現在広まっている感染症に関して、早急な対策として、
「雇用調整助成金」の特例がスタートしました。
令和2年2月14日からの措置ですが、随時アップデートが図られ、現在は3月30日現在の、新年度を見込んだ情報です。
3月30日時点では、あくまで「予定」ですが、4月1日には後述の通り、雇用調整助成金受給条件の緩和が実施されると推測します。
PDFでスマホからだと見づらいですので、変更点を整理すると、
- 対象は全国
- 期間は4月1日~6月30日
- 助成率が、解雇を行わない中小企業の場合は90%、大企業の場合は75%にUP。中小で解雇を行う場合は80%、大企業の場合は3分の2
- 生産指標要件(3か月10%以上低下)→(1か月5%以上低下)に緩和
- 計画届の事後提出を、当初の5月末から6月30日までに延長
- それ以外の施策として、短時間一斉休業の要件緩和、残業相殺の停止、支給迅速化のため事務処理体制の強化、手続きの簡素化など行う
- 教育訓練が必要な被保険者について、教育訓練の内容に応じて、加算額を引上げる措置を別に行う予定
こちらも順次最新事項を追記していますので、最新の情報と現在の情報が異なる場合は、最新の情報を優先してください。
3月13日14:00追記
- 小学校等の臨時休業に対応する保護者支援について、「学校等休業助成金・支援金等相談コールセンター」開設
0120-60-3999
※受付時間 9:00~21:00(土日・祝日含む)
(3月13日8:00追記)
厚生労働省の追加措置として、「新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主を対象」(実質全事業者)に感し、下記の通り追加を行いました。
- 休業等の初日が、令和2年1月24日から令和2年7月23日までの場合に適用
① 新規学卒採用者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が
6か月未満の労働者についても助成対象
② 過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主について、
ア 前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していなくても助成対象とし、
イ 過去の受給日数にかかわらず、今回の特例の対象となった休業等の支給限度日数までの受給を可能とする(支給限度日数から過去の受給日数を差し引きません)。
特に1は,ここ1週間で問題が噴出した新卒内定取り消しに対する対策の面もあると推測します。
(3月11日13:00追記)
自営業・フリーランス向けの助成として、1日4,100円の助成が打ち出されましたが、会社員の半額以下であることなど、金額に関しては様々な意見があるようです。
別紙を確認すると、
適用日:令和2年2月27日~3月31日の就業できなかった日、※春休み等、学校が開校する予定のなかった日等は除くとなっているため、自営業・フリーランスに対する支援としては、金額としても、フリーランスの稼働分のカバーには全くならないでしょうし、別の形の支援が良かったのでは?と思ってしまいます。
また、要件として、
- 個人で就業する予定であった場合
- 業務委託契約等に基づく業務遂行等に対して報酬が支払われており、発注者から一定の指定を受けているなどの場合
という条件がありますが、契約の確認や、受給する場合の手続きの煩雑さ、不正受給の可能性が存在します。
また子供の要件に該当しない自営業・フリーランスの場合はどうするのかという問題もはらみます。
今回の措置は、財源が違う(会社員は雇用保険、パート・自営業・フリーランスは一般会計)という状況とはいえ、否定的な意見が多いかと思われます。
3月10日15:00追記
企業主導型ベビーシッター利用料助成に関しては、3月10日時点で、「厚生年金保険に加入していれば」、企業の申し込みが前提で、全国で利用できるとのことです。(15:08 内閣府に電話確認)個人での申し込みはNGとのことです。
また、各種利用条件がありますので、上記HPを確認ください。
(表現に問題があれば、ご指摘いただけますと幸いです)
なお、助成金(いわゆる人絡みのお金)は、社会保険労務士の先生が専門とする領域ですので、今取引のある社会保険労務士に相談、身近で信頼の置ける社会保険労務士に頼むなり、税理士に信頼できる社会保険労務士を紹介してもらうなど、「地元」の社会保険労務士に頼むことが、今後の事も含めて望ましいかと思います。
