預託商法や定期送りつけ商法禁止の方向、特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会の報告書

世間にはいろいろな悪質商法がありますよね。

 

いつものアクセス多い持続化給付金の不正受給を、一定のグループやマルチまがい商法、情報商材などのグループが内部で助長するようなガチ犯罪や、牧場・農園のようにどっかで破綻する預託商法は論外としても、他にも無料お試しのつもりでやってみたら細かい字で「定期購入に関するお知らせが書いてあって、『読まないお前が悪い』」、解約の電話をしても繋がらないなど・・・。

 

確かに、規制というのは新しい事をする動きを阻害しかねない、という要素はあります。

 

ただ、ブラックやギリギリグレー(道義的にはどうかと思うが法律上はギリセーフ)をそのまま野放しにしておいても、被害者が増え、狡猾な人が笑うわけです。

 

今後、認知症などで正式な物事の判断ができなくなる人が増えたり、持続化給付金不正受給で多くの大学生や若者が詐欺師の「大丈夫だから!絶対信じて!」という大嘘に騙され地獄化給付金一直線で返金資金のかき集めや、できなければ氏名さらしや逮捕・裁判、場合によってはムショでお勤めしてきてくださいということになりかねない、「やってしまった人」が相当いるという現状では、

 

消費者にリテラシーをこれから高めてもらう

ということを前提には置きつつも、

現在進行で進んでいるグレー・ブラックな商法を潰していくようにしないと、

「グレーゾーンで塀の上突っ走って荒稼ぎしてやるぜ」という人がどんどん増えていくわけですよ。

 

更に、成人年齢が18歳に引き下げられると、悪質商法をやっている連中には、18歳・19歳という活きのいいカモが来た、となります。

 

こういう若者をどう保護するかですが、繰り返しで持続化給付金不正受給やマルチまがい商法(ネットワークビジネス)などに手を染めてしまう(悪い大人から「教育」されてしまう)ことを考えると、リテラシーを高める前に、まず制度でガチガチにして悪いことをできないようにしましょう、というのは大切だと思います。

 

もちろん、ビジネスを行う側も、消費者保護の機運がこれまで以上に高まっていることを察し、「KPI達成するために不利なことは小さく小さく書いて、キャッチコピーは派手に・・」など危ない橋を渡らないことは重要です。

 

さて、ここまでかなりいつもと違うテイストで書いてきましたが、ここからは落ち着いて、今後の特定商取引法及び預託法の制度のあり方に関する検討委員会の議事録を下敷きに、事業者が認識すべき今後の規制の方向を考えてみたいと思います。

 

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特定商取引法及び預託法の制度のあり方に関する検討委員会の議事録から見えること

特定商取引法及び預託法の制度のあり方に関する検討委員会の議事録を見てみると、消費者庁や識者で懸念している課題として、

  • 各種技術やシステム・制度が複雑化し、一般の人ではなかなかサービスの内容を理解しきれない(というか読まない・理解しようとしない)
  • 成人年齢が18歳に引き下げられるので、18歳・19歳など社会経験の乏しい若者が今後ターゲットにされる懸念
  • 今後の新しい生活様式の普及により、Webを通した通販・サービス購入が一般化する
  • 高齢者の認知症や寂しさなど脆弱性につけ込んだ悪質商法が増える可能性がある

など、今後の社会において、様々な懸念点があることを冒頭より指摘しています。

 

現状における、消費者庁や有識者の視点としては、

消費者の脆弱性につけ込む悪質商法の手口の巧妙化・複雑化には、断固とした対応をする必要がある。具体的には、法執行の強化はもちろん、消費者利益の擁護及び消費者取引の公正確保の推進のため、消費者被害を発生させる悪質事業者(「共通の敵3」)にターゲットを絞った実効的な規制等を新たに措置する抜本的な制度改革を実行すべきである。
なお、その際には、平成 28 年に改正された特定商取引法4(以下「28 年改正特商法」という。)の運用状況に基づき、その効果検証5等も踏まえて行うことが重要である。

 

官公庁がこれほど強い表現を使うケースというのは、さほど多くなく、これをカジュアルに言い換えると、「社会の共通の敵である悪質商法をやる詐欺師共、標的にして潰す」というくらいの強い意思を持っている事が窺えます。(一方で、正当な事業者と悪質事業者をきちんと峻別することも)

 

委員会の委員長も、

委員長から「(我々がここでターゲットにしているのは)我々の共通の敵であります、そうした犯罪的な組織的な詐欺行為をやっている事業者というか、そういう人たちに対して、そういう組織的な詐欺行為というものに対して、消費者をどう守るか、消費者の被害が生じた場合に、どうやったら速やかにその被害が回復できるかということを、みんなで知恵を出し合って、ここで考えていく(必要があると思います)」と問題提起がなされている。

