前回は、企業の成長と、人材、働く人の在り方などについて書きました。
当サイトでは、昨年より、ニアショアやテレワーク、地方への仕事の分散化等をとりあげてききました。
近年の気候変動・新型肺炎で重要性を増す、複数拠点やニアショア、リモートワーク、BPOの活用
「若年層を都市から地方へ」はできるのか?-地域維持の特別措置法案
2020年4月7日現在、直接Covid-19の発生例が見られないのが、岩手・島根・鳥取の三県だけとなりました。
この3県は、以前のニアショアの記事などでも取り上げましたが、
どの県も、新型肺炎を防ぐ上での、3密、密閉空間・密室場所・密室場面が都市部に比べ、存在しにくいという点があります。
岩手はともかく、島根・鳥取は人口も少なく、新幹線が通っていない地域ですので、人の往来も飛行機・バスなど限られ、現在バスは減便、今後飛行機もどうなるかはわかりません。
このブログをお読みの方にはうすうすおわかりの方もいらっしゃるかと思いますが、作成担当者は上記の県に在住、リモートワークで業務を行っています。
それでも、土日のスーパー、ショッピングモールには行かない(行くなら平日昼休みなど)、生協を活用する、外に出るときはマスクをするなどしています。
移動は全て車(公共交通機関が発達していない地域のため)で、外出は最小限。
周囲の話でも、マスク着用、人の多いところへはでないなど、非常に慎重になっています。
新型コロナウイルス未発生の地域でさえこの状況ですから、既に発生している県、そして今回緊急事態宣言が発令される都道府県は、それぞれの人たちが相当な警戒を行っているものと思います。
新型コロナウイルスの終結はいつになるか、はっきりとわかりません。
しかし、今回の事態は、嫌がおうにも日本人の行動変容を引き起こすでしょう。
After covid-19で起こりうる変化
新型コロナウイルス下の状況、そして事態が収まってから、社会の構造は、相当大きな変化を見せると思います。
非接触(コンタクトレス)文化の加速
新型コロナウイルスでは、様々な意味で接触・飛沫を避けることが重要とされています。
そうすると、
・大人数が集まること
・バイキング・立食パーティー・非包装の中食など、飛沫感染の可能性があるフードビジネスの敬遠
・スナック、飲み会などナイトビジネスの敬遠
・一カ所に密集して何かを行う行為
は必然的に敬遠されてしまいます。
生活が見栄消費から「生きる消費・衛生消費」にシフト
これまで都心などではプチバブルもあったようですが、現在は見栄・虚飾より「いかに現状を生き抜くか」「外出を避けるか」「感染を避けるか」などが重視されるようになってくるでしょう。
非対面の文化が進むため、必要以上の装いは必要なくなるからです。
衣料・アクセサリーより、マスク・トイレットペーパー・食糧などの「生活・衛生のための支出」に意識が行き、いわゆるブランドビジネスというのは当面厳しい状況となると推測します。
人の支出が「生きる」主体になると、これまでの高価格帯ビジネスは、ごく一部を除き、大きなダメージを受けることが想定されます。
一方でライフラインにかかる、「生きる」「衛生を守る」ための消費性向はより高まるでしょう。
IT/Webビジネス・VR・時間消費ビジネスの拡大
これも、大抵の人が想像しているかと思いますが、IT/Webに関わる仕事、また、VR(Virtual Reality)に関わる仕事のニーズは今後も増え続けるでしょう。
特に、VRは(器具の普及というタイムラグはあれど)想定より速いスピードで普及するのではないか、と個人的には感じています。
現在、世界各国で、自由な行動ができなくなっており、外出さえもままならない地区も少なくありません。
そういう地区に住む人たちにとって、360度確認できるVRでの動画を通し、世界各地のいろいろな場所を、あたかもその場にいるかのようなリアリティを持って体感できるというのは、非常に大きな価値、そして平和であった過去へのノスタルジーを引き起こすことでしょう。