総務の体制が整っていれば別ですが、スタートアップ・スモールビジネスなどの場合、経営者やバックオフィスが自分で請求するより、費用を払ってでも時間(+情報・関わり)を買った方がいいです。
3月10日9:00追記
厚生労働省のPDFでは、3月中旬に追加措置を取る事を記載しています。
追加特例の内容は、
- 休業等の初日が、令和2年1月24日から令和2年7月23日までの場合に適用
- 新規学卒採用者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6か月未満の労働者についても助成対象
- 過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主について、
ア 前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していなくても助成対象とし、
イ 過去の受給日数にかかわらず、今回の特例の対象となった休業等の支給限度
日数までの受給を可能とする(支給限度日数から過去の受給日数を差し引きません)
という措置です。
また、毎日新聞では、
臨時休校対策で、フリーランスなど業務委託を受けて働く人が子供の世話をするために仕事を休んだ場合、日額4100円の補償をする方針を固めた。
とあり、
- 金額としては(自営業・フリーランスの収益より)極めて少ないため、逆に怒りを買うのではないか
- ただ、今回は状況が状況なので、あえて自営業・フリーランスに何かの救済策を出してきたことは、何もしないよりはよい
- ただ、金額面で、自営業・フリーランスの怒りを買う可能性は高い
- 件数が多すぎて不正受給の温床になる可能性も
- できるだけ手続きの簡素化と、他の方法での支援を
など、思うところはあります。
3月6日追記
3月分のベビーシッター利用料助成ですが、3月分については非課税となることが5日決まりました。
また、注意点も含め、FPの花輪陽子さんのYahoo記事が参考になりますので(個人ではなく会社経由でないと対象外、フリーランス対象外など)ぜひご確認ください。
また、北海道は、雇用調整助成金の特例措置の拡大により、助成率が4/5(中小)、2/3(大企業)に増えます。(上限は変わらず。個人に直接ではなく企業に支給)
3月3日18時追記
フリーランスや自営業者にも保護者休業に関し、措置を講じるという菅官房長官の閣議後会見でのアナウンスが3月3日AMにありました。
会見では、
学校の臨時休校に伴い仕事を休んだ保護者の収入減に対応する新たな助成金制度について、フリーランスや自営業者にも措置を講じる考えを示した。「経営相談窓口の設置や緊急貸し付け・保証枠として5千億円の確保の措置を講じる」
と触れられています。
なお、不正受給を行った場合、
- 不正の事実があった時点以降のすべての受給額の返還
- 悪質な場合、詐欺罪等による告発
- 事業所名事業主の名称、代表者氏名・ 事業所の名称、所在地、事業概要・ 支給決定取消日、不正受給金額・ 不正の内容の公表
- 当該期間以降に支給を受けようとした助成金は不支給とします。また、不支給と
した日または支給を取り消した日から3年間は、雇用保険料を財源としたすべて
の助成を受けられなくなる
というペナルティがあります。
(2020年3月3日速報追記)
雇用調整助成金以外の部分でも、ベビーシッター助成制度の増額が打ち出されました。
(まだ、内閣府HPでの公式なアナウンスは行われていませんが、今後具体案が掲載されると思われます)
小学校の休校に伴って子育てと仕事の両立を支えるサービスの需要が増えると見込まれている。内閣府は働くためにベビーシッターを利用する際の助成制度を増額する。通常は1世帯あたり1か月で5万2800円を補助しているが、これを3月に限り、最大で26万4千円に上げる。
という措置があり、これが雑所得にならないような措置であってほしいと思いましたが、内閣府に電話で確認したら、当初は「雑所得」扱いとのことでしたが、3月5日に、条件付きで非課税となりました。(詳しくは上部の更新先を確認、フリーランスは適用外)
他の月の利用、確定申告が必要かは、下記の国税のページに書いてありますが、確定申告、また市区町村民税・県民税申告についても、ぜひ税理士や税務署に確認を受けることや、制度を利用する際に、事業者・自治体等に確認することを強くお勧めします。
そもそも雇用調整助成金とは?
