内閣府の「結婚新生活支援事業」、「結婚したら60万円」が一人歩き。実際は引っ越し実費や家賃の2分の1で上限60万!そして対象自治体はどこ?

9月20日ごろより、「結婚新生活支援事業」という政策で「結婚したら60万円の補助」という言葉の一人歩き、その他対象の自治体の少なさ、対象世代の違い、収入上限(共働きなら対象にならない)、いろいろと異論が出ています。

 

内閣府、新婚生活60万円補助へ 少子化対策で倍増、条件も緩和という記事で、記事や他の情報をよく読まないと、「結婚したら60万円か」と誤解する人も少なくないと思います。

 

これに関する勘違いを解くこと、適用されるケースは極めて限られると言うこと、結婚したらそのまま60万円が支給されるわけではないこと、国と自治体の共同事業のため、国の示したモデルケースががそのまま適用されるわけはないことなど、見出しだけを読むと誤解してしまう点も含め、書いていきます。

 

今回の制度、内閣府のホームページを見ると、既に平成30年度から結婚新生活支援事業が始めています。

そのときの補助上限が30万円、そして今回補助上限金額を60万円に引き上げ。

 

この制度は、今になって始まった話ではないのです。(野党の一部がこの制度に今噛みついているのを見ると、話題になっているから問題しているんだろう、と思えてしまいます)

 

ただ、制度を考える上に置いてややこしいのが、

  • 「結婚したら60万円」というワードが一人歩きしている(あくまで住宅取得費用・賃借費用・引っ越し費用の2分の1が対象
  • この助成に対する条件が厳しく、不公平感を生む
  • 39歳以下が対象と、40代、50代の氷河期世代を切り捨てている
  • 共働きだとまず対象外
  • 金額としても中途半端で、それよりは他の支援策を充実させたり、子どもを出産した際の支援に向けた方がいい

など、いろいろ意見が出て、それが幅広い層を敵に回しかねない条件になっているところです。

(対象外の地区在住者・氷河期世代・共働き)

 

また、「結婚したら60万円」がこれまであった持続化給付金などの給付制度と混同され、不正が発生するのではないかなどという意見もありますが、実費の2分の1、上限60万円の補助ですので、不正の発生する余地は、特例措置で条件が相当緩和された持続化給付金に比べ、極めて限られると言えるでしょう。

 

ただ、担当者としても、この制度は、結婚に対するハードルを取り除くという観点で、「意味があるのか?」ということは疑問に思います。

 

正直持続化給付金など給付・補助制度の数々の問題や不公平感を見てきて、正直他の部分を充実させるべきで、この制度より他の施策で支援すべきではないかと感じます。

 

また、首都圏からの地方移住・起業で100~300万円の補助!?落とし穴・注意点もという、地方移住に補助金を、という制度もすでにあります。

目先の「39歳以下で世帯年収540万円未満対象、しかも多くは人口減少や過疎に悩む自治体(もちろん都市もありますが)限定で60万円を上限に引っ越し費用の2分の1をカバー」より他の子育てに関する環境を充実させたほうがいいのではないかな、というのが正直な印象です。

 

結婚新生活支援事業は平成30年度より行われており、そのときはそこまで話題にならなりませんでした。

 

今回いろいろと炎上しているのは、ニュースの見出しでよく使われた「結婚したら60万円」というワードの一人歩きと共に、持続化給付金等のゴタゴタに加え、この制度が「様々な層の怒りを買いかねない」制度設計になっていたのが問題と言えます。

 

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「結婚新生活支援事業」は、あくまで指定の自治体・39歳以下・世帯年収約540万円未満が条件で、「住宅取得費用・賃借費用・引っ越し費用の2分の1を、上限60万円まで補助」する制度で、「結婚したら60万円」ではない

まず、上記のようにかなり支援対象になるためには制限があり、しかも、先ほど書いた部分も含め、

  • 多くの自治体は対象外で、都市・地方を問わず多くの地域に不公平感
  • 年齢は39歳以下のため、氷河期世代は対象外
  • 世帯年収540万円未満が対象なので、共働きは対象外のケースが多いと想定
  • 結婚したら60万円と勘違いしてしまった人が制度をみたら、あくまで住宅取得費用・賃借費用・引っ越し費用の実費の2分の1を補填、しかも数々の制限に、対象外と失望

