令和2年度政府予算案閣議決定-地域社会維持特措法はどう動く?課題や人材の問題は?

令和2年度の政府予算が正式に閣議決定されました。

 

当サイトとして気になるのは、地域社会特別措置法・サイバーセキュリティ関連ですが、今回は地域社会維持特措法を取り上げます。

 

まず、今回の予算の特徴は、

 

消費税増収分を活用した社会保障の充実、経済対策の着実な実行、歳出改革の取組の継続に
より、経済再生と財政健全化を両立する予算。

 

その上で、社会保障の充実や経済対策の実行、歳出を減らしていこうという取り組みをうたっています。

 

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地域社会維持特措法はどのような予算案?予算額と公的支援比率はどうなった?

以前に紹介したとおり、地域社会維持特措法(地域特措法)は、

 

「地域の事業者で協同組合を設置して、若者を農林水産業・季節レジャー業などに派遣、安定収入の確保と定住に結びつける」

 

という試みなのですが、一部の地方紙以外、あまりにも認知が少ない感がありますので、地域社会維持特措法を扱っている「山陰中央新報」より、要点をピックアップします。

 

  • 20年度は全国で約80組合・500人の人材確保を想定
  • 事業費は約19億、事業費に対する公的支援は当初の3分の1から2分の1に引き上げ

 

という形で、当初の予定より国・地方公共団体の負担額を引き上げたようです。

 

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地域事業協同組合で、受け入れた人材を活用できるのか?そして彼らのその後のキャリアは?という課題

地域事業協同組合の取り組み自体は、今後の中山間地域に対する重要な試みと言えるのですが、問題は、地域が受け入れた人材をきちんと活かせるのか、また、そもそも「人材が確保できるのか」ということ。

 

へき地・地方の医師に加重勤務が強いられ、疲弊するケースや、地域おこし協力隊で受け入れた人材の扱いに対し、賛否両論があったことや、地域おこし協力隊自体の賃金が安すぎるなど、「制度があっても、当事者に負担がかかる、地域おこし協力隊のように任期3年と雇用不安定かつ166,000円、安い給料(業務委託の形式なので、活動費、さらにここから税金・社会保険料が引かれ、各種雇用保険なし)しか出せない、やりがい搾取である」など、批判が出る制度運用になってしまうと、関わった人の多く(特に移住した人)が不幸になってしまいます。

 

かといって、

国としても、田舎のことはもう知らんから勝手にやってくれ。

という訳にはいきません。

 

その点もあり、地域維持特別措置法という形で、「事業組合という形である程度フレキシブルにできるようにしようよ」という制度設計になったのかな、と推測しています。

 

柔軟性という点でプラスな反面、

  • 地域のハード・ソフトの問題
  • 人にかかる様々な問題
  • コンプライアンスの徹底

 

また、地方の場合はコンプライアンスに対する捉え方(特にアルハラ・パワハラなど、地域では問題にされなかったけども、今の基準で見たらアウトになる各種ハラスメント)に差があることも想定できますので、その点についても懸念はあります。

 

加えて、人材に、あれこれやってもらうことがどこまでできるかというのも問題です。

 

夏は農作業、冬はスキー場、足りないときには介護もやらせて、さらに田舎は車がないと何も出来ないので、免許が必要、また機械の扱いや介護資格の取得も必要、などとなってくると、誰が対応できるのかという問題があります。

 

そもそも、対応できるだけのスキルを持つ人材が来てくれるのかという問題もあります。

 

加えて、来てもらって結局ミスマッチになり、双方に禍根が残り・・・、などとなっては、結局誰も得せず、特に若者は貴重な時間をドブに捨ててしまうということになりかねません。

 

ハラスメント行為→録音・録画→即炎上する時代

 

また、今はICレコーダー・スマホの録音、録画機能が充実しており、世間のパワハラなどに対する目も相当厳しく(それが本来あるべき形なのですが)なっています。

 

週刊誌や情報番組でも、ある有名タレント医師のパワハラ録音が「文春砲」で暴露され、問題になっているところです。

 

もはや、全ての言動は録音・録画されているかもしれないという自覚を持つ必要があります

 

事業協同組合という、ともすれば内向きになってしまう恐れのある形態の中でハラスメント行為が行われ、それが大衆向けメディア・炎上しやすい媒体などで報じられれば(週刊文春・週刊新潮→ミヤネ屋・ゴゴスマ・バイキング)、制度全体が大きく批判を浴び、まじめにやっている他の団体までイメージダウンとなるでしょう。

 

ある地方で、医師が来てもいろいろな問題があり定着しない地域がありましたが、このような形で世間に問題が知られる自体が事業協同組合で発生すると、「これだけ下駄履かせて都市から税金取って、このざまなら、もう中山間地域って・・・(自主規制)」という世間的な合意ができてしまう可能性もありえます。

 

事業協同組合を作っても人が来ない・・、では海外人材を、というときも、配慮が必要

 

また、海外人材の受け入れも視野に入ってくるかもしれません。

 

その場合は言語、相手国の慣習・宗教の尊重(特に、礼拝・ハラール認証の食事などへの配慮)など、徹底的に相手国の慣習にあわせること、そして適切な待遇を行うことが肝要です。

 

既に、技能実習ビザで日本の工場などで働いていた外国の方が、様々な形で問題のある待遇を受け、「時給400円」で働かされていた外国人の悲惨という記事のように、劣悪な待遇を受け、時に失踪してしまう。

技能実習で来日するための費用に充てるため、母国で借金をすることも珍しくありませんから、どんなに劣悪な就労環境に置かれても、技能実習生は金銭的な理由から、我慢して働き続けなければならないという状態に陥ってしまいがちなのです。労働基準法の規制の網目をすり抜け、「寮費」などの名目で多額の天引きを行う形で、実質的に低賃金で技能実習生を働かせるという行為も後を絶ちません。

こうなると、失踪してグレーな仕事や、よりブラックな仕事に、国に残した家族や自分の生活のために手を染めてしまうという可能性もゼロではありません。

 

日本の治安にも影響が出る恐れがありますが、なにより不幸なのは、本人やその家族が問題を抱えることです。

加えて、これが国際社会で人権問題としてピックアップされ、現在ただでさえ下落しつつある日本のプレゼンスに加え、「人材使い潰し国家」という烙印が押されると、さらに日本のイメージが悪化するでしょう。

 

まだ制度の運用はこれからですが、

 

  • まず参画した人が安定した給与・生活を得られるようになる
  • 受け入れ側も「人の人生を背負っている」という自覚を持つ
  • 事業協同組合の運営が適切に運営が行われるよう、地方自治体がモニタリングを行うとともに、問題を通報できるダイレクト窓口をつくる

 

など、今後制度設計をより詰めていく必要があるのではないでしょうか。

 

 

 

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