企業経営におけるコロナショックの教訓-人材・融資・給付金・助成金・補助金など、人とお金の話

2020年5月現在も大きなダメージを企業・個人に与え続けるコロナショック。

 

リーマンショック時も様々な課題が浮き彫りになりましたが、今回は完全にリーマンショックどころではない状況です。

 

この現状でいろいろ見えた問題を、今後同じような、もしくは近い有事が起こった際に対策できるよう、今回のコロナショックで見えてきた教訓をまとめました。

 

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少しでもヤバいと感じたら、銀行融資は早めに、借りられるだけMAXで、行列になる前にいち早く向かえ

この記事を書こうと思い立ったのは、ダイヤモンドオンラインに掲載されていた、ブシロード(ゲーム好き、子持ち、プロレス好きなら大抵認知している、IPデベロッパー)の創業者、木谷高明氏のインタビュー記事が教訓に満ちていたためです。(全文については、登録が必要な場合もありますが、ぜひ登録してご覧下さい)

 

切り口は、シンガポールの雇用支援制度が主体ですが、融資・海外の支援制度・人材・拠点の考え方など他の面についても言及しています。

 

まず、融資の話で、

新型コロナのリスクを見通す上で、僕のシナリオは3つありました。通常のインフルエンザのように4月になったら急速に収まっていくシナリオ。次が、高温多湿の梅雨で収まるシナリオ。そして最悪のシナリオがスペイン風邪と同じように18カ月続くというもの。来年の夏ぐらいまでは、打撃を受けることになります。

当初は3つのシナリオの確率をそれぞれ3分の1ずつと考えて動いていました。でも現状では、3番目のパターンになりそうですね。夏場に若干は収まると思いますが、結局は18カ月ぐらい続きそうです。最悪の18カ月シナリオに備えるために、僕は銀行借り入れについても1月25日ぐらいから役員会で「どんな理由を付けてもいいから、金を借りよう」と言っていました。

このように、1月の時点で、「これは有事だ」と感じ、「ともかく今のうちにキャッシュを確保する」という舵取りをした上で、

 

僕は2月17日に、ブシロードの緊急事態宣言を出したんですよ。全体朝礼で「This is war、戦争だ」と宣言して、役員にもどういう事態になるか説明した。その週末のイベントも全部中止です。

それから、当社の緊急事態宣言を出したその日に、ノートパソコンを秋葉原と新宿に買いに行かせました。在宅ワークで必要だから、これから絶対に手に入りにくくなると思ったんです。

 

事実、木谷氏の想定通り、戦争に近いような状況になっています。このリスク感覚の詳細部分はぜひ記事本文を読んで欲しいですが、1月時点で、「あ、日本にも同じ状況がくるな」とうすうす気づいていた人は少なくないかもしれません。

 

しかし、「有事が襲来することに気づいた上でシナリオを複数作り、1月~2月の時点で先回りして対策を行う、行動に移す。」、ここまでできたトップがどれくらいいたでしょうか。都内は今も緊急事態宣言のまっただ中です。イベントの中止も含め、1月~2月時点で、ここまで思い切った判断を出来る会社が、どれくらいあったでしょうか。

 

また、ノートPC不足・高騰やテレカンファレンスに使えるWebカメラ・マイクなども高騰していますが、これは木谷氏がいい意味で「オタク」だからこそ、「あ、これ中国からのサプライチェーン止まって色々足りなくなるアカンパターン」やと気づき、社員をアキバへ走らせ、物資を確保した。

 

ここも、「不足するだろうな・・・」ではなく、「PCやタブレット、Webカメラなどリモート系のアイテムは不足するだろ、今買い揃えてリモートワークに切り替えだ!」とトップが決断したから、早急にハードウェアの手当や、勤務態勢のリモートシフトなど大きく切り替えができた。

 

これも、トップマネジメントの見事な例だと思います。

 

また、シナリオを3つ想定、プランBだけでなく、多くの経営者が目を背けたい「ワーストプラン」(「プランC」とでも名付けます)も考えたのもすごい。実際インタビューでは「プランC」に近い形で現実が推移しているということです。

 

借り入れは融資枠(契約で定めた金額内であれば、審査なしで融資を受けられる仕組み)ですか、それとも実際の融資ですか。

実際にお金を借りました。融資枠は信用していないので。3月上旬に実行されて会社の借金は増えちゃいましたが、その代わりキャッシュができました。これから何が起こるかにはよりますが、僕が考えている最悪のシナリオで推移しても、2年生き残れる金額です。

信用枠(また、当座貸越など)、いわゆるクレジットラインは信用せず、キャッシュを手元に持っておけと実際の融資を実行してもらう。そして、最悪シナリオでも2年生き残れるキャッシュを手元に確保。

 

「cash is king」という言葉が多く聞かれるように、いざというとき、手元の現預金は王様です。

前に書いた日本電産会長兼CEOの永守重信氏も、同様の事をインタビューで語っています。

【衝撃】M&Aの王・ウルトラーハードワーカー 日本電産 永守氏のコロナ渦中の「利益至上主義見直し」インタビュー記事

また、永守氏も、今回の事態を第三次世界大戦と、「戦争・有事」として例えています。明確な敵のいない(新型コロナウイルスくらいしか)戦争状態なのです。

 

ここで、経営者・事業主にとって、聞きたくないけど繰り返し読みたい言葉が出てきます。

さらにインタビューを引用すると、

大丈夫です。取引先にも2月下旬ぐらいに、「今のうちに借りたほうがいいですよ」と言っていました。でも多くの人は、「キャッシュは十分にあるから」とか、「銀行との付き合いがちゃんとしているから、もしもの時も大丈夫」と言っていました。普段ちゃんと付き合っていても、人が変わるのが銀行なのにな……と僕は思いましたが、お節介だからそれ以上言わなかった。みなさん、後で悔やんでいましたね。

