給付金・助成金・補助金・支援資金の違いとは?改めて整理(2021年8月版)

現在、国や地方自治体、その他団体が様々な企業・事業主・個人のための支援制度を作っています。

この名称は、支援金・助成金・補助金・給付金と様々な名称があり、完全にもらえるものから、一部補助という形となるものまで多様です。そのため、一般の方にとってはわかりにくいところがあるかと思います。

一例として、日本政策金融公庫の「○○支援資金」というのが存在します。これは、何かの事業に対してお金を支援、もらえるというものではなく、利息を軽減してくれるものです。「支援資金」という名前のため誤解がありますが、あくまで借入です。

このように、それぞれ名称で違いがあるので、簡単に整理しましょう。

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給付金とは?

給付金は、

  • 基本的に個人向けのもの
  • 条件を満たし、申請をすれば受給できる、「返済の必要のないお金」

と考えておくとよいでしょう。

たとえば、住まいを失った人向けの住居確保給付金や、失業給付、はわかりやすい例です。

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助成金とは?

助成金も、返済の必要がないという点では同じです。

ただし、

  • 一定条件に当てはまれば原則支給される
  • 厚生労働省が所管するもの(雇用調整助成金など)が大半
  • 業として申請を代行できるのは、社会保険労務士のみ(もちろん、会社の経営者・職員が申請を行うことは問題ない)
  • 補助金は、「あることにお金を使ってから補助することが前提のケースが多い」が、助成金は使わなくても補助がある
  • 法人税の課税対象となる

などあり、特に厚生労働省の「人の雇用」・「雇用環境」・「人材育成」に関する助成が多いです。

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補助金とは?

補助金は、厚生労働省以外の各公的機関等が行う支援策です。

  • 申請すれば必ず受給できるというわけではない(審査がある)
  • 基本的に特定の用途・事業のみに利用できる
  • 費用の全額を負担してくれるケースより、半分など、一定割合の補助のケースが多い
  • 審査が厳しい補助金も増えている
  • 作成する書類が煩雑
  • 受給後、報告の必要がある
  • 報告内容などによっては、当初の支給決定額より支給額が少なくなる可能性も
  • 法人税の課税対象となる

などの特徴があります。

助成金によくある、基礎的な疑問・誤解を、Q&A形式でシンプル・端的に解説!

では、助成金に関してよくある疑問や誤解を、Q&A形式でまとめていきましょう。

なお、今回の記事に関しては、あえて非常に簡単な部分のみについて触れていきます。

Q.そもそも助成金ってなに?

企業等向けに、「こんなこと・新規事業がやりたいけど、お金がかかるな・・・」という時に、国・地方自治体・その他団体が、一定割合から全額を補助してくれる制度ですよ。

Q 助成金って、申請が通ればもらえるの?

原則後払い、そして、実際にかかった経費に対して後から振り込まれる形が大半です。つまり、「助成金で給付される以上の分は先払いできる余裕がないといけない」と考える必要があります。

Q うちは法人じゃなくて、個人事業主だから、助成金は一切対象外なの?

額の大きい助成金は、おおむね法人が対象ですね。

けれども、個人事業主でもOKな助成金も複数ありますから、公募要領・募集要項などを読んでみて下さい。

Q その、「公募要領」とか「募集要項」ってなに?

補助金というのは、元は国や地方自治体のお金、つまりまわりまわって私たちの税金から出ているものですよね。

助成金は、「何か新しい試みを行う」という前提があるから、何でも出してくれるわけではないんですよ。

そこで、補助を受けるためには、細かい決まりがいっぱいあるんです。

条件・対象者・金額・申請する必要がある内容・申請した後の報告・・・、その他いっぱい。

その取り決めをいろいろと書いてある書類が「公募要領・募集要項」ですね。

Q 申請後の報告・・・、そういうものまで必要なんですか?

もちろん補助金の種類にもよりますけども、基本的には報告が必要と考えておく必要がありますね。

直後に報告するだけですむものもありますし、複数回報告したり、申請してから数年間、毎年事業報告などを行う必要がある補助金も多いです。

Q 補助金、結構手間なんですね・・・。

お気持ちはわかります。

でも、公からお金が出ていて、目的があって補助をしているものなので、きちんと「このお金を使ってこうなっています、こうなりました」という報告は必要なんですよね。

また、報告をするためには、事業の改善や財務体質の改善など、「自社の何かをよくする」ということが前提の補助金もありますので、そういう補助金を活用するということは、自社のビジネス体制を改善するきっかけにもなるんですよ。

人間、ダイエットや節約などと同じで、目標や強制力がないとなかなか手をつけないものですからね・・・。

そして、補助金・助成金を活用する段階では、専門家への相談や、総務・経理等部門の補助金・助成金に対する理解、その他関係部門の協力が重要になります。

書類作成や各種整備は確かに大変ですが、ある意味、企業にとって事業を改善したり、売上を向上するための「伴走者」的側面があります。

補助金を受けるときもですが、補助金を受けた後の報告も重要ということを念頭に置いておきましょう。

補助金申請書類の書き方で注意するポイント

補助金申請では、要綱や記載例で具体的なテンプレートが定められているケースと、ページ数の限定ほどあり、書き方はフリーという2パターンが存在します。

公募要領で書き方を示されているケースと、そうでない自由記述のケース双方で、どのように書いていくのが望ましいか、という一つの考え方を呈示します。

最初に、重要な大前提を。

補助金審査の担当者の気持ちを考えて、書類をつくる

補助金申請を行う上で、重要な原則が、「補助金の審査担当者の立場を考えて書類を作る」という点です。もし自分が、「1日に同じような書類を数十通読み、評価を付けていくという立場」だったらと考えます。

