すものではない

以上の通り、電子保存の義務化はいろいろ判断に悩む点が多いですが、税理士との連携、税務署への相談を通し、早めに対応を進めていく必要があるといえます。

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電子保存の義務化で混乱増・エコノミストの記事では具体的な問題が指摘(12/8)

電子保存の義務化に関して、実質2年の猶予ができたとはいえ、様々なところでの混乱が表面化する可能性が出ています。

“デジタル領収書”のデータ保存が義務化、プリントアウト保存ではダメ 負担増大で混乱必至か(記事)では、下記の点を、元国税調査官・税理士の松嶋洋氏は問題として指摘しています。

記事の内容全体をぜひご覧頂ければとした上で、企業や個人事業主に関わる部分の注意点が極めて多く、ポイントを抜粋します。

 

  • 電子取引、具体的には電子メールにPDFの請求書を添付してやり取りしたり、アマゾンなどで買い物した際、その領収書を電子データで取得したりする取引
  • 今までの実務では、このような取引を行った場合、その電子データを受領時にプリントアウトして保存しておけば、税務上は問題が生じないことになっていた
  • 22年1月から電子データをプリントアウトして保存することが認められないことになる
  • 真実性の確保の要件を満たす方法でかつ、一定の方法で検索できる形で、保存する義務
  • 真実性の確保の要件としては、以下のいずれかを満たす必要
    送信側でタイムスタンプが付された後の授受
    授受後受領者で遅滞なくタイムスタンプを付すなど行う
    ・データの訂正削除を行った場合に、記録が残るシステムまたは訂正削除ができないシステムを利用し、取引情報の授受等行う
    電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程の備付と運用
  • 検索の要件については取引年月日、取引金額及び取引先を検索項目として設定した上で、原則として、2以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定できるようにするとともに、取引年月日と取引金額については、範囲指定できる形で検索できるようにしなければならない
  • そのため、事務の手間・コストが相当増える
  • 現状は、そもそも電子保存すらしていないことも多いが、今後はこれらの項目もきちんと入力した上で、電子保存する必要
  • 電子保存に特化した新しいシステムを導入する方法もあれど、現状では非現実的
  • 一般的にシステムは高額であることが多いため、中小企業が導入するのは困難
  • ベンダーロックインという問題が生じる可能性も指摘
  • ベンダーのシステムを利用した後、他社に乗り換えることが困難であることを意味
  • ベンダーごとにシステムの内容は異なるため、過去に保存した電子データを他のシステムに移行する際、問題が生じる可能性もある
  • システムの導入時の検討が甘ければ、高額で使い勝手の悪いシステムを使い続ける羽目にも
  • 国税庁に標準的なシステムを作ってほしい、という要望がベンダー各社から出ているといったうわさもあるそうだが、制度がスタートする22年1月には到底間に合わない
  • 国税庁は特化したシステムを使わないで電子保存が認められる方法をホームページで公開しているが、検索要件を満たすように電子データのファイル名やフォルダー名を工夫したり、エクセルで索引簿を作ったりする必要があるため、この方法も大きな事務負担増
  • このような負担増を嫌い、電子データをやり取りする取引を減らし、むしろ紙ベースの取引に戻そうとする動きも
  • 典型例として、日本中央税理士法人の見田村元宣税理士は、「会社の備品購入をアマゾンからアスクルに変える」、という方法を提案
  • アスクルは紙で請求書をもらうことができるので、こうすれば電子保存の義務はなくなる
  • メールで送受信している請求書を、全件紙の郵送ベースとすることも今後は増えると見込まれる
  • メールで請求書を送受信した後、正本として紙ベースの請求書を発行する場合には、メールで送受信した請求書の保存義務はなくなる
  • 上記の要件を満たさない場合の取り扱いは、法律上は電子データで受領した資料の保存がなされていない、という取り扱い
  • メーラーで添付ファイルの請求書を見せたり、アマゾンの領収書をブラウザーで見せたりすることができる状況にあったとしても、経理資料が保存されていないという取り扱い
  • 領収書などの保存がなければ、適正な経理を要件に税制上の特典を認めるという青色申告の特例が認められなくなる、といった不利益が法律上は生じることになる
  • 従来と同じような処理をしておけば問題はない、といった専門家の見解も耳にするが、しかし、そう単純ではないと指摘
  • 電子取引のデータ保存の対応状況は、税務調査の交渉材料になることは間違いないため
  • 現状、不正取引を行った納税者に対し、税務署が「青色申告の取り消し」という不利益を見送る代わりに、もっと税金を納めるように指導する税務調査が横行
  • 法律上、電子取引のデータ保存は義務であるため、これと同じように国税の税務調査の交渉材料になることは容易に想像

2年の猶予は申請で可能になったとはいえ、いずれにしてもシステムを導入する必要があり、しかもその負担は事業者が負うため、いずれにしても混乱が生じる余地は多そうです。

 

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国税庁の 「法人・個人の青色申告の承認の取消しについて」の一部改正について(事務運営指針)が12月2日に一部改正(12/9)

電子帳簿保存法で、青色申告が取り消されるかもしれないという懸念が広がったのを受け、国税庁は、「法人の青色申告の承認の取消しについて」の一部改正について(事務運営指針)及び「個人の青色申告の承認の取消しについて」の一部改正について(事務運営指針)にて、下記の通り修正を行いました。

以下の対照表を見ると、下記の点が変わっています。

 

個人の青色申告の承認の取消しは、法第 150 条第1項各号に掲げる事実及びその程度、記帳状況等を総合勘案の上、真に青色申告書を提出するにふさわしくない場合について行うこととし、この場合の取扱基準の整備等を図ったものである。

個人の青色申告の承認の取消しは、法第 150 条第1項各号に掲げる事実及びその程度、記帳状況、改善可能性等を総合勘案の上、真に青色申告書を提出するにふさわしくない場合について行うこととし、この場合の取扱基準の整備等を図ったものである。

このように、今後見直す可能性を考慮するようです。

また、細かな部分ですが、

隠ぺい、仮装等の場合における青色申告の承認の取消し

隠ぺい又は仮装の場合等における青色申告の承認の取消し

と、隠蔽・仮装以外にも青色申告承認取り消しを広げているところは留意点です。

5 電子帳簿保存の承認の取消しと青色申告の承認の取消し

青色申告の承認の取消しに当たっては、電磁的記録に代わる紙等による備付け又は保存(電磁的記録による保存等の承認の取消しに伴う臨時的な出力を含む。)の有無とその程度、電磁的記録の今後の出力と保存の方法、真に青色申告書を提出するにふさわしくないと認められるかどうか等を検討した上、法第 150 条第 1 項各号の規定の適用を判断する。

5 電子帳簿保存法の要件に従っていない場合における青色申告の承認の取消し
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律の要件に従っていない場合における青色申告の承認の取消しに当たっては、電磁的記録又は電子計算機出力マイクロフィルムの備付け又は保存の程度(電磁的記録に代わる書面等による備付け又は保存の有無とその程度を含む。)、今後の改善可能性等を総合勘案の上、真に青色申告書を提出するにふさわしいと認められるかどうかを検討し、法第 150 条第 1 項の規定の適用を判断する。

このように、「今後きちんと整備をしてくれる可能性があるかも含めて考慮しますよ」と、青色申告承認取り消しの判断に関して、基準を緩め、配慮していることが伺えます。

また今後も新しい情報が入り次第追記します。

 

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