Rubyの聖地 島根県のニアショア開発の傾向

島根県のニアショア開発の傾向

 

島根県は、後述の鳥取県と並び、人口が日本で一番少ない地域です。しかし、ITに対する取り組み、理解は自治体・地域共に積極的です。Rubyの開発者であるまつもとゆきひろ氏が松江市の名誉市民であることから、県全体でRubyに取り組み、学生へのRuby教育も盛んです。また、ニアショア開発を共同受注する団体の存在や、沖縄など離島ではメジャーでも、本州では比較的珍しいWebコンテンツ作成のためのニアショア拠点の都内企業による設立など、地域独自の取り組みが非常に多いです。

さらに、県と市双方で、IT事業者への立地支援制度や人件費・事業所費用等各種費用の助成も行っています。

 

2019年後半の事例ですと12月に、システム開発・ニアショア開発を行うイーグリッドが、島根県から立地計画の認定を受けています。

 

 

島根県のIT・ニアショア等への支援制度

 

また、島根県でもUターン・Iターン者の増加のために、くらしまネットという、島根県全体のUIターンや移住に関する情報提供サイトを運営しています。

https://www.kurashimanet.jp/
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Ruby開発の聖地「松江」というアドバンテージ

 

前述の通り、島根県ではRubyを県のホームページに利用したり、学生へのRubyを主としたプログラミング教育を行うなど、なにかとRubyの活用が盛んです。

しまね発Rubyというページでは、島根県へのRubyに対する取り組みが多く記載されています。

 

県内のシステム開発会社の大半がRubyの技術者を擁し、松江市内には、RubyアソシエーションというRubyの普及開発団体が活動、しまねOSS協議会など、県内全体でのITに関する情報交換も活発です。

 

松江市も、おためしサテライトオフィス誘致や人材確保助成等、IT企業誘致のための様々な施策を行っています。

 

加えて、IIJ(インターネット・イニシアチブ・ジャパン)のような国内大手も、地震や災害のリスクの少なさを評価し、コンテナ型データセンターを松江に開設するなど、データセンターの開設・増設も進んでいます。

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地域全体でニアショアを受け入れる出雲地区

 

Rubyの聖地松江市の隣にある島根第二の中核地域、出雲大社でおなじみの出雲市では、Rubyの活用に加え、IT全般のニアショア開発を担えるよう、チーム出雲オープンビジネス協議会を設けています。

トップページ|チーム出雲オープンビジネス協議会
チーム出雲オープンビジネス協議会は、島根県出雲市に拠点をおくIT企業が協力し、共同受注を行うための組織です。地方企業が手を結ぶことで、エンジニアの安定確保と、それに伴う質の高いニアショア開発などを提供します。

扱う言語はRuby(及びRuby on Rails)はもちろんのこと、Java、C言語、C++、PHP(CakePHP、FuelPHP、Laravel、Symfony、Zend Frameworkなど)、Pythonなど幅広く扱い、また地域全体の300人を超すエンジニアでニアショア開発を受託できる体制を整えるなど、地域全体でニアショア開発を積極的に受け入れています。

 

また、要件定義に基づく請け負う契約だけでなく、設計段階から積極的に関わるラボ型ニアショア開発(ラボラトリ型ニアショア開発)の経験を持つ企業も多く、都内の大手ベンチャーと連携し、中長期的にラボ型開発を手がけている会社もあり、都内や名阪の大手IT企業と協業する企業も多いです。

 

2019年9月には、ソフトウェアの自社開発、受託開発に加え、ニアショア開発も積極的に行う株式会社イーグリッドが、主拠点とは別に、ニアショア受託(ラボ型ニアショア開発も含む)専門の、セキュリティを強化した拠点を開設しました。

 

ニアショア開発だけでなく、自社開発のプロダクトを有したり、企業・官公庁からの受託案件を多く扱う、実力ある会社が多いのも特徴です。

 

