新卒内定取り消し、学生・経営者がそれぞれ取るべき措置は?

ここ数日のSNS、一部の情報番組で、2020年3月現在の急激な経済状況の変化で、内定取り消しが複数の企業で、3月という時期に行われたことが多く伝えられています。

 

3月12日のモーニングショーでは、ある結婚式場に内定していた学生が、電話で内定を取り消すことを一方的に告げられ、その後電話に出てもらえなくなったこと、別の学生は、引っ越しなどをしたあと、20万円を振り込まれただけで、こちらも電話で内定取り消しを3月に伝えられたことなどが伝えられていました。

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新卒の内定取り消しが認められてしまうケースとは?

まず、厚生労働省が、内定取り消しの状況において、どういう指針を浮かべているかをまとめてみましょう。

以前、リーマンショックの時期なども内定取り消しが多く起こった関係もあり、厚生労働省では、採用内定取り消しに関して、指針を作成しています。

そして、3月18日現在、新しいガイドラインを打ち出しました。

ガイドラインの要点は、

  • 採用内定の取消しを防止するため、最大限の経営努力を行う等、あらゆる手段を講じる
  • やむを得ない事情により、内定取消または入職時期の繰り下げを行う場合、対象者の就職先の確保について最大限の努力を行うとともに(つまり、雇えなくなりました、ごめんね、ではだめで、再就職先を紹介する等最大限の努力をする)、対象者からの補償等の要求には、誠意を持って対応する(誠意の基準については、顧問弁護士・社会保険労務士や専門家・もしくはハローワークなどにも相談し、その上で相手と交渉した方がよいでしょう)
  • こちら側から内定を取り消す場合は、一方的な通知ではなく、専門家やハローワークと相談した上で、取り消しを行う(訴訟その他の事態にならないよう、ともかく専門家と相談しながらことをすすめていく)

ということを前提に、

  • 雇用調整助成金の特例を設置、採用したばかりの新規学卒者でも休業
    や教育訓練等をさせた場合は助成の対象

という措置を加えましたので、ぜひこの点はハローワークに相談してください。

 

大原則としては、

  • 事業主は、採用内定を取り消さないものとする

という前提があります。

その上で、

  • 採用内定取消しを防止するため、最大限の経営努力を行う等あらゆる手段を講ずるものとする
  • 採用内定の時点で労働契約が成立したと見られる場合には、採用内定取消しは労働契約の解除に相当し、解雇の場合と同様、合理的理由がない場合には取消しが無効とされることについて、事業主は十分に留意する

とあります。

とはいえ、企業側も、「どうしても持たないんだ!」「本当はきちんとケアしたいが、それどころじゃない」という状況の会社もあるかもしれません。

 

新卒など内定者の内定取り消し・入職繰り上げに関し、やむを得ない事情がある場合には、

  • あらかじめ公共職業安定所に通知するとともに、公共職業安定所の指導を尊重する
  • 解雇予告について定めた労働基準法第20条及び休業手当について定めた同法第26条等関係法令に抵触することの無いよう十分留意
  • 事業主は、採用内定取消しの対象となった学生・生徒の就職先の確保について最大限の努力を行う
  • 採用内定取消し又は入職時期繰下げを受けた学生・生徒からの補償等の要求には誠意を持って対応するものとする

という条件を守る必要があります。

つまり、電話で一方的に内定取り消しを伝えたり、電話に出ないなどは、完全に上記の条件にあてはまりません。

 

具体的な運用に関し、厚生労働省の企画課若年者雇用対策室に連絡し、確認したところ、

 

  • 内定取り消しの無効は雇用契約の解消と同様、容易にしてはいけない
  • 合理的な理由が認められない場合は企業名公表(懲罰的な意味ではなく注意喚起の理由)の可能性もある
  • 学生はハローワーク・就職課に相談し、状況を説明、ともかく次を探すこと

という回答をいただきました。

 

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経営者でやむを得ず取り消ししないといけない場合の対応は?

 

では、経営者の場合は、どのように対応するのが適切かというと、前述の

  • あらかじめ公共職業安定所に通知するとともに、公共職業安定所の指導を尊重する
  • 解雇予告について定めた労働基準法第20条及び休業手当について定めた同法第26条等関係法令に抵触することの無いよう十分留意
  • 事業主は、採用内定取消しの対象となった学生・生徒の就職先の確保について最大限の努力を行う
  • 採用内定取消し又は入職時期繰下げを受けた学生・生徒からの補償等の要求には誠意を持って対応するものとする

に加え、

  • 社会保険労務士・ハローワークなどに相談し、なるべく穏便な解決を図る
  • できるだけ他の就職先を探して提案する
  • 新卒者の助成金も利用できるようになった(3月中旬より)ため、使える制度はハローワークや専門家と相談し、できるだけ使う

のが理想ですが、内定取り消しをしなければならないほどの状況であれば、正直「そんなことしている余裕あるか!!」というのが本音だと思います。

 

しかし、現代はマスメディアに加え、SNSの発達により、前述の「電話で内定取り消しを伝え一方的に切る」「電話に出ない」などのやり方を行うと、高い確率で炎上する恐れがあり、本業に致命的なダメージや風評被害を受ける可能性があります。

 

なので、事情を率直に話し、「本当は取り消しはしたくないが、やむを得ない事情がある」ことを伝えることが大切になってくるでしょう。

 

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学生の場合はどうするか

学生の場合は、

  • 学校の就職相談窓口に事情を説明(内定通知書など関係書類も持参)
  • 各都道府県のヤングハローワークに相談

など、手段が限られます。

 

なお、労働者・使用者双方のために、個別労働紛争解決制度(ADR)の助言・指導、あっせんを都道府県労働局では行っております。ただし、強制力はありません。

 

また、内定取り消しを行わざるを得ない状況の会社に、無理に入ってもいろんな意味で厳しいでしょう。早急に切り替えて次の就職先を探し(本当は取り消し側の責務ですが)、内定取り消しに関する補償などは、相手企業・労働局・ハローワークなどと相談するか、すぱっと切り捨てて次を探すか、状況に応じて考えましょう。

 

時期が時期ですので、雇用側も、多くのケースでは断腸の思いで内定取り消しを行わざるを得ないのでしょうが、その際には、第一に学生へのケアが求められます。

 

少なくとも、電話一本だけ、というのでは、ケアとはほど遠いと言えます。

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