など、燃える要素がいっぱいなのです。

 

加えて、内閣府の触れ込みでは、「結婚にお金がかかるから諦めることのないように・・・」、という感じなのに、フタを開けると数々の条件。

 

これはやはり残念だと思います。(ただ、内閣府としても、自治体と共同でやる事業という特性のため、自治体が手を挙げないとどうにもならないということ、また、上記の条件はあくまで目安で、自治体の裁量で条件を柔軟に変えて良いことは、昨日の内閣府への電話で確認しました)

 

表現として、「人口減少が進み、活性化が要される地域への移動の支援と、結婚・新生活に対する負担への配慮」、もしくは「結婚とそれに伴う新生活を支援するため全国で行う」などという制度にしておけば、まだ納得感はあったと思います。(ただ、この制度は国と地方が半分ずつ負担する制度ですので、そのまま地方に負担を負わせるのも大変という・・・)

 

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結婚新生活支援事業、内閣府に電話して、制度の趣旨を聞いてみた

結婚新生活支援事業に関し、内閣府の子ども・子育て本部に電話して見ました。

 

担当者の方には非常に丁寧に対応いただき、やはり制度の誤解が一人歩きしてることに対する懸念は感じられました。

 

先ほどと重複する部分もありますが、

  • 結婚新生活支援事業に関する国の指針は、現状はホームページに掲載した物が全てであり、今後変わることも
  • 結婚新生活支援事業に関しては、国の出した基準はあくまで目安であり、地方自治体が自由に設定して良い
  • 報道で、結婚したら60万円というワードが一人歩きしていることに関しては、マスコミが限られた分量・時間で情報を伝えなければならないから仕方ない側面もある

など、内閣府も大変で、限られたリソース・資金の中で対策をしているのに気の毒な面もあるという印象を受けました。

そして、対応して下さった方は、非常に丁寧な対応・説明であったことを書き添えます。

 

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「結婚新生活支援事業」の対象自治体に東京は0、相当限られた自治体が対象

結婚新生活支援事業は、全国が対象ではなく、特定の自治体のみが対象になっています。

東京は対象自治体0、京都も1つの村以外は対象外など、対象外の自治体が極めて多いです。

対象の自治体を総務省のPDFより引用し、文字に起こしてみましょう。

 

「結婚新生活支援事業」対象の自治体

結婚新生活支援事業は、補助分を国と自治体が費用を折半して負担する制度です。

人口減少に悩む自治体でも、参加していないところも多いです。

対象自治体は、令和2年7月10日現在下記の通り。

北海道

室蘭市 夕張市 三笠市 深川市 石狩市 今金町 真狩村 神恵内村 妹背牛町 北竜町
沼田町 当麻町 愛別町 増毛町 天塩町 幌延町 西興部村 白老町 厚真町 むかわ町
音更町 清水町 中札内村 幕別町