と、「共通の敵」という強い表現を使い、被害回復をどうできるかを考える必要がある、としています。

 

一方で、

上記の制度改革に当たっては、言うまでもなく、健全な事業活動に対する不測の影響が生じないように進めるべきである。新たな措置によって、真面目に取り組む個々の事業者の日常的な活動はもちろん、デジタル分野を始めとした将来のイノベーションを阻害しないように最大限の配慮6をすることが重要である。この点については、明確な規範(「共通の基盤」)をあらかじめ定立することによって、予見可能性を高め、創意工夫に満ちた健全な市場の創出及び発展を図ることができると考えられる。

というように、真面目な事業者に影響が出ないよう、また新産業の創出を萎縮させないようにしたいという配慮も見られます。

 

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消費者庁の悪質商法に対する認識

消費者庁でも、消費者全体が、リテラシーの低下・複雑な商取引への理解の不十分さが実態としてあるのではないかという推論を立て、

 

消費者の脆弱性については、判断力が低下した高齢者、社会経験の乏しい「若年成人」等の一定の属性を有する者を念頭に考えられてきた。しかしながら、現在では、取引の際の状況次第で全ての消費者が脆弱性を有していると捉えるべきである。さらに、デジタル化の進展等によって、そうした消費者の脆弱性がより顕在化しやすくなっている。消費者の脆弱性を補完する、さらに脆弱性が発現しないような消費生活を実現するための環境整備が必要である。このため、消費者の脆弱性につけ込んで不当な利益を追求する悪質商法に対しては、厳正に対処すべきである。

としています。

 

これまでは、未成年や認知症の人、判断能力が病気の関係などで弱まっている人の保護が念頭に置かれていましたが、今後は、消費者全体を保護すると共に、消費者につけ込む悪質商法は様々なやり方で厳正に対象する(≓潰す)ことを書いています。

 

そこで、明確に「この業界には厳正に対処する」とターゲットになったのが、牧場・農園等様々な形で大きなお金を集めて破綻し、社会問題になった「販売を伴う預託等取引契約」という商法です。

 

このビジネスに関しては、「社会的に無価値である」という表現も含め、「こんな商法をする連中、社会にはいらねーんじゃねーの?」と言うくらいに書いています。

 

販売を伴う預託等取引契約については、販売代金の支払いという形式で消費者から事実上の金銭の出捐(預り金、出資、投資に相当するもの。物品の介在によって元本保証類似のスキームであると誤認をさせるケースも多い。)を十分な認識のないままに元本保証又は類似するものと誤解させた状況で行わせるとともに、新規の契約者への物品の販売代金によって、販売を伴う預託等取引契約において供与を約した財産上の利益(いわゆる配当)を既存の契約者に一時的に支払うことが可能である。また、売買の対象となる物品が存在しない、又は、存在しなくなったことが発覚しづらいことなどから、消費者に深刻かつ甚大な財産被害を及ぼすおそれが高い反社会性のある行為と言うべきである。なお、過去に発生した大規模な消費者被害はこの類型に属するものと位置付けられる。

つまり、

  • 人がよくわからずに元本保証の投資と思ってしまう
  • 実際は自転車操業
  • 被害がでかくなってから破綻するので、多くの人が資産や老後の蓄えを失った

商売やっている側からすれば不当にぼろ儲けできるし、逆に消費者の側は大きな被害を被ると。

 

このように販売を伴う預託等取引契約については、本質的に反社会的な性質を有し、行為それ自体が無価値(反価値、“Unwert”)であると捉えるのが相当であることから、預託法において、原則禁止とすべきである。その前提で禁止の対象となる範囲の明確化等を実務的に検討すべきである。当該禁止に違反する事業者に対し、十分な抑止力を持った法定刑を設けるとともに、締結された契約については民事上無効とすることが必要である。

これもかみ砕いて言うと、

  • 和牛・農園に限らずオーナー商法の社会的価値・意義などは存在せず、ない方が社会的に好ましいビジネス(という名の詐欺)
  • 違反事業者は徹底的に厳しく罰する
  • 契約は民事上無効とする

ある意味販売を伴う預託商法に対する「もうやめましょう」宣告です。

「問題ばっかりおこしているから、もうやるなよ。法律でガチガチに縛るから」と。

 

更に、こういう詐欺への罰則が軽いとして、

特定商取引法における不実告知等の禁止の規定に違反した場合について、詐欺罪等の法定刑も勘案しながら、消費者被害の未然防止に資するとともに、違法収益の没収も可能となるレベルへの罰則の引上げを検討すべき

