都道府県・市町村の来県自粛要請に見る、言葉の選び方の大切さ

現在は新型コロナウイルス感染症の影響で、全ての都道府県が、観光での来県を自粛するよう要請しています。その中で各都道府県が呼びかける言葉の違いが、各県の姿勢を際立たせています。

 

やはり今は、どの都道府県も不要な往来は避けたい、ストレートに言うと来て欲しくないというのが本音だと思います。

 

いかにこのみんながピリピリしている状況で、「来ないで欲しい」という強いメッセージと、「でも落ち着いたらぜひ来てね、それまで待って」という言葉を両方併せもつメッセージを発信することは、非常に難しいと想定できます。

 

特にGW前は、他都道府県からの流入が多く予測されたため、往来を自粛するよう伝える都道府県・市町村のアピールも様々でした。

 

文春オンラインの記事では、都道府県・市町村の様々な呼びかけが紹介されていましたが、こういう事態で、いかに言葉を選んでアピールするかというのは重要になってきます。

 

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岡山県知事の会見が、伝言ゲームでいつの間にか「岡山に来たことを後悔させてやる」に変化する

例えば、岡山県の会見では、県知事の発言は、

「いかに歓迎していないか、警戒しているかっていうことを、主に他県の皆さんにお伝えできる人数」に対して検温し、「声を掛けられた人が、『マズイところに来てしまったな』と、後悔をしていただくようなことになればいいなと思っています」

と書かれ、これが、インパクトのある部分を切り取られ、「岡山に来たことを後悔させてやる」というパワーワードになり、炎上しました。

 

もしこの言い方でも、

「本来としては、県に来ていただける皆様を歓迎したいのが本意です。しかし、今は緊急事態という特別な状況ですので、今回ばかりは来県をご遠慮いただければと思います。また、検温など安全確保の対策も行いますが、どうかご理解を賜りますよう、お願い致します。ぜひ落ち着いたら、県全体でお越しになる方を歓迎させていただきます。」

というソフトな言い方にすれば、ここまで炎上することはなかったと思います。

 

また、神奈川県も「来ないでください」というアピールを、メディアのCMだけでなく、緊急速報メールを利用して、一般の人の反発を大きく買いました。

 

 

さすがに、本来災害時の時に使うべき発信方法を、来県自粛の伝達手段として使うのはどうかと思いますし(あれで休みに何ごと?と思った人も多いでしょう)、メッセージも、

「GWはがまんのウイークです」と始まり、「ふるさとへの帰省をはじめ、家族や友人と観光やレジャーなど を楽しむ絶好の季節ですが、今年だけは違います」と強調。

続けて「今は神奈川に来ないでください。今は神奈川から出ないでください。 そして、今はできるだけ家にいてください 」

と、ともかく上から目線を感じさせるメッセージでした。

 

「言っていることは正しいかもしれないが、心情的には受け入れにくい」、岡山・神奈川とも、そういう印象を受けた人が多いのではないでしょうか。

 

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「早く会いたいけん、今は帰らんでええけんね」とソフトな言い回しで株を上げた島根県

一方、ストレートな自粛ではなく、ワンクッション挟んで来県自粛を呼びかけたのが島根県。

東部と西部に分けた方言もあり、非常に担当者の方は見事な伝え方をされたと思います。

 

 

 

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飛騨地区全体で、穏やかな自粛を促し、理解を求めた市町村間の連携アピール

 

また、岐阜県の飛騨地区も、高山市長、飛騨市長、白川村長がYoutubeで、連携し来訪自粛を呼びかけました。

「観光地、お店、自然豊かな場所すらも、新型コロナウイルスから地域を守るために、ほぼお休みしております」「この新型コロナウイルスが収束した折には、地域を挙げて皆様を歓迎させていただきます。そして、飛騨の魅力を存分に楽しんでいただけるよう、精一杯のおもてなしをさせていただきます。それまで、今しばらくお待ちいただきますようお願いいたします」などとリレーで述べ、最後に「大変辛く、また失礼なお願いかとは存じますが、ご理解ご協力をいただければ幸いです」

と、非常にソフトな言い回しで、今はご遠慮ください、ということを丁寧に伝えています。

 

このように、同じ「来ないでください」でも、伝え方一つで印象は大きく変わります。

 

世情が敏感になっている現在だからこそ、より受け手の気持ちに配慮した、ソフトなコミュニケーションが要される時勢ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

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