書籍 「僕らはSNSでモノを買う」から考える、スタートアップ・地方企業がSNSを活用するヒント
スタートアップや中小企業、地方企業、個人事業主などにとって、自社のプロダクトやサービスを、どのようにしてアピールし、必要性を感じてもらい、購買行動に移してもらうかということは、常に意識している課題だと思います。
ただ、資金やリソースに限りがある企業や個人では、なかなか広告投入やSEO対策などでできる範囲が限定されます。
その中で見つけた興味深い書籍が、株式会社ホットリンクCMOの飯髙悠太氏の著書 「僕らはSNSでモノを買う」です。
なお、このあとの部分では書籍で気になった部分をピックアップしておりますが、あくまで要点の一部に過ぎません。ぜひ書籍を手にとって、購入されることをおすすめします。
「僕らはSNSでモノを買う」のはどんなときか?
「僕らはSNSでモノを買う」では、既存のPPC広告などの高騰、SEOアルゴリズムの変化、データ量の爆発的な増加、Line@の高騰など近年の傾向を踏まえ、SNSの活用を提唱しています。
「SNSの利用者が増える中で、ユーザー行動なども踏まえた適切な発信を企業が行うこと」を強調し、「それではどのように施策を打つのか」を説明しています。
その中で出てくるキーワードが、UGC(User Generated Contents)。
つまり、SNSの利用者が自然発生的に起こした口コミ。
このUGCの存在が、より重要になってきていると、「僕らはSNSでモノを買う」では解説しています。
UGCは、Twitter、Instagram、FacebookなどのSNSのようにユーザーから自然的に発生するもの、価格.comのレビューや@cosme、Amazonのレビュー(最近は・・・ですが)など、利用者がサイトに投稿したものなどもUGCとして扱っていますが、その中でも拡散力が高いのがシェア・リツイート機能のあるSNSと本書では述べています。
UGCは、
- 知り合いや第三者など、直接利害のない人からの情報のため、信頼性が高い
- 指名検索につながるので、売上に近いユーザーが増え、広告費高騰にも巻き込まれにくい
- 広告よりも行動転換が起こりやすい
- ユーザーが自主的に行うもののため、企業広告よりシェアされやすい
などの特徴があります。
SNSでのフォロワー増は手段であり、目的ではない
SNSマーケティングというと、フォロワー数の増加がKPIとなるパターンも多いですが、これは、
手段であって、目的ではない
とし、最終的に持っていくべきゴールは異なるとしています。
(詳しくは本書をご確認ください)
また、フォロワーの質も重要視しており、「いかにUGCを広げ、取り上げてもらい、広めてもらうか」ということも重視し、短期的な目先の策ではなく、いかに長期的に認知を広げていくかという点も重要視しています。
また、企業による短期的なキャンペーンやバズのことについても、本書で触れています。(こちらも書籍内でご確認ください)
SNSでマーケティングに一番使える媒体、適した商品・サービスは?
こちらも詳しく書くと本書のネタバレになってしまいますので、詳しく書くことは控えますが、一番利用者数が多い媒体ではなく、利用者が2番目に多い媒体であるということは記しておきます。
また、SNSマーケティングで販売促進が見込みやすい商材、サービスとして、指名検索がされやすい商材やサービス、個人であるか、コンプレックス系商材ではないか、コモディティ商品ではないか、場所が制限されるサービスではないかなどの判断基準も本書には示されていますので、こちらもぜひ目を通すことをおすすめします。
SNSが主流となる時代の購買プロセス ULSSASとは?
本書では、ユーザーがSNSを通してものを購買するプロセスを、「ULSSAS」として定義しています。
U=UGC
L=Like(いいね)
S=Search1(SNS上で)
S=Search2(Yahoo!、Google上の検索)
A=Action(購買)
S=Spread(拡散)
というプロセスです。
ひとつ今までと違うのが、「以前は検索エンジンからのサーチ」だったのが、「SNSでのサーチ」→「検索でのサーチ」にシフトし、「より生の声を探そう→なければ検索エンジンで探そう」という傾向にシフトしているということです。
これは本書に書いてあることではなく、個人的な見解ですが、検索ユーザーがよく出くわすのが、「○○について徹底的に調べてみました!」「いかがでしたか?」という流れの、宣伝系サイトではないでしょうか。(もしくはダイレクト・マーケティング色ゴリゴリのサイト)
この2文を見るだけでイラッとする人も多いかもしれませんが、こういうサイトが増えたことも、SNSの方でまず調べる、という流れが強くなってきた一因のように思います。
ULSSASのより具体的な内容や回し方、事例については本書を参照いただくとして、「人がwebでモノ・サービスを探すサイクルが変わってきたことは、ぜひ抑えておくと良いと思います。
スモール・ストロング・タイの法則
本書では、スモール・ストロング・タイの法則というものについても触れています。
意外と意識していなかったのですが、当該ソーシャルメディアでは、全国各地のSNS内でのメンションの傾向として、隣接県内でのメンションが多いというデータが提示されています。
広島であれば、広島・山口・岡山・島根・鳥取と同県内や隣接県と、実は物理的に近い都道府県の人がつながっているという事実も触れられています。
このように、リアルに近いつながりを「スモール・ストロング・タイ」と定義、どのようなフォロワーを集めるのか、フォローするのがスモール・ストロング・タイの活用につながるのかを記しています。
そしてこのあと、後半部で事例も含め様々なヒントが挙げられますが、コアになる要素は、
顧客にとって良いサービス・製品を磨き上げること
であり、よいと思ってもらえるから、UGCが発生、ULSSASの連鎖が起こり、アテンションも積み重なる、結果として販促につながる、という根本のところは大切にする必要があるでしょう。
今回言及したのは前半部分の要点のみです。
後半部分のより具体的な施策については、ぜひ本書をお読みいただければと思います。
また、次の記事では後半部分についても触れております。
「僕らはSNSでモノを買う」に見る、オウンドメディアのあり方とコンテンツについて #ウルサス本