令和の時代にM資金詐欺?経営者に求められる「怪しい話への対処」

本日、東京商工リサーチのサイトを見ていたら、CMを派手に打ち、地域での相談会などを行っていたミネルヴァ弁護士法人が破産というニュースがあり、ラジオCMなどでいつも聞くたびに、「よくこれだけ派手に宣伝する原資があるよな・・・」と思っていたのですが、宣伝や急激な規模拡大などで、歪みが出ていたのかもしれません。

 

そして、こういう弁護士・司法書士法人を扱う広告代理業者も、これまで大きく利益を得ていたと思うのですが、今後どうなることやら、という感じです。

 

さて、その東京商工リサーチの記事の中でもう一つ気になった記事がこれ。

 

コロナ禍で復活!? 経営者を狙う「M資金」詐欺という記事です。

 

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「M資金」詐欺は相当昔からあった

現在も、わらをもつかむ気持ちの状態の企業が、怪しいコンサルや、全うではなさそうな人、給付金・助成金セミナーに教唆されて、グレーな申請をしてしまう事例なども聞きます。

 

現在も安定していたり、成長している企業であれば、そういうものには飛びつかないと思いますが、投資・融資などの話になると脇が甘くなる恐れも。

 

東京商工リサーチさんも、よく調べられたと思うのですが、引用します。

 

旧日本軍の秘密資金「M資金」をうたい巨額の資金提供を持ちかけ、会社役員から現金1億3,000万円をだまし取ったとして、神奈川県警は6月11日、詐欺の疑いで男3人を逮捕した。総額31億5,000万円を詐取した疑いがもたれている。
 戦後、闇世界を跋扈した「M資金」が、令和でも生きていた。東京商工リサーチ(TSR)情報部が、時代錯誤の花形ともいえる「M資金」を追った。

 

どうですか、この書き出し。

プライベート・バンカーなど経済小説・ノンフィクションが好きな人に取っては、「外から見る分には面白そう」なテーマであります。

 

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あまりにも荒唐無稽である故に、逆に引っかかる人もいる

M資金―――。終戦後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が占領下の日本から財宝や資産を接収し、その一部を今でも極秘に運用している秘密資金をいう。「M資金」のMは、GHQ経済科学局長のウイリアム・マーカット少将に由来する(諸説あり)。
一般には知られていないが、国家的価値のある事業に携わる大企業の経営者や富裕層など、選ばれた人にのみ“特別”に斡旋される数千億円から数兆円にも及ぶ巨額融資の「原資」にあたる。

今は昭和・平成・令和を越えた話で、「こんなの、やりすぎ都市伝説でも扱わないよ・・・」というくらい荒唐無稽な話なのですが、その常識外れぶりに、逆に引っかかる人もいるという。

 

本文でも、

 こんな甘い話を誰が信じるか。多くの人は、「都市伝説のような話は眉ツバ」と感じるだろう。「M資金」が真っ赤なウソというのは誰でも知っている“常識”・・・のはずだった。

 

戦後から幾度となく繰り返された古典的詐欺の手口である。政府の代理人を名乗る人物が経営者のもとを訪れ、数千億円を融資する代わりに仲介手数料を詐取し、書類に個人情報の記入や署名、捺印を迫り、のちに金銭を脅し取る。
被害者の多くは、都市の大企業の経営者や役員。こうした情景は2013年に製作された映画『人類資金』でも出てくる。
だが、中堅企業や地方の企業経営者が標的にならないとも限らない。コロナ禍で資金繰りに窮している企業は多い。

と、今の時期だからこそ、こういう詐欺事案に警鐘を鳴らしていると言えます。

 

過去の被害事例としては、

1970年代に航空会社の社長が3,000億円の融資話に乗って、念書を書いたことが公になり退任した。90年代にも旅行会社や薬品卸会社、建設会社の社長や役員、芸能人が、M資金詐欺の被害を受けたといわれる。
また、一流企業の社長だから「騙されたこと」が恥ずかしく、被害届を出さないケースもある。「公になっている被害の数は氷山の一角にすぎない」(警察関係者)

