2019年ラグビーワールドカップ準々決勝。試合終了後の、NHKアナウンサーの「プラスの意味で」の前置きで「にわかファンが増えた」発言はポジティブに捉えるべき理由
2019年ラグビーワールドカップ準々決勝。
普段はラグビーの試合にあまり関心がなかった人も、かなりの数が、ラグビーの試合をリアルタイムで見ていたでしょう。
この中で、NHKアナウンサーが、あの言葉に厳しいと評判のNHKで、「プラスの意味で」と前置きをつけつつも、「にわかファンが増えた」旨の発言をしていました。
担当者自身、最初はこの言葉に、「普通にファンが増えましたね」といえばいいのに、なぜ、「あえて」という言葉までつけて、「にわかファン」という言葉を使うのか?
と疑問に思う気持ちがありました。
しかし、ファン・競技などの関係人口を増やす意味では、「にわかファン」という一見古参から忌み嫌われそうな人が多く存在することが価値があると考えるようになりました。
最高視聴率では、日本の半数近くが見ていた2019年ラグビーワールドカップ準々決勝
平均視聴率は、ビデオリサーチ調べによると関東地区で41.6%、関西地区で41.4%、最高視聴率は関東地区49.1%、関西地区47.9%と、平均でも4割以上、ピーク時にはほぼ半数の人がラグビーの試合に釘付けになっていたことが、数字からも見て取れます。
担当者も、家事や子どもの風呂入れなどをしつつ、前半や試合終了後はリアルタイムで試合を見ていました。もちろん、タイムシフト録画もオンになっているので、後から追っかけ見できる状況です。
そして後半を見るのを楽しみにしつつ、風呂から子どもとあがると、家族から「ラグビー負けたね」の一言。
結果を言うんじゃないよ!!!
これから後半を見ようと思っていたのに、推理小説で犯人は誰か言うようなことはしないで!!
と、後半を追いかけ見する意味もなくなり、そのままリアルタイムで終了後みていましたが、その中で、NHKのアナウンサーが「プラスの意味で」の前置きをつけて、「にわかファンとよばれる人たちがこれだけ生まれたのは大きなことですね」と話していました。
言葉遣い、表現に放送局一厳しいイメージのNHKで「にわかファン」という、明らかに否定的な要素を持つ言葉を持ち出してきたことは、「何らかの世間の反応があるぞ(炎上・議論を含む)」という感覚がしました。
実際は、「にわかファン」という言葉だけが切り出されることなく、好意的に受け取られた
単純に想像すると、前後の文脈が切り取られ、「にわかファン」という言葉自体が一人歩きし、炎上するかもな・・とも思いました。
しかし今回の場合、ラグビーワールドカップ準々決勝全体の流れを多くの視聴者が把握しています。
さらに、日本のチームがまさにあらゆるものを捨てラグビーに全てを注ぎ、公益社団法人日本ラグビーフットボール協会をはじめ、ラグビーの関係者の方たちが、ラグビー普及のために尽力してきた背景もあります。
このコンテクストが存在することで、「にわかファンでも、興味を持ってもらえることが大事である」という考えも多くの人に浮かんだかと思います。
また、面白い考察と感じたのは、ハインリッヒの法則を逆に応用して、にわかファンの増加を好意的に捉えたこのツイート。
ハインリッヒの法則よろしく
300人のにわかファンの上に29人の熱中するファンが生まれ、
29人の熱中ファンの上に1人の大ファンが生まれるのでほんとにわかファン大歓迎だよ。 pic.twitter.com/tf9bOvbtkY— tetsu (@metatetsu) October 20, 2019
これは他のあらゆるスポーツ・趣味・ビジネスにもいえることで、にわかファンであっても、ファンの絶対数が増えることで、スポーツ・趣味・ビジネスなどの関係人口が増えるわけです。
「マナーや良識は守る、お金を落とす」という前提があれば、にわかファンであっても、そこから「ファン→愛好家→本格的に関わる」という階段を登ってくれる可能性があり、趣味自体の愛好者の新陳代謝も進みますので、結果としてにわかファンが増えることは、ジャンルの活性化に繋がります。
そして、ジャンル自体が新参者に対してオープンであることも重要です。
「にわかファンなどいらない」では、ジャンルは高齢化・硬直化の一途を辿り、衰退しかねません。
にわかファンに対して、熱烈な愛好家、マニアは、マナーを守る限りは、自由に楽しんでもらったり、時に情報提供をする。
一時的なファンであっても、まずジャンルに「接触する」というのが大事なのです。
好きの反対は無関心
好きの反対は無関心です。
接触がなければ、好きも嫌いも生まれません。
接点を作り関心を持ってもらう。新規のファンを受け入れて、好きの階段を、ファン→愛好家→選手なり熱烈なエバンジェリストと階段を登ってもらい、
このオープンな姿勢も、スポーツ・趣味などの関係人口を増やしていく上で重要と考えます。
NHKアナウンサーがあえて発した「にわかファン」という言葉。
これは、他のあらゆるスポーツ・趣味も、「もっと興味を持ってくれた人を大切に、よいファンにしていこうよ」という意味も込めた、本当に「あえて」のメッセージだと個人的には解釈します。