サブスクリプションが相当普及する中で、様々なサブスクリプションサービスに登録する人が増えているかと思います。
その中でも、動画系サブスクリプションサービスは、相当な数の方が登録しているかと思います。
ただ、動画系サブスクリプションサービスの中でも、Netflix・Amazon Prime等の動画サービスと、「Youtubeを快適に見られるためのサービスである「Youtube Premium」では、ユーザーに与える便益が大きく異なります。
Netflix・Amazon Prime等の通常の動画サービスは、「快」、つまりエンターテインメントを提供している
Netfilx・Amazon Primeをはじめ、Hulu、dTV、Apple TVなどは、課金登録によって、様々な独自の動画、過去の映画・TVなどを見られるサービスを提供しています。
前提が、「有料・課金必要」というプラットフォームのため、「このコンテンツが見たければうちに登録してね」という前提があります。
昨日、「Netfilxの最強人事戦略」という書籍に目を通していました。
アメリカでは、DVDレンタルのブロックバスターと競合し、一時は社員の3分の1をリストラする状況に迫られながらも、動画配信・そしてオリジナル動画へのシフトを行い、「コンテンツ制作部門を初めとする、様々な部門に、いかに最大限の権限(+結果責任)を与える」ことにより、Netfilxを「ここでなければ見られないエンターテインメントを提供する場」という地位を確立しました。
また、Amazon Primeにしても、「Amazon Primeの独自番組、一部音楽・書籍の読み放題(もっと多く楽しみたい人は、それぞれAmazonの動画購入サービスやレンタル・Music UnlimitedやUnlimited HD(高音質なサービス)、Kindle Unlimitedという別の課金サービスを提供し、かつ当日・翌日配送、自社デバイスを極めて安価な価格で提供する、Prime会員限定セールを設けるなど、大きなプラスをユーザーに与え、かつ他の自社サービスへの誘導を行うなど、見事な自社サービスでの囲い込みプランを提供しています。
Youtubeは無料で見られるが、それに伴う様々な「ちょっとした不便さ」を取り除き、あわせて音楽聴き放題も提供するのが、Youtube Premium
一方、Youtubeを見てみると、Youtube自体は無料で見ることができます。
しかし、広告が再生時に出てくる、画面下に出てくる、次にお勧めの動画の直下に広告枠で関心のない動画が入るなど、「ちょっと」不快な感覚を伴うことになります。
また、Youtubeがもつ、字幕機能、再生速度の変化(1.5倍速再生・2倍速再生)なども、通常のYoutubeで利用できます。
一方、Youtube Premiumにに登録して得られるメリットは、
- 広告なし、バックグラウンド再生
- 動画の一時保存・オフライン再生
- YouTube Music Premiumも一緒に利用できる
- Youtube Premium限定の動画全てを見ることができる(一般ユーザーでも見られるケースはあるが、制限あり)
と、Youtube Music Premiumが利用できる点以外は、「無料でもYoutubeは利用できるけれども、有料にすると、広告が消え、バックグラウンド再生や一時保存もでき、快適に使えますよ」という点を訴求しています。
正直、広告をなくしたりオフライン再生のために課金?と思いたくなりますが、実際に使ってみると、確かに快適に再生できます。
ただこれは、Youtubeが動画プラットフォームとして盤石の地位を得ているからこそできる、「不快を取り除くために課金を促す」という方策ですので、どちらかというと、ユーザーも、前向きな気分でYoutube Premiumを使うというより、「広告などが邪魔なので、不快さをなくしたり、バックグラウンド再生ができる方が便利(かつ、こちらのひとぅさんのブログによると、画面を表示しないバックグラウンド再生だけだとデータ通信量も減るそうです)なので使う」という「不快を避ける・便利さを得る」というために登録するわけです。
例えば電車通勤や自動車通勤、家事などで耳は開いているけれども、それ以外は他の事をしているけども、音声だけ聞ければいいケースの場合、音声だけの再生というのは非常に便利です。
このように、一度大きなプラットフォームを作ってしまえば、コンテンツを無料にしても、広告だけでなく、「快適にするため」に課金を行うということもできるようになります。
人間が行動をする(お金を払う)のは、快を得るためか、不快を避けるためという原則
Netfilx等とYoutube Premiumの対比から考えられるのは、以前から多くのところでいわれている、
「人間が行動をするのは、快適性・楽しみを得るか、不快を避けるか」という点に帰結するといえましょう。
「Netfilxは快を得る、Youtube Premiumは不快を避ける」という点で、メリットが明確に分かれていると言えます。
これは他のビジネスにおいても言えることで、機会を見て、「快を得るビジネス」と「不快を避けるビジネス」の典型例を挙げてみたいと思います。
Netfilx対Youtube Premiumだけではない、前向きな消費と不便を避ける消費