土地登記が義務化へ!相続登記などで住所・氏名など名義変更発生後3年以内(個人・法人の名義変更は2年以内)に登記が必要、相続発生時・引っ越し・結婚・本社移転や代表取締役変更時は要注意

本日は祝日ですが、様々な方にとって、今後注意が必要となる法改正が検討されているので取り上げます。

 

2021年2月11日経新聞の一面に、「土地登記 相続3年内に 法制審答申 違反なら過料(10万円以下)」という記事がありました。

 

本来、相続による所有者の変更や、土地所有者の住所・氏名(結婚・養子縁組などによる改姓や様々な事情での改名も含む)変更時は、法務局に「土地所有者が変更になりましたよ、住所・氏名が変更になりましたよ」ということを「登記」する手続が必要になります。

 

原則、法務局への登記を扱う司法書士に依頼(土地の分筆・合筆などを伴う場合は土地家屋調査士に依頼)するか、自分で手続するかが必要なのですが、これまでは登記の義務はなく、罰則もありませんでした。

 

例えば、現在は資産価値のない過疎地の土地や山林、利用しない空き家や区分所有の土地などの相続登記を行おうとすると、手間とお金がかかります。

また、昔の田畑・山林などは、境界・測量その他、様々な意味で曖昧ですので、専門家の土地家屋調査士に依頼する必要があるケースも少なくないでしょう。

 

司法書士・土地家屋調査士に依頼する場合に、専門家報酬がかかるのは当然として、自分で行う場合にも、登録免許税がかかります。(参考:法務局・登録免許税はどのように計算するのですか?)として、

 

土地の売買
平成31年4月1日から令和3年3月31日まで 1000分の15
土地以外の不動産の売買 1000分の20

個人が一定の要件を満たす住宅用家屋を購入した場合には,市区町村長などが発行する証明書を添付して,購入から1年以内であって令和4年3月31日までの間に所有権の移転の登記を受けるものに限り,その要件に応じ,1000分の1から1000分の3までの税率に軽減

 

相続又は法人の合併による移転及び共有物(その共有物について有していた持分に応じた価額に対応する部分に限る。)の分割による移転は1000分の4,贈与や財産分与などその他の原因は1000分の20

 

相続登記の際は、固定資産税評価額×税率(原則1,000分の4、贈与や財産分与などの場合は1,000分の20)の費用がかかります。また、免税措置もあります。

 

このように、費用が掛かる上に、手続も複雑と言うことで、「もういらない土地だから、相続登記もったいないし面倒だわ」と、相続登記が行われず、土地の所有者などの権利関係がどんどん複雑になっていく・・・、という現象がありました。

 

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今後、不動産の土地の相続・登記はどう変わる?

一言で言うと、「手間・お金がよりかかり、放置するとよりやっかいなもの」になります。

 

具体的に変わる点を整理します。

不動産登記懈怠の罰則と、懈怠を防ぐための措置

  • 不動産の土地相続時は、取得を知ってから3年以内に登記申請違反時は10万円以下の過料
  • 10年間、遺産の配分が決まらない場合、法定相続と同様の割合で分割
  • 住民基本台帳ネットワークで、行政が死亡情報を登記、法務局には「この人が亡くなったんだな」ということがわかるため、きちんと法務局へ情報が行く仕組みとなる
  • 死亡者が名義人の不動産一覧を行政(地方自治体)が発行
  • 土地所有者(法人含む)の住所・氏名変更(婚姻・改名含む)に関しても、2年以内に申請が必要となり、違反時は法人の代表者に対し5万円以下の過料(法人の本社所在地・代表者が変更し、届けない場合も過料の対象)
  • 過料は行政罰なので、前科にはならないが、裁判所から「違反事件」としてお手紙が届くので、普通の人は間違いなく焦る
  • 海外に居住している場合は、国内の連絡先を登記する必要
  • 過去にさかのぼって上記の措置が適用されることはないが、現在の国会で成立させ、2023年度に施行する方向

以上のような、不動産登記が確実に行われるような措置がとられる一方、「負動産」、その他いらない土地に関しては、所有権の放棄や所有者不明の土地活用に関しては、これまでより若干柔軟な措置がとられるようになります。

 

上物(土地上の建築物)のない不動産(負動産)の放棄がしやすく、登記手続負担が軽減、所有者不明の土地家屋・建物が活用しやすくなる改正も

  • 建物・土壌の汚染がなければ国庫に返納できる(裏返すと、建物の取り壊しや土壌汚染の除去が必要になる、また審査手数料や管理負担金を納める必要)
  • 所有者不明の土地に関し、官報での公告後に他の共有者で管理・状態変更もできるように
  • 補修・短期の賃借権を共有者の過半数で決定できるように
  • 裁判所の許可があれば、管理人を選任し、売却も可能に
  • 土地やビルなどの建物の共有者が不明でも、売却をしやすくなるように
  • 相続人が複数いても、その中の1人の申請で登記ができるようになり、登記手続に関する負担も軽減される方向

ただし、不動産の登記手続負担軽減については、費用や手続書類等の軽減に関する言及はなく、下記のような内容にとどまっています。

法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続の簡略化
法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続を簡略化するため、法定相続分での相続登記がされている場合において、次に掲げる登記をするときは、更正の登記によることができるものとした上で、登記権利者が単独で申請することができるものとし、これを不動産登記実務の運用により対応するものとする。
① 遺産の分割の協議又は審判若しくは調停による所有権の取得に関する登記
② 他の相続人の相続の放棄による所有権の取得に関する登記
③ 特定財産承継遺言による所有権の取得に関する登記
④ 相続人が受遺者である遺贈による所有権の取得に関する登記

 

以上のような改正で、今後空き家問題への対処や所有者不明土地への対策が図られる一方、「登記をしなかった場合のペナルティは大きくなります。

これまで相続手続がなされず所有者が曖昧だった土地に関しても、司法書士・土地家屋調査士に依頼し、過去にさかのぼっての登記や各種手続きを行う必要が生じることが想定されます。

登記を放置しておくと、本当に手間がかかったり、また複雑なため専門家報酬が大きくなるなども想定されるため、相続・名義変更などの登記は、今のうちからしっかりと注意、必要な場合は登記を司法書士(境界が不明確などケースによっては土地家屋調査士)に依頼するなどしていきましょう。

 

また、法人の顧問税理士・弁護士など士業は、クライアントに対して本社移転や代表者変更時の登記義務について周知し、提案・司法書士につなぐなどの対応も必要になるでしょう。

 

余談ですが、「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」では、相隣関係(竹木の枝の切除等:隣の家から伸びてきた枝を切っていいか問題や、隣地使用権:隣地使用や立入問題)なども下記のように見直しされる方向です。

隣地使用権
民法第209条の規律を次のように改めるものとする。
① 土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。ただし、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。
ア 境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕
イ 境界標の調査又は境界に関する測量
ウ 2③の規律による枝の切取り
② ①の場合には、使用の日時、場所及び方法は、隣地の所有者及び隣地を現に使用している者(③及び④において「隣地使用者」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
③ ①の規律により隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく、通知することをもって足りる。
④ ①の場合において、隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。

 

竹木の枝の切除等
民法第233条第1項の規律を次のように改めるものとする。
① 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
② ①の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。
③ ①の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。
ア 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
イ 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
ウ 急迫の事情があるとき。

 

参考:日本経済新聞 朝刊 2021年2月11日

法務省 「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」

 

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