ともしています。

この点も、違法に得た収益を没収し、被害者へどれだけ還元できるようにできるかが問われます。

 

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インターネットの「初回無料!」系お試しでトラップがある商法にも、規制がかかる

よくネットで初回無料や激安をうたい、注文すると、条件として数ヶ月以上の購入が必要だったり、解約に非常に手間がかかったり、解約すると謳っていても応じない手法が、少し前から問題視されています。

 

特に、スマートフォン経由の購入の場合は、細かい注意事項を読みにくくしたり、目立たないところに置いたりするサイトもありますし、PCでも同様のケースは想定できます。

 

これまでであれば、「いや、小さいけど規約に書いてあったでしょ?なぜ読まなかったの」と逃げることができましたが、今後はこのような逃げもできなくなりそうです。

 

通信販売の広告において、初回に無料又は低額な金額を提示し、2回目以降に高額な金額を支払わせる、いわゆる「詐欺的な定期購入商法」に関する消費生活相談が増加している。さらに、国民生活センターによると、昨年の定期購入に関する消費生活相談のうち、「お試し」「モニター」等という広告を見て申し込んだなどの申出が含まれる相談は約5割、「連絡不能」に関する相談は約3割となっている。

このため、「詐欺的な定期購入商法」に該当する定期購入契約を念頭に、特定商取引法における顧客の意に反して通信販売に係る契約の申込みをさせようとする行為等に関する規制を強化すべきである。
具体的には、独立した禁止行為とした上で、規制の実効性を向上させるとともに、違反のおそれのあるサイト等へのモニタリング等を外部の専門的リソースも最大限に活用して法執行を強化する

とあり、初回お試しが実質的な「だまし討ち」行為になっているケースも少なくなかったり、返金請求がしにくい、連絡がしにくい(できない)ケースも相当多いようで、こちらも規制の強化を図っていくようです。

 

また、越境ECの普及に伴い、

越境的な電子商取引が急速に増加する中で、越境消費者取引の適正化を図ることが必要である。特に、法の適用と執行については、国内事業者と海外事業者とのイコールフッティングを確保することが不可欠である。
このため、特定商取引法等の執行を担う消費者庁が海外のカウンターパートとなる外国当局と執行協力を行い、国境を越えて活動を行う悪質事業者にも厳正に対応することが必要である。実務上の取組を積極的に進めるとともに、制度的な措置も講じる必要がある。

として、越境ECを通した悪質事業者への対策も進めていく方向が見て取れます。

 

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新たな日常を踏まえた、消費者被害対策

新型コロナウイルスの影響で、ECを活用せざるを得ない「新たな日常」が進む中、消費者被害の形も多様化してきています。

 

今回事例で出されているのは、

  • 自宅に留まっている消費者をターゲットとした、マスクの「送り付け商法」が問題化しており、送りつけられた商品の代金支払義務を負わない(一応14日の保管は必要)ことの周知徹底の必要性
  • 自宅で過ごしている消費者等をターゲットに、トイレ修理、水漏れ修理、鍵の修理、害虫の駆除等の便利屋系サービスの中で悪質な事業者が、インターネット上のサイトやポスティングチラシ等において安価な価格のみを示しておきながら、実際には正当な理由がないのに高額な料金を請求する詐欺的手法

の2点が特に問題視されています。

 

加えて、複数議論されている物がありますが、その中でも、最近アフィリエイト広告業者が誇大広告をWebで展開していることも問題視されています。

 

「このクリームをつけたら・・・」とか、「○○のシワは○○と混ぜて・・・」など、「おいこの表現いいのか?」と思う広告はよくWebで見かける方も多いかと思います。

 

実際、先日はWeb記事広告の形を取った商品の広告を行う業者・販売業者が薬機法違反で逮捕されましたし、(こちらの記事に詳しく書いてあります)、美容関係以外でも火災保険の申請代行など、今でもこれ大丈夫?と思わせる広告が多くあります。

 

この点で、

アフィリエイト広告における違反行為への対応
(通信販売の販売業者等がアフィリエイターに広告表示の内容の決定を委ねているような場合に販売業者等がアフィリエイト広告の不当表示の責任を負うという点に関する解釈上の整理の明確化に加え、アフィリエイトサービスプロバイダー(ASP)の法的な位置付けの整理を検討。)

も進みそうです。

 

以上、今後もECに関する規制は強まりそうですが、規制が行われるのは、「実際に様々なトラブルが出ているから」という側面があります。

 

EC事業者をはじめ事業者が、「不適切な広告・営業活動はしない」「煽る売り方で売ると、結局自社や業界にしっぺ返しがくることを認識する必要がありそうです。

 

 

 

 

 

 

 

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