企業の成長と正社員など働く人の安定性とのバランス

以前、体重計などで有名なタニタが、「希望する社員を個人事業主に移行」という形で、様々な議論を呼んでいます。

 

この形態は、「多様な働き方や柔軟な働き方を支援する制度だ」という意見もあれば、「労働者(業務請負者)が、いざというときに切り捨てられる、課題のあるやり方だ」という意見も出ています。

 

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現在の「正社員」という体制を維持するのは、社会的に無理が来ている

現在、会社の寿命に関しては、10年、5年、20年など様々な期間があります。

 

ただ、総じていえるのが、「大卒後新卒入社の22歳から定年の60歳」の38年間、持続して発展する企業というのが限られるということでしょう。

 

例えば、一世を風靡したライブドアは、会社ごとなくなり、40年、50年と続いた歴史のある会社でも、景気の変動、そして2020年はCovid-19の影響で、大打撃を受けたり会社が経営破綻、買収されリストラが行われるケースも増えています。

 

一方、サイバーエージェント・GMOのように新興企業であっても、徹底的な営業力で伸び続ける企業もあります。

 

ともかく、一度入社した会社に定年までというケースは、公務員(公務員も、郵政などの事例があるので長期的にはわからないですが)等でもない限り、相当減ると推定します。

 

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会社としても、ぶら下がり社員はいらない

今現在、会社の中で中枢を占める立場になってきているのが氷河期世代(ロスジェネ世代)ですが、少なくない会社で、人事制度の改定などで、バブル世代と氷河期世代の給与カーブ・評価制度などが異なり、世代間の断絶を生んでいるケースもあります。

 

また、氷河期世代の中には、新卒の時点から企業に入社できなかったり、アルバイト・派遣など不本意なポジションで働き、文字通り「食いつなぐための仕事」に従事した世代も少なくないかと思います。

 

一方、バブル社員の一部、そして世代を問わず一部の出世を諦めた社員は、「ローンや生活もあるので、なんとかしがみつこう」と、事業の発展ではなく、自己保身のための社内政治、優秀な人材の足の引っ張り、「自分がいないと回らない」ブラックボックス業務の作成、非生産的な作業などにしがみつき、企業の生産性向上を阻んでいる側面も想定できます。

 

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解雇の妥当性を満たすことが、建前上必要

とはいえ、「この人使えないから、解雇しよう」ということは、現在の労働法上、容易にはできません。

整理解雇の四要件として、

1 人員整理の必要性

2 解雇回避努力義務の履行

3 被解雇者選定の合理性

4 手続の妥当性

という条件があり、「どうしても人員整理の必要があり、解雇しないですむように頑張ってきましたが無理です。そのため、こういう理由でこの人を選び、しかるべき手続きを通して、やめていただきます」

という段階を踏まないといけません。

 

人員整理の必要性を満たすためには、契約社員・派遣社員などとの契約を終了し、職場をさってもらわないといけない課題もあります。

 

(ただ、企業規模によっては、形骸化しているところも少なくないかと思います)

 

そのため、大手企業では、退職金割り増しで希望退職を募る(そして、業務への貢献度に課題がある社員に、強要にならないギリギリのところで制度利用を進める)、企業によっては押し込み部屋を用意し、やめたくなる業務に従事させるなどの事例も報道されました。

 

この状況は、労働側、使用側双方にとっても不健全です。

 

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大企業でも安泰ではないということが示されたここ10年

以前は、ここに入れば一生安泰というイメージのあった会社、例えば電力会社・航空会社などでさえ、さまざまな内部・外部の事情により、大幅な人員削減を余儀なくされるケースがあります。

 

また、各産業のリーディングカンパニーと呼ばれる会社や、2番手・3番手の会社でも、合併・買収などが起こり、合併した会社の中でダブついている人材は、どうしても存在意義が問われ、「経営統合による合理化」がスタートすると、彼らは一番先に整理対象になりかねません。

 

この課題や、一方で労働者サイド(正社員・アルバイト・パート・派遣・契約社員)の生活安定の問題もあります。

 

後の記事では、その点も触れて書いていきたいと思います。

 

 

 

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