私自身、IT企業を立ち上げて、これまでやってきたこともあり、「起業したいけどアイディアがない。起業する前に何を準備しておけばよいかわからない。」という相談を受けることがあります。
この問いに対する答えを一つにまとめることはできないのですが、サラリーマンとして、過去に企業で働いて何らかの役割を担っていた方であれば、自分のできることで起業して、動きながら社会の課題やマーケットを肌で感じながら進んでいけばよいのではないでしょうか。という言い方をしています。結局のところ、個々に過去に歩んできたストーリーや想いの方向は様々なので、できること(営業でもモノを作るでもサポートするでも何でもよいです)から始める。動いてみてわかることの方が多いというのが実感です。
とはいえ、何らかの道筋を知りたいところだと思いますので、私の失敗談を踏まえてお届けしようと思います。
1.1人ではじめるか仲間を見つけて始める
これは割と重要なところになります。1人で始めてもよいですが、局面局面で物申してくれる仲間がいるというのは心強いです。私も起業当初2人でスタートを切りました。もちろん、企業として登記するより前から共に意見をぶつけて一緒に準備していった方がよいです。
苦しいことも壁を超える体験も仲間がいたから成し遂げられたと思っています。
起業当初は、経済的には苦しいことの方が多いかもしれません。ただ、振り返ってみると夢をみて共に語りあって、かつ私の場合は元々SEとして過ごしてきたので、営業も財務も人脈のつくりかたも法律も何もかも知らないことばかりで、無知だったからこそ失敗を恐れず楽しみながらやってこれたのかなと思います。
今でも、起業時の仲間たちにはとても感謝しています。
2.自分にできることは何か。そこからまず始める
ひたすらアイディアを練って、スタートアップとしてしっかりしたクラウドサービスを立ち上げることから始めてもよいですが、あくまでもプラットフォームなりアプリケーションは手段です。構想を練りながらも、これまでサラリーマンとしてやってきた方であれば、少しは仕事につなげる経験を持っているはずです。そこから始めるのがまず間違いがないです。
僕らは、最初にポータルサイトの代理店事業からはじめました。とても安易な考えで、既存サービスにのっかると割と簡単にお客さんが得られるのではないかと思った記憶があります。そこから徐々に自分たちの武器(ソフト開発)につなげていこうと考えていました。
ところが。。。
このポータルサイトの契約、月に1,000円~というものでこれぐらいなら簡単に契約してもらえるだろうと思っていましたが、飛込営業やテレアポを来る日も来る日も2人で頑張るも、いっこうに契約店舗が増えず。。。ちょぼちょぼという感じで。
当初用意した(銀行で借入した)資本金もアッという間にとけていきました(汗。。。
1年ばかり続けたところ、何とか100店舗(企業)ぐらいお客様ができて、徐々にかかわる人も増えていきました。が、はっきり言って経営の体をなしていないと言える収支でした。
このままではまずい。。。
ということで、既存のお客様にサイト制作やソフトの仕事を提案しはじめました。
結局、自分たちのできることに立ち返ったことで、徐々に大きな仕事を任せてもらえるようになってきて、3年目ぐらいでやっと黒字化。年々取引する相手も金額も大きくなっていきました。
最初からそうしとけばいいじゃん!という話で、お恥ずかしい限りですが、
「自分で動いてみて、はじめて気づく」
「自分の武器を軸に動くと驚くほどパートナーの輪も広がる」
「一定の信念を持って続ける(やめていく企業も多いので勝てる)」
ということに、やりながら気づいた。という感じでした。
3.3年間は続ける。1人何役もこなす
正直、楽して何かを実現する。というのは不可能です。
起業後数年は、(よっぽどの天才は除いて)遊ぶことも、友人や家族と過ごす時間もある程度は犠牲にして、没頭する人であることが望ましいです。
頭でっかちになって、時間的価値やスマートにこなすことにこだわっても社会やお客さんはそう都合よく対応してくれません。一生そんな動き方を続ける必要もないですが。。。あくまでも起業後3年目ぐらいまでの話です。
僕らの場合、昼は営業して、夜物を(ソフトウェアやサイト)作って、という毎日を繰り返していました。さらには、新規事業も模索していたので、1日最低15時間は働いていたような気がします。
オフィスの掃除も宅急便の受け取りも請求書や郵便物の送付も全部やる。一人何役もこなすから、マーケットが見えてくるのではないかと思います。そこに自分たちの武器であるITがどのように解決に繋げられるか。日々そんなこばかり考えて過ごしていました。
1万円の仕事から徐々に大きくなっていき、100万円の仕事、1,000万円の仕事とどんどん大きな仕事を任せてもらえるようになり、そのたびに仲間と喜んでいたのを思い出します。
結局のところ、
「継続は力なり」。
だったわけです。そのなかで、環境の変化を読み取り、武器とする軸は変えずに自分たちもマイナーチェンジを繰りかえし、徐々に仲間を増やしていくことで、役割と権限の委譲を行ってきました。
なんだ、そんなことかと思われるかもしれませんが、そうなんです!
いかにくじけて退場していく経営者の多いことかというのをたくさん見てきました。
「継続は力なり」
なのです。