GoToトラベルキャンペーンと出雲駅伝中止に思う、アクセルとブレーキを同時にかけざるを得ないもどかしさと、それでもやることの合理性

本年はあらゆるイベントが、開催延期・中止になっています。(これは今の状況下では致し方ないという考えはあります)

 

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イベント中止による各産業への波及

 

27日で言うと、全国三大駅伝の第一弾である出雲駅伝の中止が正式に発表されました。

 

他にも、全国の大規模から小規模まで、あらゆる規模の夏祭りが中止になっています。

例年この時期は、ホテルの宿泊料も高騰し、街も賑わい、観光業にとっては極めて重要なかき入れ時にありました。

 

阿波踊りの中止で、NHKの報道では地元の三割の宿泊施設が廃業を検討しているという話もあり、このような大規模イベントの中止は、旅行業者・宿泊施設・交通業者だけでなく、地元の飲食店・土産物業者・食材を出荷する業者など、サービス業全般が大きなダメージを受けます。

 

この中で、「業者の支援の観点から、こういう観光・サービス系の事業者に、持続化給付金・家賃支援給付金のように直接お金を支援すればいいのに」という声もあり、担当者としても、GoToトラベルキャンペーンは否定しないが、今ではないのではないか、という考えがありました。

 

また、観光業以外でも、結婚・葬儀・病院など様々な産業がコロナ禍に苦しんでおり、ついに7月27日には、〈新型コロナ〉全国で医療機関の倒産は初 真庭市の整形外科医院が自己破産申請 岡山として、病院が経営破綻、しかも民事再生ではなく「消滅する」自己破産という手段を選んだことに、衝撃が走りました。

 

開院当初は有床の診療所でしたが、慢性的な看護師不足により近年は外来診療のみに切り替えたため収入が減って、資金繰りが悪化。こうした中、今年3月以降、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛の影響で外来患者の診療件数が減っていました。

4月以降の収入は前の年の同じ時期と比べると約20パーセント減少。事業の継続が困難になったため21日、岡山地裁に自己破産を申請しました。負債総額は約3億3000万円です。

新型コロナウイルスに関連して医療機関が倒産するのは全国で初めてです。

 

もともと経営がまずかった気配がありますが、(人件費・施設費用・機材費用が高いとは言え)約20%の減少で経営が完全に傾くわけです。

観光業の9割減などは、相当の業者がダメージを受けていると思われます。医院に関しては、他の産業への波及効果はあれど、観光業ほど関連先が及ぶ団体はないので、融資と事業承継の仕組みなどを活用し、できるだけソフトランディングを図れるようしていくしかないかと思います。

 

ただ、特定の産業にダイレクトにお金を給付するのと、GoToトラベルキャンペーンなど消費者側の消費に補助を加えることでは、同じ税金をつぎ込む分でも、効果が相当異なってきます。また、タイミングに関しても、今じゃないと思いつつも、もう多くのサービス事業者の資金繰りは相当厳しくなりつつあるのではないかという懸念があります。

 

このことを、わかりやすく解説してくれたのが、ちきりんさんのGoToキャンペーンの大混乱という記事です。

 

まず、観光業などはホテル・施設・従業員を有しているため、毎月のランニングコストが膨大です。

 

その上記事では、今GoToトラベルキャンペーンなど手を打たないと、

「半年、売り上げが止まる」と言われたら、どれほど健全な運営をしてきた企業でも倒産を余儀なくされてしまいます

としています。

 

キーエンスや任天堂のように、売上がストップしても2年以上持ちこたえられる企業もありますが、これは例外です。

 

また、第一次産業(高齢化)・第二次産業(海外への拠点シフト)の存在が低下しつつけている日本で、第三次産業、観光業をいかに守るかは課題となります。

 

ちきりんさんのブログにも書いてありますが、都市のホテルであれば買い手は容易に見つかります。

しかし地方のホテルの場合、同業態でキャッシュリッチの星野リゾート・APA・阪急阪神第一ホテルグループや一部ファンドなど、買い手の数は限られ、同じ地区のホテル・旅館の中でも小規模なところは、買い手が付きにくい状況になります。

 

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全額支援でなく一部支援、しかも消費者に払わせるというのは、レバレッジの効果がある

ちきりんさんのブログにも書いてありますが、コロナ対策として1兆円を観光産業に給付しても、旅館の収入は1兆円にしかならない、しかし国がGoToトラベルキャンペーンの場合、上限一人一泊20,000円だけど、2分の1補助して、15%はクーポンで周辺のお店に行き渡るようにしますからね、という

 

レバレッジ(てこの原理)をかける

ことで、

「いかにレバレッジを高め、少ない税金で大きな効果を挙げるか」が政策立案時の肝

 

としています。

 

特に旅行の場合、実際に動く人を増やせば、上記に加え旅行関連グッズも売れる(靴・カメラ・カバンなど・・・)ので、関連商品への波及も大きいです。

 

できるだけ大きなレバレッジをかけないと救えないほど観光業の被害が大きいため、政府としては直接の補助金、支援金ではなく、旅行者を増やせるキャンペーンという形を採用したわけです。

 

また、旅行者の余裕のある人に支援するのではなく、困っている人にお金を回せという声もありますが、こちらも当記事で、

  • お金を貯め込んでいるシニアのお金を(無理にではなく喜ばせながら)地方に回す
  • 地方産業を守る(ダメになってから対応すると、余計に税金がかかる可能性

を指摘しています。

 

ちきりんさんの指摘する、

「富裕層のポケットマネーで地方を救おう!」という製作を「金持ち優遇」とか言って批判する人、ほんとーに本質が見えていません。

というのは、その通りと思います。

 

また、ジャンルは違えど、「持続化給付金で、開業届を出していなくてもOKにしてください!」「民泊やアパート経営も対象にしてください!」、みんなで声を届けましょうなどという動きもありますが、

さすがに開業届なし、資産運用の、「事業者とは少し違う枠の人」に持続化給付金を、というのは制度趣旨としてあまりそぐわないと思います。

 

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GoTo東京外しがガス抜き、というのも、納得

今回は、GoToキャンペーンで東京除外という、都民の怒りを全面的に買うような措置がなされました。

 

しかし、全体のキャンペーンを止めるのではなく、東京(政府と意思疎通に齟齬がある)を外し、政府と関係の良い神奈川・千葉・埼玉を対象として残したのも、政府との関係の問題だけでなく、首都圏まるごとGoTo外し、とすると相当な経済効果でマイナスになると推測されます。

 

ちきりんさんのブログでは、

日本の個人消費の14%くらいは東京の人が使うお金です

 

「東京を除外することで2割くらい、動くお金は少なくなると思います。

が、8割が残せるなら、なんとか期待した効果が残せます。

 

としており、延期よりはやっていくしかないという、両方から批判は受けるが、ゼロイチよりましという苦渋の選択と思います。

 

この他にもGoToキャンペーンに関しちきりんさんの意見が書かれていますが、「確かにその通り」と思う点が多く、勘定ではなく合理性を考えると、こうなるよなという印象です。

 

一部の団体で、「困っている人にお金を給付しろ!」「GoToキャンペーンなどの富裕層優遇は止めろ!」などと言っている所があり、一面では確かに「お気持ち」はわかるよ、というところはあります。

ただ、今回のGoToキャンペーンは、いろいろな産業が絡む、非常に難しい決断であったことは見て取れます。

 

今後、一旦外された東京に対する別の形での優遇を含め、GoToキャンペーン全体が適正な消費喚起に繋がればと思います。

 

 

 

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