とのこと。

 

本文を読んでいると、まるで現在放送されている、テレ朝×Abemaの「M」のようなベタドラマよりベタな展開。(あのドラマ、田中みな実さんの怪演と博多通りもん、そして伊集院光、古市憲寿、ナイツ塙の副音声トークが面白すぎます)

 

話がそれました。

 

会社経営者であれば、リスク管理も、これは怪しいというトラップも大体わかるはず、と多くの人は想定しています。しかし、いざ自身がその渦中に放り込まれると、「これはおかしい」と気づき、離れられる人がどれくらいいるでしょうか。

 

詐欺師の側から言えば、数百人から数千人に一人引っかけるだけでも、大きな詐取ができてしまいます。

 

ここで、東京商工リサーチの記事では、

一つは、アポなしで直接訪問するケース。「米国務省のA(実在する人物)と日本銀行総裁から貴社の社長(もしくは役員)に会うように指示された。他の者には聞かせられないので直接話したい」などと語り、会社を訪問する。いきなりの訪問者に会うはずはないと誰もが思うが、政府や政治家の代理人と言われると、簡単に断ることが出来ないのが凡人のプライドである。
二つ目は、事前にレターパックで書類を送りつけるケース。そこにM資金の説明や「長期保護管理権委譲渡契約方式基金」の説明、著名な企業家が関わっていることを匂わす文章などが記されている。さらに、官庁幹部職員の職歴などもつけ、信用させて接触してくる。

と、いかにも特別に思わせるという手口と、権威を悪用した手法。

 

さらに手口はM資金だけではなく、

 「天皇家の資金を管理している」、「産業育成資金を提供する」、「フリーメイソンの資金から拠出し」など、言葉巧みにすり寄ってくる。
よく見かけるのは、「『財政法第44条』に基づく、国の資金を提供するプロジェクト」との文言だ。財政法第44条とは「国は、法律を以て定める場合に限り、特別の資金を保有することができる」というもの。
「特別な資金」という文言から、あたかも政府が秘密裏に保有する資金があり、それを特別に融資するかのように思わせるのだ。財務省のホームページ上でも「詐欺の可能性がある」として注意を喚起している。

このように、ニセの権威を悪用し、経営者や資産家から詐取をしようという手合いは、今でも、いや、今だからこそ多いと思われます。

 

M資金ほどではないですが、SNSなどで豪華な生活を見せびらかすインフルエンサーなどが、いろいろと問題のある行為をしているという話がタイムラインに出てきますが、

  • 資産家であることを知られること自体がリスクをはらむので、普通のセキュリティ意識があれば、見せつけ消費はしない
  • おいしい話はまずどんな人でも他人に持っていかない。おいしい話でおいしい思いをするのは、「おいしい話を持ってきた詐欺師」
  • 政府・皇族・その他大きな権威を出してきたときこそ怪しむ

 

そして、本文にも書いてある、

「必要ない文書は、拒絶通知を送付するなど、毅然とした対応をとることが大事」と指摘する。その上で、「何よりも会わないことが最大の対策」

と、接触しない、関わらない、これが最大の防御策と言えます。

また、酒を伴う会合の場ではガードが緩みがちですし、パーティなどでも「おいしい話」を持ってくる人には注意が必要です

 

また、投資話などもよくあり、年数%~十数%などの高利回りを約束するような(そして中身は自転車操業やネズミ講)話もありますが、まっとうな仕事であれば、金融機関、ベンチャーキャピタルから資金調達をしています。

 

今、多くの人が精神的に多少なり動揺している時期だからこそ、過去のM資金のような事例は出てくる可能性があるでしょう。

 

そして、後で詐欺と判明し、

「ゆーるーさーなーいー!!!」

という目に遭わないためにも、お気をつけ下さい・・・

 

 

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