首都圏から地方の移住支援なら、最大100万円~300万円の支援制度が多くある。ただ、支援金ありきではなく「やりたいことがあるから」の移住を
以前より続く地方創生策の一環として、移住支援金・企業支援金という形で、東京などから地方への移住に支援金を出す制度が既に存在しています。
首相官邸のページに、地方へ移住しよう 地方で起業しよう 地方でのチャレンジを応援! ~地方へ移住、起業で最大300万円~に、制度の詳細が具体的に書かれています。
ただ、条件が色々限定されることは、注意が必要です。
- 東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県に元々5年以上定住など条件を満たした上での移住が条件(関西・中京地区は含まない)
- 条件不利地域(「過疎地域自立促進特別措置法」「山村振興法」「離島振興法」「半島振興法」「小笠原諸島振興開発特別措置法」の対象地域を有する市町村)への移住が条件
- 単身の場合は減額される自治体も多い(100万円→60万円など)
- 転入先の市町村に、移住支援金の申請日から5年以上、継続して居住する意思を有していること(つまり、5年以内に出て行くと、受け取ったお金を返還しなければならない可能性が高い)
つまり、都会に通算5年以上出勤し、直近1年以上は東京 23 区に在住または通勤、「条件不利地域」と政府が定義するくらいの地方に移住したら、下記を上限に支援金を出しますよ(他にも細かい条件あり)ということです。
また一定期間(多くは5年)定住、途中で引っ越す場合は全額返還(3年以上住んだ場合は半額というケースも)という条件がある地域も多く(地区により異なる可能性も)存在します・・・
なお、制度上のMAX金額は下記の通り。
- 地域の課題に取り組む「社会性」「事業性」「必要性」の観点をもった起業(社会的起業)を支援→最大 200 万円
- 地域の重要な中小企業等への就業者を支援(最大 100 万円※単身の場合は最大 60 万円)
- 地方へ移住して社会的事業を起業した場合(最大 300 万円※単身の場合は最大 260 万円)
上記のものはあくまで最大です。
MAX300万円の支給の場合は、
- 地域にその制度がある
- 世帯を伴って移住
- 田舎で起業
という3要件を満たして、初めてMAX額の300万円の支給になるのです。
例えば、日本一人口の少ない鳥取。
鳥取県に移住・就業・起業される方に、移住支援金(最大100万円)を支給!
次に人口の少ない島根。
秋田は100万円、条件を満たす場合は+100万円上乗せのケースも。
東京圏から(秋田)県内企業へ就業された方に、最大200万円の移住支援金を支給します!
このように、各県でそれぞれ、純粋な移住についても支援制度を設けています。
また市町村でも助成制度を行っている場合がありますので、上記の額に更に上乗せされる可能性もあります。
ただ、少し前にも触れたとおり、就職した会社の倒産などやむを得ない事情がある場合を除き、一定期間(基本的に5年以上)住まずに他の地域に行く場合は、返還義務が生じる可能性も。
鳥取の事例を見てみましょう。
市町村は、移住支援金の支給を受けた者が次の区分に応じて掲げる要件に該当する場合、移住支援金の全額又は半額の返還を請求することとする。ただし、雇用企業の倒産、災害、病気等のやむを得ない事情があるものとして鳥取県及び対象となる移住支援金受給者が居住する市町村が認めた場合はこの限りではない。
(1)全額の返還
(ア) 虚偽の申請等をした場合
(イ) 移住支援金の申請日から3年未満に移住支援金を受給した市町村から転出した場合
(ウ) 移住支援金の申請日から1年以内に移住支援金の要件を満たす職を辞し
た場合
(エ) 起業支援事業に係る交付決定を取り消された場合
(2)半額の返還
移住支援金の申請日から3年以上5年以内に移住支援金を受給した市町村から転出した場合
このように、多くの地域では、5年の居住を原則とし、会社の倒産などやむを得ない場合を除き、3年未満での引っ越しは全額、5年未満での引っ越しは半額の返還を要される。
この点も心得ておく必要があります。
このように、5年縛りという制度があるケースは多いです。
給付金ありきの移住は、本人・会社にとっても、自治体にとっても、お互いに不幸になります。
この地域だからできることがある、その上で「制度が活用できるから利用しよう」というの、健全な関わり方です。
9月25日には、21年度からテレワークで地方移住に最大100万円補助、意義と課題は?という形で、東京の仕事の受けながらの地方移住にお金を出す、という制度も出てきました。
繰り返しになりますが、制度を活用する場合は、「あくまでその地域でやりたいことがある」、併せて「制度があるから活用する、そして5年頑張って住む」、そういうスタンスで考えた方が良いでしょう。