日経新聞電子版・朝刊など各種報道では、「フリーランスを独占禁止法などの法令で、今後保護しよう」という方向が明らかになりました。
内閣官房・公正取引委員会では公式なアナウンスは12月19日の時点では行われていませんが、今判明している方向性をまとめて見ましょう。
また、フリーランスだけでなく、フリーランスを活用する企業にとっても、独占禁止法にかかる問題として、こういう動きがあると言うことをフォローしておく必要があります。
フリーランス保護における今後の方向性
- 取引する企業側が、契約内容を書面で残さないと、独占禁止法違反に繋がることを明確化
- 現在のフリーランスは300万人~400万人という内閣府・厚労省の試算
- 内閣官房の調査ではフリーランスの約4割がトラブルを経験(うち6割超が、取引条件が署名・メールで交付されていないか、また条件の記載が不充分)
- 指針は公正取引委員会・厚労省・中小企業庁の連名で
- 企業とフリーランスの取引全般が独占禁止法の対象になる
- これまでは企業とフリーランスという、人の部分への介入は公正取引委員会は消極的だった
- 発注者が資本金1,000万円超の企業の場合は下請法も適応
- 取引の実態が雇用関係に近い場合(場所や労働時間の拘束など)の場合は、労働法の適用も
- 契約条件を書面で示さない場合、独占禁止法上の優越的地位の濫用を招く恐れがあるとして、書面交付をすすめる
- 仕事内容に見合わない低報酬(ライターとかイラストレーターなどで、一部にあると聞きますよね・・)や、成果物の権利の不当な要求を実質的に禁止
など、全面的にフリーランス保護の方向に舵をきる方針で進めています。
ちなみに、内閣官房のアンケート調査によるフリーランスのトラブルの多くは、
- 発注内容が具体的に明示されない
- 報酬の支払い遅れや未払い・減額
- 仕様・納品日の返事
- 業務内容や範囲のトラブル
- フリーランスに不利な条件設定
などだそうです・・・・。
企業によっては、直接雇用よりフリーランスがいろいろな意味で使い勝手が良いということで、業務委託を進めてきた会社(特にスタートアップ)もあるかと思いますが、今後の動きに注意すると共に、フリーランスの側も「こういう社会的変化が起こってきた」と念頭に置いておくことが大切と言えます。