安売り王一代 私の「ドン・キホーテ」人生に見る、ORではなくANDの思考法・そして大負けしないこと

前回は、

安田隆夫氏の著書、安売り王一代 私の「ドン・キホーテ」人生には、未経験だからできる勝ち方が記されている

というテーマで記事を書きました。

 

今回はその続きです。

 

今回も、安売り王一代 私の「ドン・キホーテ」人生 (文春新書)をピックアップし、要点を取り上げます。

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ORではなくAND、あちらもこちらも立てる

様々な物事に対し、白黒つけないと気になるという方も少なくないと思います。

 

しかし、白か黒か、0か100かの世界というのは当然存在するわけではなく、「どれが絶対的に正しい」ということは、なかなか言えるものではありません。

 

例えば、売り手と買い手、売り手「か」買い手「か」でなく、売り手も買い手も、どちらにも振り切らない。

 

売る側にも買う側にも振りきらないファジーさ、言い換えれば相反する要素を融合させる優れたバランス感覚を維持すること。これができて初めて顧客本位となり、その結果、店として利益を出せるというのがドンキ流

 

「『ORの抑圧』をはねのけ、『ANDの才能』を活かす」というくだりがある。いわゆる「 止揚」だ。これは二つの対立する概念をより高い段階で統一すること、さらに分かりやすく言えば、「あちらを立てればこちらが立たず」ではなく、結果として「あちらもこちらも立てる」ことだ。ごく単純な例としては、「安くてうまい」とか、「早くて正確」といったようなこと

 

 

ビジネスは二者択一ではなく、常に「こちらも立て、あちらも立てる」という「AND」の発想でなければ成功しない

 

生命体そのものが「OR」ではなく「AND」なのではないだろうか。そしてこの論理は国家にも敷衍できる。共産主義国家が発展しなかったのは、共産思想の本質が「OR」だからだ。

 

この一連のくだりは深いと感じます。

 

ゼンショー創業者の小川賢太郎氏、幻冬舎の見城徹氏など、一度は全共闘や学生運動に関与するも、様々な思い(共産主義の不毛さなど)を抱き、「資本主義の社会で勝ち上がる」ことに転向し、実際に勝ち上がっていった経営者も少なからずいるように、「共産主義」は発展性がないと本書では直言しています。

 

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100%いい人・100%悪い人は存在しえない

 

また、人間も、いい人、悪い人がいるのではなく、人はホワイトからブラックまでのグラデーションの濃淡のどこかにいる。

 

極度のサイコパスであっても、時にいい人になるケースもあるし、極端にいい人、人の為を思って頑張っていたいた人が、ダークサイドに転向してしまうときもある。

(映画・ジョーカーはまさにその一例かもしれません)

 

要は単純に人を「善玉=いい人」、「悪玉=悪い人」の両極に分類してはならないということだ。  そうではなく、現実に人は真っ白でも真っ黒でもないグレーの濃淡のいずこかにあり、さらにそのポジションは、置かれた状況や時代(時期)、年齢、また接する人の違いによって千変万化する。

従って自分という存在が相手の濃淡グラデーションのどこに位置するのかを見極め、常にそれに応じた距離感を持って、適確な接点を見出すことが肝要になる。 こうして独自の対人関係をどう構築するかが人生最大の醍醐味であり、また人生を豊かにするか否かの重大な要素になる

 

人はいつでも一定ではないし、もちろん自身、家族も一定ではない。

 

また、自分のグラデーションがどこにあるかを見極めるためには、自分をしっかり見つめる、外部からの意見をもらうなど、少し一筋縄ではいかない。

 

川の流れのごとく、人間というものも移ろいゆくものです。

 

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もっともらしい話には赤信号。凡庸は死を意味する

当書籍では、「もっともらしい話」について、警鐘を鳴らしています。

 

凡庸は即、死を意味する 。ところで、実際の経営の場においては、もっともらしい理屈や提案などが色々と出てくる。しかしそれらに乗っかると、たいがい間違えて(中略)

と、もっともらしい話に乗っかることの危険性を記しています。

 

命がけで起業するわけだから、いいかげんな経営をしているわけではない。それでも、ほとんど生き残れないのは、もっともらしい理屈やもっともらしい方法論を正しく信じた結果、〝正しく〟潰れてしまうからだ。だからこそ、もっともらしい話であればあるほど、経営者は警戒しなければならない。 私は部下の話を聞く場合でも、それがもっともらしく、まともに聞こえる時ほど、「いや、ちょっと待てよ」とウォーニングランプ(警告灯)を点灯させる

と、理屈・方法論が一見もっともらしく、全うに聞こえるときこそ、「これは?」と考える必要があるようです。

 

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「大負けしない」が秘訣

最後に、負けても「大負け」はしない、つまり致命傷は負わないという部分について、興味深い部分を引用しましょう。

 

私は人一倍負けず嫌いだが、じつは負けの数も人一倍多い。にもかかわらず、何とかここまで到達できたのは、何回負けても絶対に〝大負け〟はしなかった

 

百万円儲けられる時に、五十万円しか儲けられなかった。そこで「五十万円も儲け損なってしまった」と心底悔しがれる人はきわめて少ない。多くの人は、「それでもまあ、五十万円儲かったんだから良しとしなければ」というレベルに留まってしまう。 これではダメなのである。得るべき果実を完全に収獲できなかったことを、地団太踏んで悔しがれる人が本当に強い勝負師だ。 さらに、「今の自分には少なくとも百万円勝てるツキと上げ潮があるのだから、さらに二百万円、三百万円と儲けることができるかもしれない。さあ、どうやって大きな勝ちを摑みに行こうか」と思える人、つまり勝ちに敏感かつ貪欲な人がビジネスでは大きな成功を(中略)

 

とあり、負けはしても大負けはしない、また、勝つときにはハングリーさを持って、積極的に勝ちに行く。

 

この「大負けせず、勝つときに勝ちきる」精神が、今のドン・キホーテを築いたのかもしれません。

 

(前記事)

安田隆夫氏の著書、安売り王一代 私の「ドン・キホーテ」人生には、未経験だからできる勝ち方が記されている

 

 

 

 

 

 

 

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