QRコード決済を統一する「JPQR」というキャッシュレスコード決済の規格が2019年8月1日からスタート(ただし当初は岩手・長野・和歌山・福岡4県に限った実証実験)
日本で、2019年8月1日より、「JPQR」と呼ばれるQRコード決済の統一規格の実証実験がスタートします。最初は、全国一斉のスタートではなく、岩手・長野・和歌山・福岡の4県で、2019年8月1日~2020年1月31日の期間を定め行われますので、全国での実施はその後になると推測されます。
「JPQR」は、シンガポールの「SGQR」に次ぐ、QRコード決済統一規格の世界二例目
当方が調べた範囲で(見落としがあったら恐縮ですが)、シンガポールのQR決済手段を統一化する「SGQR」に次ぐ、世界二例目の統一規格となります。
(シンガポール政府のSGQR説明サイトはこちら)
QR決済が普及している中国・韓国などでも、QR決済の統一制度開始はまだスタートしていないようです。(実証実験等が行われているかは把握しておりませんが、もしそのような事例があれば記事に反映する予定です)
シンガポールは、コンタクトレス・ペイメント(クレジットカードなど、非接触決済のカードを端末にかざすだけで決済できる仕組み)が既に大幅に普及しております。ただ、クレジットカード決済のため、手数料がある程度かかり、小規模店舗・個人店や屋台などでは負担になります。
QR決済であれば、決済手数料が安いため、小規模店舗やホーカーなどの屋台など、手数料をできるだけ抑えたいという向きには、QR決済が入る余地が大きいでしょう。
ちなみに筆者は、数年前にシンガポールに2度行ったことがありますが、そのときはクレジットカード決済が主流、一部現金決済の併用がその時はメインという感じでした。現在のシンガポールは、コンタクトレス決済とQR決済が相当普及しているのではないかと推測します。
余談もはさみましたが、JPQRが普及することにより、日本におけるキャッシュレス決済について、どのような関わり・影響があるのでしょうか。
JPQRで、QR決済に関するプロセスがシンプルになる
QRコード決済を利用した方であれば、多くの方が実感されたかと思いますが、QRコード決済の実行には、結構な手間がかかります。
まず、スマートフォンを取り出し、決済アプリを立ち上げる。
決済アプリが最新のものでない場合は、決済アプリを更新し、また、決済アプリ上で、「データを更新しています・・・」という表示が出て待たされることもあります。
その上で、このペイメントサービスでお願いしますと告げたり、画面を店員に出してもらったり、画面を店員に示したり、店頭の利用したいQR決済サービスのバーコードを探して読み込んだりというプロセスがあります。
非接触式のSuica、iD、Edyに慣れた人から見ると、単体で見ると大した手間ではないように見えても、ぱっと決済して、買い物を終えたい側からすると、還元などの「わざわざQRを使うほどの強いインセンティブがある状態」でないと、非常にその些細な手間が、心理的障壁になり、これならモバイルSuicaや現金でいいやとなってしまいかねません。
ですが、シンガポールのSGQRのように、コードが完全に統一されていると、どのQR決済にするかを伝える必要はなく、画面さえ出してしまえば、決済プロセスがシンプルになります。
JPQRで、QR決済が統一化されるということは、消費者側は「この決済で」と伝えるプロセス、お店側も、個別のQR決済に対応した画面を出したり、店頭にある様々なQRコードのプレートの中から、顧客の利用するQR決済のプレートを選んでもらうというプロセスがなくなり、またレジ周りもスッキリします。
2019年8月1日午前3時からのJPQRスタートで、対応するQR決済は?
- au PAY
- 銀行Pay(OKIPay、はまPay、ゆうちょPay、YOKA!Pay)
- メルペイ
- LINE Pay
- 楽天ペイ
- りそなウォレット
の9種類が当初JPQRに対応し、今後Paypay、Origami Payなど主力決済もQR決済に順次対応していくことを表明しています。
一部サイトでは、当初は四県に限った実証実験であるという言及がありませんでしたが、JPQRの事業者向け説明ページでは、当初は四県でのスタートであることを明示しています。
全国一斉でないとはいえ、地域を限ることにより、当初から全国で行うことによる万一のトラブル発生時の対応などを考慮すると、4県に絞り、まず限られた範囲から導入するというのは、一つの手段として良い選択ではないでしょうか。
ぜひこの実証実験がスムースに行われ、よりQR決済が簡便化し、事業者としてもキャッシュレス決済を少ないコスト、QRコード統一によるオペレーション簡略化で導入できる環境が整えばと感じます。