また、この出雲webビジネス協議会代表の藤田さんへのインタビューによると、地域での情報交換に関するつながりが強く、チーム出雲オープンビジネス協議会の他にも「出雲ITコミュニティ」、「出雲web勉強会」などの情報交換のコミュニティがあり、情報交換や技術の学習が積極的に行われています。

 

自社プロダクトでは、クラウドで顧客管理を行うシステム、スマホの写真と位置情報をセットで送信することで、現地調査、災害調査など位置情報が不可欠なシステム、地域の医学部と共同開発した薬理学実習のシミュレーションソフト、教務向け支援システムなど、複数のプロダクトが存在します。

また、地震の少なさや地盤の強固な土地を活かし、データセンター事業を行う会社もあります。

同時に、RPAの導入やITコンサルティングなども、多くの企業が積極的に手がけています。

 

そして、製造業分野では、村田製作所の製造中核拠点の一つである出雲村田製作所、PC製造を長年担う島根富士通、スター精機などが進出しています。

 

スター精機の企業インタビューでは、島根県民の真面目さ、勤勉さを評価する記述があり、やはり外部からも島根県民の勤勉性は評価されています。

 

また、BPOにおいても、広大な土地を活用し、りそな銀行のコールセンターや、ナカバヤシの印刷関連のBPO事業所など、大手事業者の拠点が複数運営されています。

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本州では珍しい、Webライティングのニアショア拠点が存在する大田市

近年、Web構築やWebライティングにおいても、クラウドソーシングだけではなく、ニアショア拠点を作り着実に展開しようということで、ニアショア拠点を島根に設立する企業が出始めました。

トレンダーズのように以前よりWeb業界で歴史のある企業、フェズのように強力なアフィリエイトサイトを有する企業などが拠点を運用し始め、県の支援に加え、大田市も立地支援、助成を行っています。

 

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島根県のニアショア・Rubyに対する力の入れ方は大きい

このように、島根県はRubyの普及だけでなく、近年はニアショアに積極的に取り組んでいます。

 

前述の、チーム出雲オープンビジネス協議会のように、出雲市内のIT企業が垣根を越えて、地域全体でニアショア開発を受注していこうという取り組みは全国でも珍しいです。

 

また、協議会に所属する多くの会社が、都内に拠点を持っているため、都内での打ち合わせもできるところも安心感があります。

 

都心とのアクセスは飛行機が主ですが、出雲縁結び空港の出雲→羽田の最終便は19時台と余裕があります。また、東京→島根(松江・出雲)の場合、サンライズ出雲を利用した寝台列車であれば、出雲市への到着は10時ごろになりますが、東京駅発は22時という、かなり遅い時間帯に出発できるというメリットもあります。

また、名古屋・大阪方面のアクセスも、出雲えんむすび空港から可能ですので、名阪方面からのアクセスも十分可能です。

 

島根の場合、真面目な県民性(能力があってもアピールが控えめ)、地元愛、優秀な人材であっても高専・地元の国公立に進学するなど、地元意識の強さは大きいです。

 

また、IT企業が限られるため、優秀な技術者であっても、地元にいる限りは一つの企業に腰を据えて定着する人が多い傾向があり、担当者とも長い目で関わりができるのも魅力のひとつでしょう。

 

ニアショア開発の選択肢として、ラボ型ニアショア開発の発注・企業としての進出先として、島根は一つの大きな選択肢の一つと言えます。

 

次は鳥取県です。

鳥取県のニアショア開発傾向

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ニアショア開発会社群雄割拠 中国地方編

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ニアショア開発及び、アウトソーシング全般、特にコールセンターや事務処理センターなどBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の穴場となっているのが、中国地方です。島根・鳥取・岡山など多くの地域がニアショアの拠点となっています。

 

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ニアショア開発会社 群雄割拠 全国版

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近年海外の開発費の高騰、2020年の新型肺炎の影響もあり、国内の地方に業務を依頼するニアショアが改めて注目されています。当記事では、全国のうち特にニアショアに力を入れている都道府県の取り組み・事業者を紹介しています。
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