税込6万6千円予定の『ドラえもん』豪華愛蔵版 全45巻セット“100年ドラえもん”から考える、三方良しの売り方

ドラえもん0巻をテーマにした記事が、休日にもかかわらずいろいろな方に見ていただいたので、今回は、0巻の中でも告知されていた、「ドラえもん愛蔵版45巻セット」を、ビジネスの観点から見た話を書きます。

 

一言でいうと、ユーザー、出版社・藤子プロなどステークスホルダー、販売店という、「買う側・売る側・作る側」にとって「三方良し」の仕組みで作られた製品と感じます。

 

まだ詳しい情報はこれからドラえもん公式サイトで明らかにされていくと思いますが、コミックナタリーなどで一部情報が解禁されていますので、これらの情報を踏まえながら書いていきたいと思います。

 

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『ドラえもん』豪華愛蔵版 全45巻セット“100年ドラえもん”は完全予約制で、期間限定・希少性という日本人の好きな要素を抑えている

『ドラえもん』豪華愛蔵版 全45巻セット“100年ドラえもん”は、50周年という節目と、ドラえもんのファン層の広さなど様々な要素を踏まえて開発された記念書籍集と感じました。

 

書籍の販売形態として、100年ドラえもんは2020年2月から予約開始、2020年9月から発送という形で、完全予約制という形となっています。

 

今のところ数量限定はないものの、今後の注文状況などによっては、数量限定や期間の短縮などが入ってくるかもしれません。

 

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“100年ドラえもん”の完全予約制のメーカー・販売店にとってのメリットとは?

 

このため、作る側としては、先に注文を取り(そして多分、前金で受注・キャンセル不可という条件になると想定)、発注数に応じ製造し、後で発送するということができます。

 

小売り、特に出版業界の版元の場合は、在庫リスクというのがつきものです。

 

ですが、クラウドファンディングや今回の完全受注生産のように、先に注文を受け、代金を先払いしていただくという形であれば、在庫余剰のリスクを相当減らすことができます。

 

そして今回、どのような売り方になるかはわかりませんが、必ず「街の書店を通したチャネル」は入れると思います。(チラシ・注文書による昔ながらの受注方式)

 

また、小学館での直販やオンライン書店での直販も入れる可能性もあるとは思いますが、「完全予約制・前金・リアル書店を極力優先」という形を出してくるのではないか、とも推測しています。

 

街の書店としても、在庫リスク他様々なリスクが少なく、単価も大きいため、粗利は不明ですが、1件受注を得るだけでも、コミック雑誌が一気に100冊くらい売れたレベルの売上が立つので、とてもプラスになります。

 

ドラえもん0巻は、100年ドラえもん愛蔵版45巻セットの入り口?

前の記事でも触れたとおり、先日発売されたばかりのドラえもん0巻は、発売前から重版、既に累計25万部(2019年11月末の時点)と、記録的なヒットを飛ばしています。

 

担当者の勝手な推測ですが、ドラえもん0巻には、「記念碑」的な意味に加え、100年ドラえもん愛蔵版45巻セットの入り口、いわゆる「フロントエンド商品」という性質も若干含まれているように感じます。(そして100年ドラえもんがバックグラウンド商品)

 

0巻の帯裏には、“100年ドラえもん”2020年刊行決定!!!・最新情報は随時発表

100年ドラえもん 刊行決定

と記されています。

 

小学館としても、0巻の売れ行きを踏まえ、ドラえもんをこの50年の節目で、特別な豪華版として再版する上の見込みを立ててくるかと推測します。

 

この0巻を買った人を、仮に現在の発行部数、25万部(25万人)のうち、1000人に1人、つまり0.1%が、愛蔵版45巻セットを購入したとします。

 

母数だけでも2万5千人、そこに66,000円をかけると、1,650,000,000円。

 

桁を読んで、「えっ?」と読み返したのですが、「16億5千万円」。

もちろん、これはあくまで極めて単純化した仮定ではあります。(1000人に一人は多いよ、というツッコミもあるかと思います)

 

ドラえもんは全世代に通用するコンテンツで、「6万6千円でも置き場所さえ許せば買うよ」とう余裕のある人も少なくないでしょう。

 

そもそも、ドラえもん0巻だけでも、消費税を抜きにして、700円×25万部=「1億7千5百万円」と、出版社・小売り・取次に対しかなりのプラスになっているでしょう。

 

また、「ネット書店が売り切れなので、久し振りにリアル書店に足を運んだ」という人も少なくないかと思います。

 

また、この0巻は話題性があるため、今後も発行部数が増えたり、通常のコミックスの売れ行きにも波及することが大いに考えられます。

 

出版社としての中では、そこまで大きい数字ではないかもしれませんが、書店など販売店、取次に取っては、0巻の売上に加え、過去45巻への広がり、そして100年ドラえもんなど、相当プラスの影響があるでしょう。

 

ドラえもん0巻と“100年ドラえもん”から考える、三方良しの売り方

この100年ドラえもんは、読者から見たら「50年の記念に欲しい」と思わせる豪華な作りにしてくるでしょう。

 

現在でも、ハードカバー・天金(上に見える切り口を金色で塗ることにより、虫害などを防ぎ、紙面の保存性を高める)・箔押しなど高級感ある想定を謳っていますが、全体を金箔で塗る三方金などより豪華かつ、長期的に書籍に置きたいと思えるような「作品」に仕上げてくると思います。

 

そして、ドラえもん0巻を紙で手に取った人は、「電子書籍もいいけど、リアルな単行本もいいよな」と、改めて書店・紙の書籍に目を向けるケースも出てくると想定できます。

 

その点で、販売店・取次にとっては、今回のドラえもん50周年は大きなチャンスでしょうし、もちろん小学館としても、利益が得られることになるでしょうし、他のコンテンツにも良い影響が波及していくことが想像できます。(そして、製本事業者としても、現代ではなかなか活かしにくい高度な技法が使え、高単価で受注できると思いますので、ある意味、読者・出版社・藤子プロ・書店・取次・製本業者と6方良しと言えるかもしれません)

 

ドラえもんの放送枠時間(金曜午後7時から土曜午後5時)の移動騒動はありましたが、今回の「ドラえもん50周年」「ドラえもん0巻」「100年ドラえもん」が、様々な意味で、ドラえもん、出版界にいい影響を及ぼすといいな、と思います。

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