また、VRでの室内の運動ゲーム、リラクゼーションアプリなども充実してきつつありますので、ストレスや運動不足の解消という点でもVRは大きな役目を果たすでしょう。
VRにはまだ価格・重さ・使い勝手、(Occlusシリーズの場合は、Facebookアカウントとの紐付け)など課題もありますが、今後の普及の高まりにより、より導入しやすくなっていくのではないかと想定できます。
都会→都市・地方の二拠点生活や地方へのシフト
今回の新型コロナウイルスで、東京への一極集中という状況が見直される可能性は高くなると思います。
いくら都心の利便性のいい場所に住んでいても、外出しても娯楽施設は開いていない、人にも会いにくいという状況では、高い出費・家賃を払い都心に住むことの意義ってなんだろう?となってしまいます。
完全に推測ですが、これから砂時計をひっくり返すかのように、人口構造の変化・人口の分散が始まっていくかと思います。
地方から都市に行くという価値観が薄れ、地方にとどまる、あるいは道州制など、権限を各地域に大きく委譲し、地域ごとに独自の施策を行う、これまで見向きもされなかった地域が、バックアップの拠点、もしくは本拠地として見られるようになってくるなど、少なくとも「東京一極集中」はなくなる可能性があるといえます。
そして、地価に関しても、都市部の地価・マンション価格が下落する一方、これまでは土地が極めて安かった地方の土地は下げ止まり、もしくは上昇に転じるかもしれません。
ローカルシフトの発生可能性と課題
Covid-19の全世界的な発生により、生活拠点としての海外という選択肢は、当面は相当厳しくなるでしょう。
また、コロナウイルス終結後も、アジア人に対する様々な偏見等が発生する可能性があります。
偏見で見られるだけならまだしも、アジア人に対する暴力事件なども時折マスコミで出ており、この状況下で「海外」という選択肢は当面とりえないでしょう。
そうすると、都市から避難できるのは地方となりますが・・・・
しかし、地方としても、今来てもらっては対応に困るという本音
地方の側としても、人が増え、活気づくということはありがたいです。
しかし、地方では、
・移動の自粛が叫ばれる時期に来てもらっても・・・
・何かあったときに対応できる十分な医療インフラがない
など、「今来てもらってもしんどい」
これが田舎サイドの正直な本音でしょう。
散々批判された地方交付税交付金
また、これまで地方交付税交付金に、各方面から批判がありました。
しかし、今回のような大都市に有事が発生しているという状況で、地方のインフラが削られ、壊滅している状況になると、本当に日本が復興していくための拠点が相当減ってしまうでしょう。
そのため、地方交付税交付金や公共事業、インフラ整備も、今後はぜひ「ポジティブなもの」としてとらえる人が増えてくれると嬉しいと感じます。
地方(田舎)の排他性も課題
地方としても、現状、新型コロナウイルスが流行している時期においては、移動の制限、自粛を呼びかけるのが必然といえます。
しかし、新型コロナウイルスが落ち着きを見せた後は、他方から来る方に対し、
・「ようこそいらっしゃいました」という歓迎
・よそものと排除しない姿勢
・過度な干渉をしない、ただし支援が必要な時は支援するというほどよい距離感
など、ともかく旧来の村社会にありがちな、「ウチとヨソの人」という概念を滅ぼしていく必要があります。
幸い、地方であっても、ある程度発展した地方都市は、比較的旧来の住民の姿勢もオープンになってるケースが多いです。
以上、いろいろと話が飛びましたが、アフターコロナの様々な課題に加え、各地域の人間が、仕事・居住地・人との関わりについて考えることが、今後一つの課題として出てくるでしょう。
日本だけでなく、世界の様々な体制・価値観・健康を揺るがすことになった新型コロナウイルスですが、早く対処方法が確立され、今後の世界、そして日本が再構築されることを願うばかりです。