そうすると、

  • テンプレートを指定している場合は、テンプレートに沿った図表がよい
  • 公募要領の内容をきちんと把握した申請書である
  • 指定のページ数内におさまっている
  • ダラダラした長文より、要点を箇条書きで整理するなど、メリハリがあり、要点が入って来やすい申請書がよい
  • 文字と数字だけずっと書いてあるより、写真や図表など、ビジュアルもあった方が読みやすい
  • 誤字・脱字がない
  • ページ・字数指定がないものについても、ただやたらと分量が多い物より、要点を凝縮して整理したものの方がよい

など、審査する側の立場を考えると、

  1. 公募要領に沿っている
  2. 読みやすさに配慮する

上記2点が、申請書の読み手である審査側への配慮として重要になると言えます。

基本的には、公募要領や例で示されたテンプレートを使うのが望ましい

テンプレートをそのまま使った方がいいケースは、公募要領や書き方の例で、具体的に書き方が示されているパターンです。

これに関しては、審査する側も、書き方の例を元に審査する可能性が高いと推測されます。(例外もありますが、後で述べます)

公募する側が、「こういう感じで書いて下さいよ!」と示しているのに、申請書が、あまりにもオリジナリティあふれるものとなっていると、審査担当者は、「熱意はわかるけど、正直読みにくい・・・」となってしまう可能性があります。

小論文や記述式の試験などでは、多くが「こういうポイントが書いてあると何点」など、採点者によってばらつきが生じないように、採点の基準を決めています。

補助金申請においても、複数の審査担当者・審査委員会の人員で審査を行う以上、担当者によってばらつきが生じないよう、「こういうポイントを抑えてある場合は加点」「事業計画の実現可能性が客観的に理解できる場合は加点」など、何らかの基準がある可能性は高いと推測できます。

そういう基準が決まっているところに、フォーマットを飛び越えた書き方、例えば「熱意と根性とやる気でなんとかします!やることは決めていきませんし、具体的な数字は決めていませんが限界までがんばります!」のようなものが来たら、読む側としては「はぁ・・・・・・要項読んでない・・・、残念」となるでしょう。

熱意があるのは当然としても、

  • 具体的に補助金で何をするか
  • 目標数値
  • 現状のリアルな数字による把握
  • 今後どのように改善できる見込みかという自社なりの計画

このような数値・記載なしには、書く側も評価ができません。

なお、テンプレートがないケースは、経営革新等支援機関認定機関に相談したり、地域の商工会・商工会議所等に相談し、「こういう点を盛り込んで下さい」というアドバイスを受けて書くのが無難と言えます。

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補助金の返還などペナルティも?補助金活用における注意点を確認

国などが行う補助金に関して、「これをやると補助金が給付されない、減額される、場合によっては社名の公表や返還請求命令を受ける」など、様々な注意点があります。

補助金としてはメジャーな「小規模事業者持続化補助金」をベースに紹介しますが、他の補助金でもパターンは似ているケースが多いですので、補助金全般に関する留意事項として捉えて下さい。

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補助金の趣旨を、申請事業者自身が理解する必要あり!

補助金を申請する際、自社だけで書類を作成するのは難しいので、外部の専門家に依頼するケースもあるかと思います。

実際、多くの事業者が、中小企業診断士や税理士・商工会・商工会議所・金融機関・コンサルタントなどの支援を受けながら、補助金のベースとなる書類を作成しているというケースは少なくないと推測できます。

外部の専門家に依頼する理由は、下記のような理由・メリットがあるからです。

  • 経営者自身が業務に忙しく、独力で書類を作成するのは難しいケースも多い
  • 自身の中で考えていることを、計画書や書類などに落とし込む事が難しい
  • 外部の専門家は、事業を外から見る立場のため、事業者自身が気付いていない強みを見つけることができる
  • 外部の専門家は、これまで様々な補助金を手がけているため、「こういう書き方だと、審査を担当する人にきちんと理解してもらえる」という書き方がわかる
  • 外部の立場から、対象の会社のボトルネックとなっている部分を把握し、「こうすればより収益性が高まる、業務が効率化できる」という部分を見つけ、補助金をより効果的な部分に投入しやすくなる
  • 補助金の公募要領は、難しい言葉が多い。その文言を、「つまりこういうことなんですよ」とわかりやすく翻訳してくれる

以上のように、様々な理由・メリットがあります。

とはいえ、これはやってはいけないということが一つあります。

外部の専門家への丸投げです。

「うちは難しいことはわからないので、専門の人に全部まかせておくわ」ということは認められません。

きちんと経営者やスタッフが補助金の意図を把握し、それに沿った方向性を行ったり、物品の処分等、各種留意事項について、会社やお店全体が気をつけておかないと、後で大きな問題になる可能性もあります。

経営革新支援機関や中小企業診断士は、あくまで経営者のパートナーであり、丸投げをするのではなく、一緒に伴走していくマインドが必要です。

ぜひ、経営者・支援者がしっかりと話し合い、どう改善をしていくか、その上で、補助金をどう活用するかをしっかり考える必要があります。

支援資金とは?

支援というと、赤十字の支援金など、支援を求める団体に対して寄付されるというイメージがあるので、「もらえるもの」と勘違いしがちです。

しかし、地方自治体や各種公的団体の制度では、

  • 総合支援資金貸付(社会福祉協議会)
  • 再挑戦支援資金(日本政策金融公庫)
  • 事業承継・集約・活性化支援資金(公庫)
  • 働き方改革推進支援資金(公庫)

など、あくまで貸付で、ただその分利子を優遇しますよ、という仕組みとなっています。

そのため、「支援資金」という響きから、「もらえるもの」と勘違いしないよう注意が必要です。

また、どの給付も、虚偽などがある場合、返済の義務が生じるので注意が必要です。

 

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