民法改正も踏まえ、価格の誤記入(例:198,000円→19,800円)などトラブル時の対応

民法改正の関係で、経営者・消費者・その他個人、様々な立場において、これまでと変わった影響が出る部分があります。

 

今回は、「経営者、特にネットショップ運営者など」に関係のある話で、「価格を誤って、0を1個少なく記入し、訪問者が買ってしまった場合どうなのか」、というケース。

 

参考資料として、公益社団法人 全国消費生活相談者協会の「生活に役立つ新しい民法 2020年施行」というパンフレットに、ちょうどいい事例がありましたので、この事例をアレンジしながら説明します。

 

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これからは、商品価格を間違って書いた際は、購入者に対し取り消しの通知を出し、それが相手に届く必要がある

以前ですが、パソコンの販売会社が、19万8千円のPCを19,800円と価格を書き間違えて販売し、当初はキャンセルしようとしたが炎上、そのまま1,500台分を19,800円で販売し、その後サイトは閉鎖されるという、「丸紅ダイレクト事件」がありました。

 

もしWebショップの経営者・担当者なら、肝を冷やしかねない事態です。

 

ただ、常識で考えると、世間相場で20万円近くで売っているPCが、ここだけ19,800円というのは、まず普通に考えてあり得ない。

 

こう言うケースの場合、これまでは「重大な部分の錯誤は無効」とされてきましたが、改正後の民法では、”さまざまな状況から判断する必要あり”としながらも、

  • 一旦有効とした上で後から取り消し可(通知が相手に到達する必要あり、到達すると最初にさかのぼり無効)
  • 取り消しをした場合で代金をもらっている場合は、代金を返せばよい(現存利益の返還)

という形になりました。

 

また、消費者の側も、勘違いがある場合は取り消しできることにはなっているが、”簡単に無効や取り消しを主張できるわけではない”という点は留意した方がよいでしょう。

 

ただ、買った側としても、19,800円で買えると思っていたPCが、「実はやっぱり198,000円でした」では、怒る可能性が高いでしょう。

 

法律ではこうなっているとしても、感情的には受け入れがたいという顧客が大半だと思います。その点も含めて、「ではどうやってフォローをすればいいのか」というヒントになるのが、先ほどのWeb担当者Forum 企業ホームページ運営の心得 価格誤表記でまさかの99%引き、どうする? トラブルを避ける営業マンとしての鉄則です。

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価格の誤記入をしてしまったら、どうすればいいのか?

先ほどの記事のポイントを要約すると、

  • 初期対応としてプログラムを停止し(メンテナンス中と表記)対策を講じ、そして「損害」を特定(Amazon・楽天などの場合は出品を停止)
  • 間違えたからと言って、法律論で杓子定規に取り消しを主張したら、どんな人でも怒る
  • 自社の落ち度である場合、まず謝罪をし、売り手側から(買い手側の要望をそのまま聞くのはまずい)選択肢(通常価格での販売・キャンセルなど)を提示したうえで、顧客に通常価格で買ってもらうか、キャンセルしてもらうかの決定を顧客に委ねる

とされており、この方式が一番当たり障りがないかと思います。

 

また、自社に顧問弁護士がいる場合などは、適切な対応を仰ぐことができると望ましいでしょう。

 

ここで

  • 顧客側が「いや、19,800円で売れ!!」と強く迫る場合に限り、取り消し通知を出す
  • 威圧的な言動をする場合は、丁重に断った上で、今後も同じように言う場合には、公的機関や顧問弁護士等に相談することを示す

など、謝るべきは謝る、ただ一線を越えた行動を相手がとった場合は、毅然とした態度を示すなど、対応を使い分けた方が良いかと思います。

 

ネットショップに限らず、請求書・領収書・その他書面でも、桁の間違いというのはどうしても起こりがちですが、間違えた場合はすぐに間違いと謝罪連絡、しかるべき対処を早めに行うことが望ましいでしょう。

 

 

 

 

 

 

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