この時期、多くの会社・個人が大変な状況にある状態に加え、政府の給付金・助成金などいろいろな支援策が出されています。
この時期だからこそ、余計に気をつけたい詐欺対策をまとめてみたいと思います。
まず、詐欺被害における大原則を踏まえ、個別の話に入っていきます。
詐欺被害の大原則
- 詐欺に遭ったお金は、訴訟でもしない限り戻ってこないケースが極めて多い
- 詐欺被害(+恐喝)のお金は、災害や盗難・横領と違い、雑損控除の対象にならない
- おいしい話は99%向こうからやってこない
- 少しでもおかしいと思ったら、ともかく早急な対処が必要
- 2020年5月現在では、個人10万円の特別定額給付金・個人事業主100万、中小企業200万円などの持続化給付金など、給付金やその他補助金・助成金を語った詐欺が横行しているが、自治体や国が電話・メールなどで給付金・助成金の案内をすることはない(自治体・省庁・各種団体のメールマガジンなどは除く)
- 有名人との関係を強調していたり、著名である、書籍を出している場合などでも、過度に信用しない
特に、詐欺被害に遭った場合、詐欺をする側も、「潰す前提で作ったダミー会社を解散させ、被害弁済を請求できないようにしてしまう」「詐欺組織がピラミッド状になっており、末端は捕まるが上までは行かないようになっている」、この他にも様々な方法で、「いかに詐欺をするか」だけでなく、
- 捨て駒(出し子・名目上の経営者など)を使って詐欺で不正に得たお金を実際に現金化するか
- 倫理上は黒だが、法律上グレーかホワイトの範囲で騙すか
- いかに騙して詐取したお金を取り返されないようにするか
を、非常に巧妙に組み立てています。
また、名の知れた大手組織であっても、個人がノルマを達成するために、「当事者・家族に大きな損失を与えてしまう方法」「法律ギリギリかアウト」の手法を使うケースもあります(あえて固有名詞は出しません)ので、正直、大きな会社だから、有名な会社だからという事で大丈夫ということはなく、相手から一方的に提案してくる場合には「何かがある」と考えて警戒するべきでしょう。
詐欺師は真実やもっともらしく聞こえること、精神論から話し、嘘を織り交ぜ騙していく
振り込め詐欺・保証金などの場合は別ですが、投資詐欺、情報商材詐欺、暗号通貨詐欺、マルチまがい商法などの場合、傾向として「いきなり騙す」というより、段階を踏んで騙しにかかります。
- 数万分の1の確率でも、カモが引っかかればいいので、ともかく様々な手法であらゆる層にアプローチを仕掛ける
- 最初はもっともらしいことを言って、「教育」する
- 「著名人」との関係性を出し、信頼性を出してくる
- 将来への不安を煽るか、将来儲かるなどを断言、もしくはそれに近いニュアンスで、心理を動かす
- 徐々に信用を得て、少しずつお金を出させる
- お金を出した「カモ」を徹底的に囲い込み、様々な形でお金を出させる
など、じわじわと相手からしゃぶりつくします。
ここら辺の心理学の側面は、「影響力の武器」という書籍でかなりカバーされていますので、騙す側はこういうやり口で来るのだ、ということを理解するために目を通しておくと良いでしょう。
詐欺を働く側は、「法律」「制度」のスキマを徹底的に追求している
詐欺を働く側は、いかに検挙されないようにするか、法律や制度を熟知した上で、法律に引っかかる部分は使い捨てできる人間を利用します。(今回の新型コロナによる経済混乱で、社会の底に落ちてしまった人が、駒にされてしまうことが容易に想像できてしまいます)
そのため、個人としても変においしい仕事に飛びつかないようにすることは重要です。
あまりにも古典的ですが、
- うまい話には裏がある
のひとことです。
なお、銀行の口座の売買は犯罪であることは当然ですが、振り込め詐欺の口座情報は、預金保険機構、その他のデータベースを通し銀行が共有しているため、口座を売り渡した者は今後口座が作成できなくなる、口座凍結されるなど、犯罪以外の問題もありますので、けして口座の譲り渡しをしてはいけません。
詐欺に遭わないためには?
- 自分だけは大丈夫と絶対に思わない。詐欺に遭った人を笑っている人が、今度は被害者になる
- おいしい話が向こうから来ることは99%ない
- 詐欺を働く側は、突発的に動揺させたり、徐々に洗脳したりと、様々な切り口から騙しにかかる
- 怪しい話は、即警察の相談ダイヤル#9110と、個人(個人事業主の事業にかかる行為の場合は除く)の場合は全国の消費生活センターへ
- 詐欺で取られたお金は、訴訟でもしない限り99%取り返せないし、訴訟でも限界があると思っておく
- もし向こうが、「今だけ」「今決めないとだめ」「今日午後3時まで(銀行の窓口の営業時間)」など、時間を極端に短く区切った要求をする場合、周囲に相談させないようにするための悪知恵であるケースが多い
- 会話・やりとり・証拠・HPなど、相手に関する資料は極力保存、やりとりはメモ・録音をしておく。特に電話は言った言わないの水掛け論になるため、証拠が必要
- 派手な紹介ページに、射幸心を煽るワードがちりばめられている場合は、特に注意を
- 「絶対」「100%」「確実」「私を信頼して下さい」などのワードを使う場合は99.99%詐欺(何ごとにも、100%・絶対というのはないので)
要点を挙げるときりがありませんが、最低限、この点には注意しておいた方が良いでしょう。
実際に詐欺に遭ったらどう対処する
実際に被害に遭った、あるいは怪しい時は、3段階で対処していきましょう。
- 警察・消費生活センター(振り込め詐欺の場合も警察の相談ダイヤル#9110に)、にまず相談し、履歴を残してもらう
- 個人の場合は、消費生活センターに相談する
- 消費生活センターで対応できないケースの場合、確実に回収できる保証があるわけではないが、弁護士に相談する
などの形を取っていくべきです。
また、振り込め詐欺の場合は、預金保険機構で、振り込め詐欺に関して相談することができます。
預金保険機構 金融業務支援部 振込詐欺被害回復業務課
03-3212-6076
ただ、最近振り込め詐欺で多い、コンビニで電子マネーを購入して・・・、というケースの場合、対応できないので、この「電子マネーを購入して」というのにも注意が必要です。
弁護士に関しては、知人の紹介、消費生活センターの紹介の他、都道府県の弁護士会や法テラスへの相談、法人や個人事業主であったり、早急に相手に対応したい場合は、詐欺対応に通じており、ノウハウを持つ事務所に相談するのもありでしょう。意外とこういう詐欺関係に対応できる事務所というのは限られます。
もちろん、他の事務所なり、弁護士ネットワークの横のつながりでも大丈夫ですが、注意すべきは、「弁護士事務所以外で詐欺対策をうたう事務所・業者には注意が必要」です。特に、なんの裏付けもない事業者の場合、まともなところであればいいのですが、悪質なところだと二次被害や、リストを売られるなどの恐れも想定されますので、特に注意を。
いずれにせよ、おかしいと思ったら早急な対処が必要です。
また、詐欺に遭ってしまった人を責める・笑う風潮は、より詐欺被害を地下に潜らせ、詐欺被害の拡大を招きます。また、泣き寝入りも、詐欺の拡大を助長してしまいます。
悪いのは、99.99%詐欺を働く側です。
そして、今回の新型コロナウイルスによる不況で、今後さらに、詐欺や副業詐欺、マルチまがい商法などが増えることが懸念されます。
「自分だけは騙されない」
と思っている人こそ、注意して下さい。
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