2020年1月20日より、マイナンバーポータルサイト上で、「一箇所での手続きで、法人設立・設立後の手続きができる」という触れ込みの、「ワンストップ法人設立サービスサイト」の運用が開始されました。
ただ、共同通信社のニュースにある通り、
まず20日から、登記後に必要となる様々な役所への申請を、専用サイトで一度で済ませられるようにし、2021年2月からは法務局への登記申請など設立時の手続きも同様
と、設立後の手続きは専用サイトで一括して済ませられるようになった一方、設立前の手続き(定款などの作成・電子認証・定款の公証人役場での認証・法務局での登記など)は、2021年2月からという形となっています。
また、実務上、定款作成や公証役場の認証、法務局での法人設立の登記など各種手続きは、現状の状態ではオンライン化する上で検討する面も多いと推測されます。
特に、定款や会社の機関設計、公証人役場での定款認証、会社の根幹にかかわる書類をどのように作るか、また各種証明書の提出をどのようにするかという課題があるため、運用開始後も、さまざまな課題がでてくるかもしれません。
また、発起人のマイナンバーカード・マイナンバー対応カードリーダーの保持は必須です。
実際にサイトを開くと、このような画面が出ます。
下記のように、法人設立の流れが表示されます。
法人設立ワンストップサービスでは、法人設立後の手続きは、マイナンバーカードとカードリーダーがあれば一括でできるという仕組みになっています。これまでは、税務署・都道府県・市区町村・労働基準監督署など、様々なところへ手続きをする必要がありました。
この点は、非常に良いと思います。
とはいえ、まだ自動化されていない、法人設立で一番手間のかかる、「法人番号を受領するまでの手続き」、つまり、会社設立の手続きが一番たいへんです。
法人設立ワンストップサービスに解説されている法人登記までの流れ
法人設立登記開始
↓
法人の基本情報の決定
商号 / 資本金 / 事業目的 / 決算期 / 本店所在地 / 発起人 / 設立時役員 / 発行株式数 など
↓
個人実印、会社実印の作成
【個人実印の作成】 発起人 / 設立時取締役【会社実印の作成】 設立時代表取締役
↓
個人実印の登録 / 個人実印の印鑑証明書取得
↓
定款の作成
↓
定款認証のための書類等準備
個人実印の印鑑証明書(発起人のもの)
身分証明書(発起人のもの)
手数料(電子定款の場合は収入印紙が不要)
CD-R又はUSBメモリ(電子定款の場合は認証済の定款受領時に持ち込みが必要)↓
公証役場で定款の認証
↓
発起人による資本金の準備
↓
金融機関で、発起人の個人口座への入金又は振込を行う
↓
登記のための書類等準備
登記申請書
定款
設立時取締役の就任承諾書
登録免許税(収入印紙が必要)
設立時取締役の個人実印の印鑑証明書
払込証明書
発起人決定書
(本店所在場所、電子公告URLの記載が必要)
会社実印の印鑑届出書
印鑑カード交付申請書 など↓
設立登記
↓
証明書の取得
・ 登記事項証明書
・ 会社実印の印鑑証明書
↓
法人番号の受領
ここまできて初めて、法人設立ワンストップサービスが使えるようになります。(具体的な部分は、自分で調べる必要があります)
また、マイナンバーポータルサイトに書かれている手順は、ごくごく簡単なもので、詳細は略されています。
そのため、詳しい手続きは、会社設立に携わる税理士・司法書士などの専門家に依頼するか、自分で調べて行うかということが必要です。
ちなみに、会社設立ポータルサイトで、特に説明を読まずに、かんたん診断のボタンを押すと、このような画面が出てきます。
会社設立に関して理解している人ならともかく、いきなり「法人番号を取得していますか?」と聞かれると、普通の人は、・・・え?と思うかもしれません。
そこで、「いいえ」か「わからない」を押すと、「法人設立の手続きを実施するには、法人番号の取得が必要になります」というメッセージ。
法人番号の取得のためには、最初の方で述べた手続きを専門家もしくは自分で行う必要があります。(手続きの手間などを考えると、専門家に依頼することがおすすめです。また、freeeの法人設立など、Webサービスを利用する手法もあります)
このあとも、かんたん・・・?という手続きが続きますので、次回以降に触れたいと思います。
法人設立ワンストップサービスの、法人設立関連手続かんたん問診が「簡単かな?」という件