ITMediaの記事で、freee佐々木大輔CEOが語る「中小企業にテレワークが浸透しない」納得理由という記事が掲載されていました。
ぜひ全体をお読みいただきたいのですが、特に共感したのが、「アフターコロナは「働き方の多様性」が会社の価値に」というトピック。
人間のライフステージとして、20代の時期は仕事にフルコミットできますが、年齢を重ねるにつれ、結婚による家事の増加、育児による子育て、場合によっては父母の介護などと、「体力は落ちるのに、やることは物理的に増える」傾向があるのではないかと思います。
特に現在は、夫婦共働きのケースが一般的となり、夫が妻の不在時の家事・育児全般を担うことも当たり前になりました。
そうなると、ライフステージが変化した際、これまでと同じ働き方ができなくなるのは自明のことです。
乳幼児であれば、在宅での世話なり保育園での世話、小中学校でも学校活動、PTA活動への協力や勉強のサポートなど、親がサポートする必要がある場面も増えます。
一方、旧来の体制が残る企業のように、都心のオフィスに出社前提、転勤には配偶者・家族が帯同するか単身赴任、残業で子供の寝ているときに帰れない、では本人も家族も疲弊しますし、成果を出す、長期的に働くということも難しくなってくるでしょう。
ライフステージには、平常運転に加え、加速できる時期と、減速できる時期が必要
職業人として生活を送る上では、仕事に対し「フルコミット」「通常ペース」「仕事と家庭の両立」の3ケースを選べ、「かつそれがビジネスキャリアの形成上、大きなマイナスにならない」という会社で働けることは、大きな意義があると言えます。
やはり、新卒後、左右がわからないときは、仕事に徹底的に没頭することも必要です。ある程度年齢を重ねても、新しいことを学んだり、ビジネスにフルコミットするときは、「時間とエネルギーの徹底的な投入」が必要です。
一方、誰もが常にフルパワーで働けるわけではありません。
一見常にフルパワーで働いているようであっても、疲労が蓄積して、プツンと糸が切れるように倒れてしまっては元も子もありません。
また、個人それぞれに、外では見せない家庭の事情があります。
エンジンだってアクセルを踏みすぎるとトラブルを起こすのと一緒で、流れに合わせた運転や、パーキングでの一時休憩が必要になるときもあるのです。
今回の記事に話を戻すと、佐々木氏の発言で、
個人が「自分にとって本当に大切なものって何だったっけ?」「それに向かう生き方ってどんな生き方?」といったことを考え直すタイミングにもなるでしょうね。今回のコロナ騒動で、それを実現するテクノロジーがすでに身の回りにたくさんあることに気付いた人も多いでしょう。
「本当は自然と共生しながら生きていきたい」という人も、会社がそれを認めてくれれば実現可能だということが分かっている。今後は多様な働き方を認めてくれる会社かどうかということが、会社選びの基準にもなると思います。
実際、打ち合わせはベルフェイスや、Skype、ZOOM、Teams、Slack、Chatwork、会計ならfreee、人事ならSmartHRのように、ツールを使えば大体できてしまう。
もちろん、対面の場がゼロになることはないでしょう。やはり、直接顔を合わせ、話し、時には飲んだり遊んだりで交流することで、いろいろなヒントが生まれたり、ビジネスに繋がったりすることもあります。
毎日顔を合わせていると、いろいろ軋轢があるケースもあるかもしれません。しかし、逆に会う頻度が少ないと、むしろたまに対面することがプラスにも働くのではないかと思います。
住む場所のライフスタイルも、これから変わる?
また、地方なり、都下・東京近隣で働くというのも、一つのライフスタイルのあり方でしょう。
リモート勤務が一般的になれば、満員電車に乗る必要もありませんので、住むところも多様化するでしょう。
担当者は、多摩地区に住んでいたことがあります。多摩など東京都下は、程よい自然と程よい賑わい、そして都心へもさほど負担なくアクセスできる(通勤があると大変ですが・・・)など、ゆったりした暮らしができます。多摩市や日野市に住んでいましたが、河川敷で子供がボール遊びをしたりと、都内とは思えない穏やかな環境でした。
また、いまのように、地方の一軒家で、畑で取れた野菜を調理したり、車で子供たちとふらっと山道や海沿いを走ったりもできるため、都心の密集地で過ごすよりは、刺激こそないけど、穏やかに過ごせます。(故に、都市の雑踏が懐かしくなるときもありますが・・・)
海など自然溢れる環境は、サーフィンや釣りが好きな人にとっては、車でぱっと海に行け、混んでいないところで楽しめるというのは大きなアドバンテージではないかと思います。
前掲の記事でも、
東京にいろいろなものが集中しすぎたために、これまでは物理的に対面することを前提とした商取引や出社の習慣がありました。しかしこれまで都市一辺倒で不自由さを感じていた人たちが地理的な制約から解放されれば、都市の在り方や、都市依存型の経済について見直すきっかけとなり、地方創生を考えるうえで重要な局面を迎えると思います。
どこからでも仕事ができるようにすべきだという考え方自体は、実は新しいものではなく、以前からありました。先ほども触れたように、世界ではすでにそれが当たり前になっています。日本の商習慣が追い付くにはまだ時間がかかるかもしれませんが、個々人にとってはこういった時に独立や起業をすることも1つの選択肢だと思う
とあります。
確かに、強制的な部分があるにせよ、多くの会社がリモートワークを強いられた中で、「あれ?リモートワークでも、課題はあるけれど、会社は回るのでは?」という実感を持たれた方も多いと思います。(加えて自宅のネットワーク環境、ワークプレイスの整備など)
今後、より人・オフィスの分散化が進むにつれ「都市一辺倒」という考えは弱まっていくかと思います。
もちろん、リモートワークが普及するにつれ、逆に「人と直接会うこと」の価値が高まるという側面もあるでしょう。
そういう場として、これからも都心は主軸の存在であり続けるでしょう。同時に、職住分離の流れも強まって、好きなところに住む生き方がこれから徐々にメジャーなものになっていくのではないかと思いますし、「選択肢のある会社が選ばれる」ようになっていくのではないかとも思います。