現状において、経営者が取るべきステップは、信頼確保→止血→キャッシュを手厚く→次の打ち手を考える

現在、多くの会社が「いかに現状を乗り切っていくか」というところに、非常に神経をとがらせていると思います。

 

この時期だからこそ、あえて落ち着いて取り組みたい、経営を守る打ち手・ステップについて書いていきます。

 

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従業員・取引先・ステークスホルダーを守る、大切にする

キャッシュ確保も大事ですが、その前に、周囲に不安感を与えないためにも、しておくべき事があります。

 

まず従業員、取引先(仕入れ業者・外注先・販売先)やステークスホルダーを大切にする(切らない・宿泊施設など一部の業態は仕方ないが、今回の状況による値引きや取引停止を行わない)こと、安心感を与えることが大切です。

 

そして、従業員たちと、共に現状を乗り越える気持ちを持つことも欠かせません。

 

特に、社員に向けては、「事業継続の見込みがある業種・業況」の場合は、

  • 雇用を守る
  • 社員に通常通りの給与を払うとともに、仕事がない場合は雇用調整助成金などを活用し、オンライン研修や社内体制の見直しなど、今まで仕事に追われ、できてこなかったことを整備しておく
  • 家族も含めて守り、家族の体調に問題のある場合は、極力テレワーク・在宅勤務・看護休暇を取らせるようにし、安心感を持たせる
  • 業種によっては、隣接業態・別業態へのシフトなど、トップと従業員が、共に生き残ることを考え、実行する

ことが大切になってきます。

 

現在の状況下では、多くの人が不安を持っているかと思いますが、

  • できるだけ安心させるよう、社内にアナウンスを出す

とトップが落ち着いた行動を示すことが必要になります。

 

加えて、本人ではなく、家族が新型肺炎の関係で職を失ったり、体調を崩しているケースもあるかもしれません。

 

この場合、厚生労働省の働く方への支援策のサイト内の、働く人向けのリーフレットを印刷して渡し、こういう支援策があるのだよ、ということを伝えることで、働く人への配慮を示すことができます。

 

また、経営者向けのリーフレットもありますので、ぜひ「今はこういう施策があるのだ」と把握する意味でも、目を通すことをお勧めします。

(他にも新型肺炎対策の融資関連・相談窓口まとめは、以前の記事でもいろいろ書いております

 

一方、この状況下で、仕事のニーズが激増している業界もあるでしょう。

 

その場合は、

  • 従業員を労い、衛生環境に配慮しつつも、「都市封鎖・スペインのように業務自体の停止」など、これまで考えられなかった事態が起こることも踏まえ、後述の手元資金の確保に取り組む

ことが重要になります。

融資などで手元資金・金融機関との信用を構築しつつ、

  • 需要増に供給が追いつかないことがないよう配慮
  • 需要が一段落して、在庫や人員がダブつかないよう、過度なアクセルを踏まない

よう注意し、特に黒字倒産がないようにしておくことは大切です。

 

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取引先・外注先・ステークスホルダーに安心感を持たせる

この、取引先や外注先、その他関与先に安心感を持たせる、またこの時期の、「取引停止・値引き要請」は、絶対避けるべきです。

 

宿泊・飲食・運輸交通など、どうしても需要が落ちることがわかる業界の場合は、仕方ないかもしれません。しかし、基本的に今のタイミングで、外部の事業者と取引を打ち切ったり、契約社員・派遣社員・業務委託先などとの契約を終了する、額を減額する、仕入れ業者・外注先・販売先に値引きを請求するなど行うと、「この会社は大丈夫なのか」と思われてしまい、金融機関も含め、一気に外部の目が厳しくなる恐れがあります。

 

そして、中小企業庁も、3月に、新型コロナウイルス感染症により影響を受けている下請事業者との取引について、一層の配慮を親事業者に要請しますという記事で、下請け事業への配慮を呼びかけています。

 

もし取引先から不当な要求を受けた場合は、中小企業庁の下請けGメンが存在しますので、相談してみるのも一案です。

 