青森県

板柳町

岩手県

宮古市 一関市 釜石市 八幡平市 矢巾町 金ヶ崎町 平泉町 大槌町 山田町 軽米町

宮城県

気仙沼市 東松島市 涌谷町

秋田県

秋田市 大館市 湯沢市 大仙市 上小阿仁村 八峰町 五城目町

山形県

寒河江市 上山市 村山市 長井市 天童市 中山町 西川町 大江町 最上町 真室川町
小国町 白鷹町 庄内町

福島県

白河市 須賀川市 二本松市 田村市 本宮市 国見町 川俣町 大玉村 只見町 南会津町
西郷村 泉崎村 中島村 棚倉町 石川町 三春町 楢葉町 新地町

茨城県

水戸市 日立市 土浦市 石岡市 かすみがうら市 行方市 鉾田市 つくばみらい市 城里町 大子町
境町

栃木県

栃木市 鹿沼市 小山市 大田原市 下野市 益子町 那珂川町

群馬県

沼田市 安中市 下仁田町 甘楽町 中之条町 嬬恋村 昭和村

埼玉県

鴻巣市 小川町 横瀬町 長瀞町 美里町

千葉県

千葉市 野田市 佐倉市 市原市 四街道市 山武市 いすみ市 栄町 横芝光町 長生村
白子町

東京都

なし

神奈川県

松田町 湯河原町 愛川町 清川村

新潟県

新潟市 十日町市

富山県

小矢部市 射水市 上市町 入善町

石川県

七尾市 小松市 羽咋市 川北町 津幡町 内灘町 中能登町

福井県

なし

山梨県

なし

長野県

上田市 岡谷市 諏訪市 須坂市 千曲市 東御市 小海町 南牧村 立科町 下諏訪町
飯島町 高森町 喬木村 木祖村 麻績村 朝日村 池田町 松川村 坂城町 高山村
木島平村 信濃町 小川村

岐阜県

高山市 中津川市 美濃市 山県市 本巣市 海津市 神戸町

静岡県

静岡市 島田市 富士市 焼津市 藤枝市 下田市 御前崎市 牧之原市 東伊豆町 小山町
吉田町

愛知県

弥富市

三重県

熊野市 いなべ市 紀北町 紀宝町

滋賀県

彦根市 草津市 湖南市 高島市 東近江市 豊郷町

京都府

南山城村 のみ

大阪府

枚方市 泉佐野市 和泉市 藤井寺市 岬町 太子町

兵庫県

神戸市 三木市 高砂市 丹波市 南あわじ市 加東市 多可町 稲美町 上郡町

奈良県

五條市 三宅町

和歌山県

和歌山市 由良町

鳥取県

北栄町

島根県

川本町 吉賀町

岡山県

真庭市 和気町 矢掛町

広島県

なし

山口県

長門市 美祢市 平生町

徳島県

美馬市

香川県

丸亀市 善通寺市 琴平町

愛媛県

八幡浜市 大洲市 上島町 久万高原町 愛南町

高知県

室戸市 安芸市 南国市 土佐清水市 香南市 香美市 奈半利町 いの町 佐川町 日高村
津野町 大月町

福岡県

豊前市 うきは市 嘉麻市 那珂川市 岡垣町 遠賀町 鞍手町 桂川町 糸田町 川崎町
大任町 吉富町

佐賀県

嬉野市 基山町 上峰町

長崎県

諫早市 松浦市 壱岐市 雲仙市 南島原市 東彼杵町 川棚町 波佐見町

熊本県

荒尾市 玉名市 玉東町 高森町 錦町 水上村

大分県

日田市 宇佐市 九重町 玖珠町

宮崎県

国富町 綾町

鹿児島県

枕崎市 垂水市 薩摩川内市 いちき串木野市 志布志市 東串良町 瀬戸内町

沖縄県

石垣市 南城市 恩納村

以上、相当限られた自治体が対象になります。

 

東京・大阪などの主要都市はほとんど対象外(千葉市・神戸市など、まれに対象の自治体がありますが・・・)であることも、不公平感を呼ぶ一因ではないかと。

 

また、パンフレットで、全国的な支援のように見えて、フタを開けてみたら対象自治体が相当限られていたというのも。

 

ただ、行政側の理由付けを見ると、

<新婚世帯への支援を要する理由>
●結婚に踏み切れない主な要因は経済的理由 ①
結婚の障害として「結婚資金」と回答した割合
⇒未婚男性(18~34歳)…43.3% 未婚女性(18~34歳)…41.9%
結婚の障害として「結婚のための住居」と回答した割合
⇒未婚男性(18~34歳)…21.2% 未婚女性(18~34歳)…15.3%

●結婚を希望する人に対して、行政に実施してほしい取組

結婚や住宅に対する資金貸与や補助支援が3位

このように、理由付けがされています。

 

この理由付けはわかるとしても、マスコミでの取り上げられ方が、

新婚世帯の新生活にかかる費用を60万円上限で補助へ 内閣府が方針固める

なので、誤解が出てしまうのは、マスコミのアナウンスの仕方、内閣府の制度設計双方に課題があったのではないかな、と。

 

 

 

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