千葉県市川市とエストニアのDX連携のスピード感

千葉県市川市がDX(デジタル・トランスフォーメーション。電子化推進)の一環として、エストニアの電子政府で推進されているX-Roadと呼ばれるデータ連携基盤技術を適用することを発表、しかも訪問後3週間で

 

千葉県市川市がDX(デジタル・トランスフォーメーション)先進都市として、2019年6月11日にDX推進政策の一環として、エストニアの電子政府で推進されているX-Roadと呼ばれるデータ連携基盤技術を適用することを発表しました。

 

「DX先進都市」を目指す市川市、エストニア電子政府のデータ連携技術「X-Road」を採用 | IT Leaders
デジタルトランスフォーメーション政策を推進する千葉県市川市は、エストニアの電子政府で採用されているデータ連携技術を用いて同市のシステムを刷新する。その技術「X-Road」は、複数のデータベースサーバーにエージェントソフトをインストールすることで、データベースに改修を加えずデータ連携を可能にするもの。エストニア政府と同技...

 

2019年5月下旬に、市川市の市長をはじめとする訪問団がエストニアを訪れてから3週間での協定締結というスピード感は、自治体としてはいい意味で異例と言えましょう。

エストニアはバルト三国の一つに含まれる、政府システムのほとんどすべてを電子化した国家です。

 

日本にいながら、e-Residencyという、エストニアの電子国民になれるというシステムで、エストニアでの法人設立ができる、口座開設や電子署名ができるなどのメリットがあります。

 

(詳しくは下記の@e-Residencyの取得を検討しているなら、まず最初に読んでほしい記事」をご参照ください)

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これまで、エストニアの自治体・企業からは、「訪問しても、来るだけでなんの動きもない」という批判が強くありました。

 

ぜひ全文を読んでいただけると幸いですが、特に要点をピックアップすると、

MSN

 

しかし、実際に事業を展開している日本企業はごくわずかで、日本企業の大半は「表敬訪問」を目的にエストニアに訪れる。
そんな日本企業の振る舞いが、現地でひんしゅくを買っているのだ。

 

想像してみてほしい。皆さんの職場に観光気分の外国人が訪れて、プレゼンテーションを寝ぼけまなこで聞き、最後の質疑応答では沈黙。会社のロゴの前で写真を撮り、満足して帰っていく姿を。加えて、通訳を介するコミュニケーションが必要で、会話の速度は通常の二分の一。今後に向けたアクションステップを問われるとダンマリになり、「Keep in touch(連絡を取り合いましょう)」で終わってしまう。そして実際に連絡が取られることは2度とない――。

 

彼らが訪問客と会う理由は、その先にビジネスの機会を見出しているからに過ぎない。ただでさえ労働力が不足している国である。観光ガイドをしているほど、彼らに時間の余裕などない。家族を大切にする分、残業は滅多にしないエストニア人にとっては尚更だ。

エストニアに行く前にまずすべきこと。それは目的意識を明確にすることだ。

 

翻って日本はどうだろう。デジタルファースト法案のニュース1つをとっても、「電子化への不安」という抽象的な理由をもとに反対の声が上がっている。人間が「よくわからないもの」に不安を覚えるのは当然のことだが、不安要素をすべて具体化したうえで、透明性を持った施策を官民で打ち出すことができたのなら、状況は変わるのではないだろうか。

このように、現地でインプットした情報やマインドセットを土台に、自社の事業にどう適用できるのかを思考することは重要だ。その過程を経て抽出されたアウトプットこそ、価値がある情報と言えるだろう。

 

このように、来る事自体が目的化していたことが、エストニアサイドからも問題視されていた中で、市川市は、DX・デジタル・トランスフォーメーションの推進のために、官公庁としては異例の3週間での協定締結、そしてここから導入段階に進んでいくというスピード感に関して、高く評価されてよいのではないでしょうか。

 

日本版「X-Road」に期待、「市川市とPlanetway Japan株式会社との連携等に関する協定」について
Planetway社が、「市川市とPlanetway Japan株式会社との連携等に関する協定」を、エストニア共和国のヴァイノ・レイナルト特命全権大使及びヴィリヤル・ルビ経済通信省副大臣の立会いのもと、締結したことをアナウンスしました。...

 

上記のサイトによると、当初は2,3のシステムに試験的に適用し、そこから運用を広げていくようですが、ここで成功事例ができると、他の自治体にも大きく波及していくでしょう。

 

このエストニアと市川市の提携事例が、全国の自治体のデジタル・トランスフォーメーションのよいきっかけになればと感じます。

 

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