ちょうど昨日の日経新聞インタビュー記事で、日本電産会長兼CEOの永守重信氏のインタビューが掲載されました。
記事については会員限定記事のため、是非登録して全体をご覧いただきたいと思いますが、無料の最初の部分の引用や、一部後半の要点などを含め、これまでハードワーク至上主義・M&ACCESSで事業拡大と驚異的な成長を遂げた日本電産会長兼CEOの永守重信氏の談話には正直驚きました。
「今回は自分と家族を守り、それから会社だ、人命についてこれほど真剣に考えたことがない」
永守重信氏といえば、「勝つまでやる、成果が出るまでやる。」という言葉が有名なくらい、ハードワーク、しかも時間ではなく知的ハードワークに対し強い意志を持つ名経営者です。
このハードワークには、お母様の「人の倍働く」という教えがあったことも言われています。
永守氏も現在は「第三次世界大戦」だと形容する現在のコロナ渦
過去の災害の時でも、持論は一貫していた永守氏が、
「どんなに経済が落ち込んでもリーマンの際は『会社のために働こう』と言い続けた。だが今回は自分と家族を守り、それから会社だと。従業員は12万人以上いる。人命についてこれほど真剣に考えたことはない」
「今は見えない敵と戦う第3次世界大戦だ。当社は40カ国以上に工場があり様々な情報が錯綜(さくそう)する。指揮官の私が全貌を把握し、すべて決める体制にした」
と、現在を見えない敵と戦う第三次世界大戦に例えています。
また、サプライチェーンに関する言及もありますが、グローバル化の限界ではなく、むしろもっとグローバル化が来ると考え、サプライチェーンの再構築を検討、自国にサプライチェーンを再度戻すのは、リスクを増すだけだともしています。
永守氏がストレートに「Cash is King」と発言する衝撃
日本電産と言えば、企業のM&A、立て直しで急成長してきた会社です。
そこが「今はCash is King」とまで形容し、現金の価値の高まりと安易な投資の手控えを表明しています。
そして、今後の社会・経済のリーダーが不明確な件にも触れ、アフターコロナについてもご自身の考えを述べておられます。
コロナ収束後、今後どこの国・地域が国際経済を牽引するかは不明確な上に、コロナの影響がいつ収束するかはわかりませんので、こういうときに、キャッシュを持つ会社、銀行との強固な関係・クレジットラインを持つ会社は強いと感じます。
コロナ収束後の全く違った景色
少なからぬ方が想定しているであろう、アフターコロナでの社会・経済に関する景色についても問うインタビューでは言及しています。
要点をピックアップすると、
- テレワーク(リモートワーク)劇的に進む
- 都内の企業に勤める人が地方に家を買う可能性
- 企業はサテライトオフィス・手当の見直しなど抜本的に環境を改善すべき
とし、
アフターコロナの光景を
- 利益追求だけでなく、自然と共存する考え方に変えるべき
- 自然に逆らう経営はいけない
とし、
50年間自分の手法が全て正しいと思って経営してきた。だが、今回それは間違っていた。テレワークも信用してなかった。収益が一時的に落ちても、社員が幸せを感じる働きやすい会社にする。そのために50くらい変えるべき手法を考えた。
とまでおっしゃっています。
(繰り返し申しあげますが、ぜひ記事本体を登録して読むことをおすすめします)
永守氏ほどの名経営者が、「50年間貫き通した経営を抜本的に変革するとしているくらいですので、コロナショックの影響は相当なものでしょう。
今後の日本・そして経済の方向がどこへ向かうかは混沌としています。
しかし、「日はまた昇る」ではないですが、日本もコロナ収束後、反撃ののろしを上げると共に、自然との共存を図りながら、新秩序に併せた社会を再構築する必要があるでしょう。
そのために、今は経営者・管理者が我慢の一手を。