――上場企業とはいえ、大企業ではないブシロードは、銀行から後回しにされると考えたのですか。

当然、そうですよ。銀行の言うことは変わるものですよ。僕は、前の会社(ブロッコリー)でお金に苦労したから、なおさらそう考えます。

このように、ウチは大丈夫と考えていても、「人が変わるのが銀行」、こういうものだと割り切っておくことは大切です。

 

金融機関は、借りたお金がいかに確実に回収できるかを当然重視します。借りた先が飛べば、融資担当者や決裁に関わった人ほど冷や飯を食うことになります。金融機関は金融機関の前からのメカニズムで動いているので、ある意味、悲しいけどそういうものだと割り切る必要があるのです。誰だって、自分の保身を考えますからね。

 

なので、経済の潮目が変わり、融資の蛇口が閉まる前に、手元のキャッシュを確保しておくと言うことはとても重要になるのです。

 

また、現在の新型コロナウイルス対策融資でも、借りられないという事例が多発しており、「本当に困っている人のところにお金が届いていない」という声が様々なところで聞かれます。

 

そこは本当に他の給付金・助成金・補助金でなんとかしてあげようよ、とも思うのですが、日本政策金融公庫・信用保証協会・金融機関の融資に関して言えば、「出しました、でも回収できませんでした」となると、融資を出した担当者や役席者、支店長、審査部門などが責任を問われるわけです。

 

そうなると、人事査定上のマイナスや、時には処分の可能性など、審査を行う担当者にマイナスが降りかかります。

 

金融機関職員も、当然まず自分の立場を守る、というのがあります。半沢直樹みたいな銀行員は相当レアである、と割り切っておくことが大事です。

 

ここから得られる教訓は、

  • ○○ショックが来るな、という気配が感じられたら、いち早く融資その他でキャッシュ確保に走るり、プランを楽観・想定通り、悲観的の3プラン踏まえ、悲観的なプランでも生き残れるようにしておく

ということです。

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制度の裏技を付く方法は使わない、後でむしろ大きな問題になる

先日、あるタクシー会社が、社員の再雇用を約束した上で、一旦タクシー業務に従事する社員を全員解雇するという手法を使いました。

 

これは、雇用保険で会社都合だと、早く社員に現金が行き届くからという、制度の隙間を付いた裏技的手法で、一時は美談のように扱われたりもしました。

 

しかし時間が経つにつれ、いろいろ疑問の声も出てきます。

例えば、ITMediaの記事では、ブラック企業アナリストとして知られる新田龍氏が、

「同じようなやり方はアメリカでも行われているが、日本では法制が異なり、何も問題がないわけではない」他、いろいろ問題をはらむ手法である旨を書いています。

 

ここに、全員解雇タクシー・ロイヤルリムジン 失業保険巡り「不適切文書」という文春砲がぶち込まれます。

 

ロイヤルリムジンのグループ会社「ジャパンプレミアム社」が解雇の際、一部従業員と「再雇用」を前提として退職の合意書を交わしていたことが「週刊文春」の取材でわかった。これは失業保険の不正受給に当たる疑いがある。

 

とし、その後の様々なゴタゴタについて記事にしています。具体的にはリンク先を確認いただきたいですが、この会社の場合は、最初と後の対応が異なることも大きく問題視されています。

 

このようなケースで、制度として、裏技的な手法を使うと、やり方によっては様々な所から「砲撃」を食らう可能性があります。

 

やはり、裏技・禁じ手(ストレートに言うと、グレー・ブラックな手法)ではなく正攻法の中で、打ち出せる手を考えることが、後から致命傷を負わないためにも重要です。

 

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弁護士・税理士などの専門家・商工会議所・よろず相談窓口などとのコミュニケーションが大切

上記のように、最初緊急避難的にとった方法が、後から問題になることも多々あります。

 

そこで大事なのは、きちんとしたバックグラウンドのある専門家や団体、プロのアドバイスを受けられるよう、日頃からコミュニケーションを取っておくことです。(もちろん金融機関もです。)

 

なお、各種地域の経営相談窓口に関しては、下記のリンクをご参照下さい。

新型コロナウイルス経営者向け相談窓口ー中小企業庁・日本政策金融公庫・商工会・商工中金・信用保証協会・よろず支援の窓口まとめ

 

なんのバックグラウンドもない、派手な事ばかりを出してくる怪しいコンサルに騙されてはいけません。人間、追い込まれると判断力が鈍り、そういう手合いに手を出してしまうことも想定できます。

 

特に企業やある程度の個人事業主は、税理士に依頼していることが多いため、融資や、補助金・助成金などに通じていますし、「経営者保証に関するガイドライン」に対応するための協力なども受けやすいと思われます。

経営者保証ガイドラインは、

  • 一定の経営状況をクリアすれば、経営者保証の解除や保証債務履行時に必要な生計費や自宅を手元に残せる可能性がある
  • 活用して代表者の個人保証を貸付から外すことが出来る
  • 引き続き経営に携わったり、再起を図れる可能性がある
  • 中小企業だけでなく、個人事業主も活用できる

など、メリットが多い手法です。(ただ、経営と個人の分離が明確にできていることが重要で、その他の要件に当てはまる必要もあり、また専門家の協力を強く受けて進める必要があります。)

 

中小企業・個人事業主にとって、この「経営者保証に関するガイドライン」を意識して、専門家と共に体制を作り上げることは、重要といえましょう。

 

このような、「王道の手法」についても、存在を認知しておき、特に中小企業や個人事業主は積極的に活用することが望まれます。

 

まだ記載したい点が多くありますので、改めて後ほど追記する予定です。

 

 

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