経営者の方ならご存じかと思いますが、
1人1日当たり 8,335円を上限とし、休業を実施した場合の休業手当または教育訓練を実施した場合の賃金相当額、出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対し助成を一定割合行うものです。
- 大企業→2分の1
- 中小企業→3分の2
が助成されます。
なお、3月2日に発表された、学生の登校自粛に伴う助成金については、全額助成(上限8,330円)、
日経の速報より概要をまとめると、
- 雇用形態や企業規模にかかわらず、従業員が日額8330円を上限に賃金の全額を受け取れるよう企業に助成金を支給する。
- 子どもが小学生の場合を基本とし、対象期間は2月27日~3月31日まで
- 小学校、高校までの特別支援学校、学童保育、幼稚園や保育所などが臨時休業し、子どもの世話が必要になった従業員が補償の対象
- 地域の判断で休校しなかった小学校に通う子どもでも、風邪の症状が出て新型コロナに感染した恐れがあり、看病が必要になった保護者の賃金は補償
- 中学生と高校生の保護者は対象外
- テレワークなどで在宅勤務する場合は対象外
- 従業員側の判断で通常の年次有給休暇を取得した場合も対象外
- 企業が助成金を受け取り従業員の休業補償に充てるには、年次有給休暇とは別の有給の休暇を取得させる必要
など、かなり制限があります。
そして、受け取るのは「あくまで企業」であり、従業員ではありません(従業員は有給扱いとするか、あるいはどれくらい支給するかは企業の判断です)ので、そのことも改めて記します。
今回の新型コロナウイルスの影響に関する雇用調整助成金の特例とは、どのようなものか?
今回の特例措置は、緊急で決められたものです。
まず、
- 前年度又は直近1年間の中国(人)関係の売上高等が総売上高等の一定割合(10%)以上である事業主
であることが大前提となります。
その上で、今までのハードルを下げますよ、ということと、これが大事なのですが、
- 事後届出でも可
とし、
現行、休業等に係る計画届は事前の提出が必要ですが、令和2年1月24日以降に初回の休業等がある計画届に関し、令和2年3月31日までに提出
と定めています。
なので、「本来は事前提出が必要だけど、今回は緊急事態なので、書類は3月31日までに出せばいいから!」としています。
他の条件を引用します。
(1) 生産指標の確認対象期間を3か月から1か月に短縮します。
現行、販売量、売上高等の事業活動を示す生産指標の最近3か月間の月平均値が、前年同期と比べ10%以上減少している事業所であることを必要としていますが、この比較期間を最近1か月とします。(2)最近3か月の雇用指標が対前年比で増加していても助成対象とします。
現行、雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者の雇用量を示す雇用指標の最近3か月間の月平均値が、前年同期と比べ5%以上を超えかつ6名以上(中小企業事業主の場合は10%を超えかつ4名以上)増加していないことを必要としていますが、これを撤廃します。(3)事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象とします。
現行、生産指標等を前年同期と比較するため、事業所設置後1年未満の事業主は対象となっていませんが、本特例においては、新型コロナウイルス感染症を受けて中国湖北省への渡航中止勧告が出された令和2年1月24日時点において事業所設置後1年未満の事業主についても、助成対象とします。
その場合、中国(人)関係の売上高等の総売上高等に占める割合は、事業所設置から初回の計画届前月までの売上高等により確認し、(1)の生産指標は、令和元年12月と初回の計画届前月の指標とを比較することとします。
このように、条件面では緩和されています。
特に、生産指標を1ヶ月ベースで見る、新規開業の事業者も対象というのはポイントですね。
インバウンド、材料不足など様々な事情で、社員を取り急ぎ一時帰休させる上で、ないよりはありがたい制度ですが、経営者の方にとっては、「全額助成されると嬉しいが・・・とか、上限があるんだな」というのが本音かもしれません。
今回は事態が事態ですので、雇用や融資、テレワーク推進以外の形でも、企業活動を止めない、さまざまな形で助成・支援制度が提供されることを望みます。
詳細やパンフレットのPDFに関しては、厚生労働省のHP 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例を実施しますをご覧ください。
また、繰り返しになりますが、不正受給を行った場合、厚生労働省のPDFにもあるように、
不正の事実があった時点以降のすべての受給額の返還
悪質な場合、詐欺罪等による告発
事業所名事業主の名称、代表者氏名・ 事業所の名称、所在地、事業概要・ 支給決定取消日、不正受給金額・ 不正の内容の公表
当該期間以降に支給を受けようとした助成金は不支給とします。また、不支給と
した日または支給を取り消した日から3年間は、雇用保険料を財源としたすべて
の助成を受けられなくなる
というペナルティがありますので、念のため補足するとともに、社会保険労務士など専門家に相談したり、各種相談窓口にきちんと確認し、適正な申請を行うようにしましょう。