経済産業省の中小企業支援拡充、事業再構築補助金での原油・物価高騰に対する緊急策も

原油・物価の高騰が止まらない中、経済産業省は、原油・物価高騰に対する緊急支援策を行っています。

その中で、事業再構築補助金において、原油価格・物価価格高騰等の予期せぬ経済環境の変化の影響を受けている事業者を対象とした特別枠の創設や加点措置が行われるようになりました。

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事業再構築補助金での原油価格・物価価格高騰等の予期せぬ経済環境の変化の影響を受けている事業者を対象とした特別枠の概要

事業再構築補助金において、原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)が創設されます。

(第6回公募には未記載、第7回公募からの可能性)

補助上限額 1,000万円~4,000万円(従業員規模により異なる)

補助率 中小4分の3、中堅3分の2

補助対象要件

足下で原油価格・物価高騰等により、2022年1月以降の売上高(又は付加価値額)が、2019~2021年同月と比較して10%(付加価値額の場合15%)以上減少

事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること

目指す目標

事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上の増加等

 

 

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「事業再構築補助金」に特別枠

岸田首相は、4月16日に中小企業などの支援策として、「事業再構築補助金」に特別枠を設ける方針を表明しました。

事業再構築補助金は、各種の取り組みに、100万円~最大1億円を3分の1から4分の3まで補助する制度です。

この『事業再構築補助金』について、原油や物価高騰の中で、「新規の事業に挑戦される企業を後押しする特別枠」を作って支援するという方針を示しており、今後の動きを見守る必要があります。

 

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中小企業活性化パッケージとは

中小企業活性化パッケージは、企業が現在のコロナ禍・経営環境激変を乗り越えられるように用意された、複数の施策です。

この施策の背景には、下記の課題があります。

  • 中小企業は日本の企業数の99.7%、雇用の7割を占めている
  • 足下では、事業復活支援金や資金繰り支援等で事業継続を支援している
  • 中長期では、債務が企業の相当な負担になる恐れ
  • 増大する債務に苦しむ、中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジを促す総合的な支援策を展開する必要がある

以上の背景を踏まえ、

  1. コロナ資金繰り支援の継続
  2. 中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援

を2本柱として、官のサイドから中小企業を支える施策を打ち出したのが、中小企業活性化パッケージです。

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中小企業活性化パッケージの具体的な内容

では、個々の中小企業活性化パッケージの内容について見てみます。

資金繰り支援

  • セーフティネット保証4号の期限を延長。
    一般枠(上限2.8億円、80%保証)に上乗せした別枠保証(上限2.8億円、100%保証)の期限を延長6月1日まで延長。
  • 実質無利子・無担保融資、危機対応融資の継続等
    新型コロナウイルス感染症の影響を受けて業況が悪化している事業者に対する実質無利子・無担保融資、危機対応融資の期限を延長 、6月末まで。
    返済負担を軽減するための融資期間の延長(運転資金20年)
  • 日本政策金融公庫の資本性劣後ローンの継続
    民間金融機関が自己資本とみなすことができる日本政策金融公庫の資本性劣後ローン(最大20年元本据置、上限額10億)を継続(来年度末まで)
  • 納税や社会保険料支払いの猶予制度の積極活用・柔軟な運用
    納税緩和制度に基づく猶予及び社会保険料の支払猶予制度(延滞税や延滞金を0.9%に軽減)の柔軟な運用(原則担保不要、口頭での事情説明も可など)を継続
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中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援

収益力改善・事業再生・再チャレンジの3つのフェーズにおいて、それぞれの支援策が用意されています。

また、47都道府県に存在する中小企業再生支援協議会を関連機関と統合、収益力改善・事業再生・再チャレンジを一元的に支援する「中小企業活性化協議会」が設置されます。

 

収益力改善フェーズ

  • 認定支援機関による伴走支援の強化
    収益力改善に向けた計画策定に加え、認定支援機関による計画実行状況のフォローアップや
    助言等を強化【22年4月~】
  • 協議会による収益力改善支援の強化
    ポストコロナを見据え、中小企業再生支援協議会において、コロナ禍で緊急的に実施している特例リスケ支援を収益力改善支援にシフト【22年4月~】

事業再生フェーズ

  • 中小機構が最大8割出資する再生ファンドの拡充
    コロナの影響が大きい業種(宿泊、飲食等)を重点支援するファンドの組成、ファンド空白地域の解消を促進【順次】
  • 事業再構築補助金に「回復・再生応援枠」を創設
    再生事業者が優先採択される枠を創設し、収益力の向上を促進【22年春頃~】
    ・ 補助率:3/4(中堅2/3)
    ・ 補助上限額:従業員規模により500万~1500万円
  • 中小企業の事業再生等のガイドラインの策定
    (経営者退任原則、債務超過解消年数要件等を緩和)
    数百人規模の民間専門家(弁護士等)を活用し支援
    ガイドラインに基づく計画策定費用の支援制度を創設【22年4月~】

再チャレンジフェーズ

  • 経営者の個人破産回避のル-ル明確化
    個人破産回避に向け、「経営者保証ガイドライン」に基づく保証債務整理の申出を受けた場合
    には、金融機関が誠実に対応する、との考え方を明確化【21年度中】
  • 再チャレンジに向けた支援の強化
    経営者の再チャレンジに向け、中小機構の人材支援事業を廃業後の経営者まで拡大【22年4月~】
  • 中小機構において、廃業後の再チャレンジに向けた専門家支援を展開【順次】
  • 公庫の再チャレンジ支援融資を拡充【22年2月~】

以上の通り、中堅・中小企業を特に主体とした再生支援策が用意されました。

今後より実効性のある施策や、制度の運営が望まれます。

 

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