いずれにせよ、従業員・関与先に安心してもらう、落ち着いてもらうのがファーストステップです。

 

なぜこれを最初に置いたのかというと、次以降の手段を先にやってしまうと、社長が金策に走り回っているけど、従業員・関与先が「ウチは大丈夫か」、「クライアントは大丈夫か」となって混乱し、足下がぐらつく恐れがあるからです。

 

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(状態によっては)税金等の猶予申請、支出の引き締め、銀行の支払いのリスケジューリングで出血を止める

まだ余裕がある会社の場合は、もちろんこういう事を行う必要はありません。

 

しかし、「うちはどうか・・・」という状況の場合、各種税金の支払い猶予を申請、接待交際費や不要な買い物の停止、銀行に対し、返済計画の見直しを相談するなど、今現在出されている施策は最大限に使い、出血を止める必要があります。

 

ポイントは、

  • モノ(設備投資や安全への投資は除く)はケチれ・切れ、ヒトはケチるな・切るな

です。

あくまで不要なモノ、サービスへの支出は抑えつつも、人に関しては、大切にしていくことが肝要です。

また、銀行のリスケジューリングについても、3月27日に金融庁が出したパンフレットのように、条件変更に対し柔軟な姿勢を取る金融機関の事例も目立ちますので、ぜひ「実際に金融機関ではこういう取り組みをしているということを把握しておくことがよいでしょう。

 

実際、金融機関での事例としては、

・事業者からの条件変更等の相談があった場合には、審査を行うことなく、まずは、3ヶ月の元金据置ないし期限延長を実施

・受注が大幅に減少した事業者に対し、積極的な支援策としてまず1年間の元金据置を実施。将来の資金面の見通しがついた時点で、見通しに合わせ返済期限を柔軟に延長予定

・返済財源等に見通しが立たない場合に、一旦、6ヶ月程度の短期資金の貸出で対応し、その間に資金面・事業面でどの様な対応策が考え得るか、事業者とともに検討

・融資実行にあたり、資金収支の状況など必要な情報についての資料がそろっていなくても、聞き取り・ヒアリングで足ることとする

・条件変更について柔軟に対応することとし、必要な事業計画等の書類については、業況が落ち着いてから後々でよいとの取扱い

・新たな資料・データを求めず、原則、過去に提出を受けたデータ等により融資や条件変更等の可否を判断し、確認が必要な情報についても、すぐに提出が可能な直近のデータ等のみで対応

・足許のキャンセル対応等に追われる事業者に対し、今後の資金繰り懸念を勘案し、急を要する支払と、要しない支払に分類した上で、急を要しない支払の繰延の検討など、資金繰りのアドバイスを実施

 

など、非常に柔軟な姿勢をとる金融機関の事例が書かれています。

 

こういう事例があることを知った上で金融機関と話し合うことは、金融機関の本質(きちんと今の社会に対応しようとする姿勢があるか)を改めて確認する上でも重要です。

 

ただ、大切なのは、

  • 必ずこちらから話を持ちかける必要がある、できるだけ早めに

ということ。

 

 

延滞などがおこってからではなく、時間がなければまずは取り急ぎ電話、そして簡単な現状を話す。

 

これが大切となります。

 

自社からアクションを起こさないと、どんな条件変更もできません。

 

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顧問税理士など専門家・商工会議所(商工会)・各種公的相談窓口・金融機関など、あらゆるルートをあたり、資金調達を行う

まず、可能であれば自社の財務状況を熟知している、顧問税理士を通して、融資を受けられるルートを探すのが望ましいでしょう。税理士の先生も、相当忙しい時期ではあるとは思いますが、紹介がとれる手段を教えてもらうだけでも、相当プラスになります。

 

税理士など信頼できる専門家からの紹介だけでも、大きなアドバンテージになります。

 

書類自体は、自分で原案を書いて、税理士などプロに手直ししてもらうとよりベターかと思いますが、いずれにせよプロの力を活用しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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