バンダイナムコの島根スサノオマジック買収に見る、ライフエンターテインメント事業へのシフト

バンダイナムコがバスケットボールチームの島根スサノオマジックを買収、その意図は?

 

バンダイナムコといえば、古くはパックマン、ギャラガ、ゼビウス、鉄拳シリーズ、太鼓の達人など、ロングセラーコンテンツを有するナムコと、機動戦士ガンダム・ドラえもん・アンパンマン・ワンポース。ドラゴンボールなど様々なキャラクターコンテンツを有するバンダイ、ガンダム系のゲームを中心に展開していたバンプレストを母体にした、総合エンタテインメント企業です。

 

現在ではアイドルマスターのアジア展開、NARUTOのアメリカ等、海外へのコンテンツ進出(NARUTOは、TBSのSASUKEがNinja Warriorとして海外でヒットしているように、受け入れられやすい土壌があるのでしょうね・・・)など、海外にも幅広く事業を展開しています。

 

そんな中で突然の、「バンダイナムコ スサマジの経営権取得」という地元紙の記事。

 

拠点は島根に置いたままで、球団名もそのままという形で、経営体制はこれから詰めるそうです。

 

バンダイナムコエンターテイメント社長の宮河恭夫氏は、会見で、

  • チーム名が気に入った
  • 地方との共生で新しいことに挑戦する

の2点を挙げています。

 

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バンダイナムコエンターテイメントのコンテンツ展開力

 

バンダイナムコは、E-スポーツ方面でTEKKENなど知名度のあるコンテンツを有しています。

 

バンダイナムコのIRでは、

中期計画では、バンダイナムコグループ最大の強みであるIP*を、最適なタイミングで、最適な商品・サービスとして、最適な地域に向けて提供する「IP軸戦略」をさらに進化させ、グローバル市場での浸透・拡大を目指すとともに、今後成長の可能性が高い事業や地域、ターゲットに向けた展開を強化

 

世界のエンターテインメント市場における環境や顧客志向の変化、新たな競合の登場などを踏まえ、具体的な戦略推進にあたっては、従来のビジネスモデルや常識にこだわることなく、次のステージに向けあらゆる面で変化するグループとなることを目指します。

ということで、既存コンテンツの活用だけでなく、変化・新しい分野への進出などをトップメッセージとして提示していますが、その一つがBリーグチームの経営権取得というのは、非常に興味深く感じます。

 

やはり、島根スサノオマジックに限らず、地方のプロチームというのは、運営や財政面で手一杯で、新しいことをする余力、チームをコンテンツ化するという点で、大きな課題を抱えています。

 

しかし、バンダイナムコは、コンテンツ・キャラクターの活用やマネタイズ、海外展開など、地方のチーム単独では難しい様々なノウハウを有しています。

 

あわせて、スマホやSNSとの連携、物販の強化、コンテンツの商品化など、バンダイナムコならではの、「ネットとリアルの融合」のノウハウも有しています。

 

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近年、大手企業によるプロチームの経営権獲得やプロ経営者の参入が相次いでいる

 

Bリーグにおいては、mixiが千葉ジェッツの経営権を2019年4月に取得、オープンハウスが群馬クレインサンダーズの経営権を取得、子会社化、NOVAホールディングスが広島ドラゴンフライズの経営権を取得、子会社化するなど、大手企業による資本参加の流れが強くなっています。

 

Jリーグでは、2014年、楽天のヴィッセル神戸の全株式取得を皮切りに、2017年にはV・ファーレン長崎の経営権をジャパネットホールディングスが取得し、高田明氏自身が社長として参画し、チーム運営にも携わり、2018年にはサイバーエージェントがFC町田ゼルビアの経営権を取得するなど、既に大手企業の参画がスタートしています。

 

また、2019年7月には、メルカリが鹿島アントラーズの経営権を取得し、8月30日には発行済株式の6割を取得する方向で進んでいます。

 

このように、Bリーグ、Jリーグの経営権を取得する会社には、今の時代ならではの共通項が2つあります。

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Jリーグ・Bリーグの経営権を取得する会社の2つの共通項は?

Jリーグ・Bリーグなどプロスポーツに参入する(経営権を取得する)会社は、2つの特徴があります。

 

一つは、IT,ネットとリアルの融合に強みを持つこと。

もう一つは、営業力・販売力に強みを持つこと。

 

近年プロチームを買収する事業者は、どちらか、もしくはその両方を併せもつ会社といえます。

 

例えば、バンダイナムコエンターテイメントをはじめ、mixi(XFLAG)、サイバーエージェント、楽天などは、ネットとリアルの融合という点で、強みを持っています。

 

また、自社サービスと球団の運営、アピール、物販など様々な部分をリンクさせることができます。

 

一方、ジャパネット、オープンハウス、NOVA(親会社のG.communicationも含め)などは、営業力・販売力・事業展開力など、「リアルで売る力」を持つ会社という側面があります。

 

Bリーグ、Jリーグともに、様々な魅力を持つ一方、経営の安定化というのは多くのプロチームが抱える課題ではないかと思います。

 

バンダイナムコエンターテイメントは、島根スサノオマジック買収を、ライフエンターテインメント領域の中の、スポーツへの進出とプレスリリースで打ち出しています。

 

キャラクター主体のIP(知的財産)ビジネスだけではなく、様々なリアルのエンタテインメント領域にバンダイナムコエンターテイメントが踏み込む布石の一つが、この島根スサノオマジック買収ではないかと推察します。

 

今回のバンダイナムコエンターテイメントによる島根スサノオマジック経営権取得に限らず、資本を持った企業、チームの収益力を底上げし、選手が実力をつけることに専念できる環境、選手とファンが様々な形態でコミュニケーションを取れる体制作りなど、企業によるプロチームへの資本参画が、両者にとって良い方向に進み、良いモデルケースとなればと考えます。

 

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