土地家屋を手放せば残債免除のノンリコース型住宅ローン「リバース60」は、住宅販売・リフォーム・サ高住事業者にとって提案の切り口になる

新築・リフォームの需要は大きく、かつ2021年は自然災害も多い1年となったため、自宅の建て直しや改築の需要も相当あると考えられます。新築やリフォームを手がける会社にとっては、お客様が利用できる住宅ローンの提案は非常に重要な要素になります。

そんな中で、アメリカでは一般的だが日本では進んでいない「ノンリコース型住宅ローン」が、日本でも商品化されるようになりました。

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リコース型ローンとノンリコース型住宅ローンの違い

ローンにおいて、今の日本では「リコース型ローン」が一般的です。

「リコース」というのは「さかのぼる」という意味です。

リコース型ローンの場合は、担保を処分しても返済できない分は、自分で返さないといけません。

そのため、特に高齢者世帯は、後に借金を遺してしまうことを敬遠し、住宅ローンを使った家の改築やリフォームに対し、及び腰になります。

ですが、ノンリコース型ローンの場合は、「非遡及」、つまりさかのぼらないローンです。

具体的に言うと、所定条件に当てはまる(リバース60については、債務者ががお亡くなりになる)場合担保を処分して、そのお金を借金の返済に充てた上で借金が残った場合でも、残債を請求されることがありません。

残りの債務が免除される形になります。

(ただし注意点として、免除された部分は「債務免除益」として一時所得扱いとなり税金がかかる可能性があります。この点は、ノンリコース型ローンを組む前に。税理士・税務署とよく相談することが重要です)

現在、ノンリコース型ローンというのは少なく、最近出ているものでは住宅金融支援機構が運営、各銀行・信金・信組などが窓口になる「リバース60」という商品くらいです。

 

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なぜ日本でも静かにノンリコース型ローンが始まったか

アメリカなど海外の一部の国では、ノンリコース型ローンというのは比較的多く(リコース型住宅ローンも存在します)、返せないときは物件を手放せば良いという形になっています。

実際、アメリカの場合は不動産価格が上がり続けている事や、人に対して貸すと言うより物件に対して貸す意識が強く(それゆえ、ノンリコース型住宅ローンの場合はアプレイザル、つまり不動産物件の価値鑑定が重要になるわけですが)、特に都市部ではノンリコース型住宅ローンが一般化していると言われています。(逆にいうと、アメリカでも地価が安い地方は、リコース型が多いという話も)

ノンリコース型住宅ローンは、一見借り手にとって有利な仕組みに見えますが、金融機関側から見ると、当然貸し倒れと担保割れのリスクは大きくあります。

そのため、金利が通常の不動産ローンより高かったり、物件の「土地に価値がある」地域でないと適用されにくいケースもあったりと、やはり借り手のメリットの裏には理由があるわけです。

日本では、土地の価値が地域で二極化している事や、過去の銀行の担保・債務者属性・保証人重視の延長線上で住宅ローンが利用されてきました。そのため、ノンリコース型住宅ローンは一般化しませんでした。

しかし、これから紹介するリバース60は、「住宅支援金融機構」が、金融機関側と「融資保険契約」を結びます。この保険料を支払うことや、資金使途、貸し出しリスクを考えて、通常の住宅ローンよりは金利が高くなります。

融資保険契約を締結することで、相続人からの回収が見込めないことがわかった場合、住宅支援金融機構が残りの債務を「保険金支払い」という形で補填します。

そのため、銀行側は債権を確実に回収することができます。

住宅支援金融機構が担保物権を土地・建物の売却により回収します。(売却益が出て、借入金額より多い価格で売れた場合は、余剰分は相続人に)

そのため、銀行側にとっては、審査・条件こそ厳しいが、住宅支援金融機構に引き受けて貰えれば回収できないリスクもなくなり、債権保全の心配をせずに済む、優れた金融商品なのです。

ただし、現在は「ノンリコース型住宅ローン」という仕組み自体が、マス層になかなか認知されていません。

アメリカ等と違い、日本は債務者(多くは世帯家計を中心に支える人・連帯債務者が補償対象)が団体信用生命保険(団信)に加入する仕組みがあるため、万一生計中心者が死亡、重大な障害を負うとと、その時点で住宅ローンの返済は免除されます。

アメリカの場合は団信という仕組みが一般的ではない(保険制度はあるけれども、使われないケースも多い)ことも、ノンリコース型住宅ローンが多い要因の一つと想定されます。

リバース60の場合は、加入者が60歳以上であることを前提としているため、団体信用生命保険で引き受けられる健康や、収入があるケースはまれです。

そのため、代わりに土地家屋で債権保全を図るという形で、リバース60という商品が設計されたと言えます。

今後ノンリコース型住宅ローンの存在が多くの人に認知・利用されるようになると、リバース60だけでなく、他の形でのノンリコース型ローン商品が出てくる可能性もあります。

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「リバース60」とは

リバース60は、名前からもわかるとおり、60歳以上の人に向けた住宅ローンです。60を超えても、家の改築やバリアフリーのためのリフォーム、サービス付き高齢者住宅への入居一時金、子ども夫婦の自宅の建設に対する資金援助など、資金需要が発生します。

リバース60は利息だけを払い続け、借り入れた人、夫婦の場合は双方が亡くなった時点で、土地家屋を処分する仕組みとなっており、毎月の返済負担が通常の住宅ローンより抑えられます。

ただし、元本を全く払わず、亡くなった後に請求するという形ですので、総支払額は通常の住宅ローンより高くなる可能性があります。

その反面リバース60は、ノンリコース型住宅ローンであるため、土地家屋の実際の売却額が下がって、残った債務を返せなくても、そこの部分は相続人に請求しませんよ、となります。

(もちろん、相続人が債務を返済すれば、土地家屋が処分されることはありません)

ただし、土地家屋に担保価値がつくことが必要なため、立地等などの要素で、使えないケースもある(特に地方)ことは想定しておく必要があります。

 

 

 

 

 

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