ビジネスの競争力強化のために、他業界の軸を採り入れるという発想
ここのところ、地域の企業等にとってヒントになるアイデアはないかという観点で複数の書籍に目を通しています。
先日の、「僕らはSNSでモノを買う」も非常に興味深い書籍でしたが、これとあわせて、いろいろ書籍に目を通していた時に目についたのが、「起業のための儲けの教科書」(酒井威津善氏著)という書籍です。
この中で、現在事業をやっている企業にとってもヒントになりそうな部分が複数あり、今回は、「他業種の軸を追加する」という発想について紹介します。
「他業種の軸を追加する」とは?
様々な事業には、特徴や競争軸があります。
業種によって、特徴や競争軸を打ち出しにくい業界、横並びの業界というのもあるでしょう。
「起業のための儲けの教科書」で事例として示されているカフェを例にとると、「空間」「価格」「食事」「品質」などが大きな軸になる。ここで他業種の軸を持ってくる。
例えば、
「イージーオーダー」=ファッション業界の要素
「特別なシート」=飛行機・バスの業界
「会員制」=コストコなど
このように、他業界で用いられている要素を持ってくる。
例えば、イージーオーダーであれば、本書に記載されたブルーボトルコーヒーがわかりやすい例でしょう。
他にも、当サイトで調べてみて、興味深いと感じた事例をピックアップします。
イージーオーダー、しかもブルーボトルコーヒーのサービス・システムを反転させたという観点では、サントリーのBOSSがプロデュースするTOUCH-AND-GO Coffeeがわかりやすい事例でしょう。
ブルーボトルコーヒーの「店員とのコミュニケーション、カスタマイズされたコーヒーが味わえるけど、時間がかかる」を、TOUCH-AND-GO Coffeeでは、「Lineでオーダー、決済まで行うことで、好みにカスタマイズされたコーヒーを、あたかも自動販売機で買うかのように購入でき、しかも安価、またカフェスペースでは設けずあくまでテイクアウトオンリー」という点で、ブルーボトルコーヒーの逆張りをしています。
また、特別なシートという点(+付加サービス)という点では、FIRST AIRLINESというサービスがユニークです。
FIRST AIRLINESでは、ファーストクラスやビジネスクラスの席に座る体験とともに、VRを利用した疑似旅行体験、食事やドリンクの利用など、国内でファーストクラスやビジネスクラスで旅行するような感覚を2時間近くで体感できるなど、独自の切り口でサービスを提供しています。
会員制の飲食店(また、サブスクリプションを活用する飲食店)も増えています。
例えば、29ONという、年会費1万4千円ながらも、1万円レベルのコースの食事が体感できる飲食店。
NIKKEI STYLEによると、
「会員は友人4人と年1回訪れるだけでほぼ年会費に相当するメリット(3000円×4人=1万2000円)を受けられる」
「29ONの食材原価率は50%を超えており、希少なブランド牛や部位が惜しげもなく提供される。肉のお代わりもオーダーし放題」
「29ONの年会費は1万4000円。まずこれがほぼそのまま利益になることが大きい。会員が1000人いるとすると、何もせずに年間1400万円もの固定収入が手に入る」
「多くの飲食店を悩ませる「ドタキャン」がないこと、食材の廃棄ロスがほとんど出ないこと、通常は売り上げの30%を占めるといわれる人件費が大幅に安い」
など、会員になっても元が取りやすい、原価率が高く美味しい肉料理が食べられる、年会費がそのままストック収入になる、最近問題になっているドタキャンがなく、「用意したのに食材を処分・・という廃棄ロスがない、人件費が大幅に安いなど、プラスの要素が非常に多いといえます。
このように、他業界の軸を自社のビジネスで活用できるか、という発想を持つと、同じ競争軸だけで競争するよりも、付加価値を加えてユニークなビジネスができるでしょう。