中小企業等支援、買い叩き防止のための「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」公表!(21/12/28)

2021年12月27日、中小企業・零細企業・個人事業主支援のための「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」が公正取引委員会より公表されました。

パッケージの概要を箇条書きで整理します。

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「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」の要点

このパッケージは、各省庁横断で、「中小企業等、立場がどうしても弱くなる側が、円滑に価格の引き上げをできるようにする」という施策です。

要点を抜粋してみましょう。

  • 中小企業等が労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁できるようにし、
    賃金引上げの環境を整備することを目指す
  • 毎年1月から3月までを「転嫁対策に向けた集中取組期間」(以下「集中取組期間」という。)と定め、政府を挙げて、強力に取組を進めていく
  • 業種別の法遵守状況の点検を行う新たな仕組みを創設
  • 公正取引委員会・中小企業庁が事業所管省庁と連携を図る
  • 事業者について、①関係省庁から情報提供や要請、②下請事業者が匿名で、「買いたたき」などの違反行為を行っていると疑われる親事業者に関する情報を公正取引委員会・中小企業庁に提供できるホームページの設置(「違反行為情報提供フォーム」)を通じて、広範囲に情報提供を受け付ける
  • 価格転嫁に関する関係省庁連絡会議を内閣官房に設置
  • 今年度末までに把握した情報に基づき、2022年6月までに、事例、実績、業種別状況等に
    ついて公正取引委員会・中小企業庁が報告書を取りまとめ、公表
  • 法違反が多く認められる業種については、公正取引委員会・中小企業庁と事業所管省庁が連名で、事業者団体に対して、傘下企業において法遵守状況の自主点検を行うよう要請
  • 公正取引委員会、中小企業庁は、これらの情報に基づき、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の転嫁拒否が疑われる事案が発生していると見込まれる業種について、重点立入業種として、毎年3業種ずつ対象を定めて、立入調査
  • 下請代金支払遅延等防止法の適用対象とならない取引についても、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇を取引価格に反映しない取引は、独占禁止法の「優越的地位の濫用」に該当するおそれがあることを公正取引委員会は明確化し、周知徹底
  • 下請代金支払遅延等防止法の適用対象とならない取引とは、資本金要件を満たさない取引(例:資本金2億円の企業と資本金 1,500 万円の企業の取引)や、売買などの委託以外の取引、自家使用する役務を委託する取引(「事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供」の委託)を指す
  • 独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関して、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の転嫁拒否が疑われる事案が発生していると見込まれる業種について、これまでは荷主と物流事業者との取引のみ調査を行っていたが、今年度内に対象業種を追加的に選定し、来年度に緊急調査を公正取引委員会において、実施
  • 「買いたたき」の指導実績が多い道路貨物運送業のほか、関係省庁からの情報提供や要請、令和3年9月に実施した取組のフォローアップ調査の結果を踏まえて選定
  • 調査結果については、報告書を取りまとめ、公表する。また、公正取引委員会が取引価格への転嫁拒否が疑われる事案について、立入調査
  • 関係する事業者に対し、具体的な懸念事項を明示した文書を送付
  • 労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇を取引価格に反映しない取引は、下請代金法上の「買いたたき」に該当するおそれがあることを明確化
  • 買い叩きの事例として
    ・労務費、原材料費、エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりの取引価格に据え置くこと
    ・労務費、原材料費、エネルギーコスト等のコストが上昇したため、下請事業者が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を文書や電子メールなどで下請事業者に回答することなく、従来どおりの取引価格に据え置くこと
  • 「買いたたき」を含む下請代金法上の解釈に関する相談対応の強化を図るため、下請代金法に関する相談を受け付ける公正取引委員会の「不当なしわ寄せに関する下請相談窓口」のフリーダイヤル(0120-060-110)の更なる周知徹底
  • 毎年 1 月から3月までの「集中取組期間」において、政府で設置している中小企業から
    の相談窓口における価格転嫁
    に関する相談をもとに、下請Gメンによるヒアリングを実施、親事業者による価格転嫁の協議への対応状況を詳細に把握し、その結果を公表
  • 食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドラインを新たに策定
  • 下請Gメンによる調査の分析結果等を各事業所管大臣に共有し、取引適正化のための業種別ガイドラインの策定業種を拡大
  • 最低賃金違反や賃金・残業代の不払が疑われる事業場に対して、労働基準監督機関(都道府県労働局・労働基準監督署)が監督指導を実施し、是正を図る
  • 賃金不払をはじめとした基本的な労働条件の履行確保を図るため、労働基準監督機関による定期監督(年間 10 万事業場以上に実施)において、賃金引上げの意向や労働条件の改善状況を確認
  • 賃金支払が履行されず、労働基準監督機関による度重なる指導でも是正しない事業場や、定期賃金や割増賃金を適切に支払わず、同様の法違反が繰り返される事業場については、検察庁送検を含め厳正に対応
  • 労働基準監督機関が事業所に立入検査・監督指導(臨検監督)を実施した際に、労働基準関係法令違反が認められなくても、賃金引上げの阻害要因として「買いたたき」等が疑われる事案については、労働基準監督機関から公正取引委員会や中小企業庁、国土交通省に通報
  • 来年度から新たに、賃上げを積極的に行う企業の申請に対する加点を実施
    大企業であれば給与等受給者一人当たりの平均受給額を前年度比3%増、中小企業であれば
    給与総額 1.5%増
  • 情報システムやビルメンテナンス等の公共調達において、労務費、原材料費、エネルギーコスト等の上昇分を反映した調達価格となるよう、公共工事における公共工事設計労務単価制度を参考に、調達の対象となる資産・サービス毎に、デジタル庁と業種を所管する省庁などが連携して、発注者として標準単価を設定し、これに基づく公共調達を行うことを検討
  • 情報システムの公共調達においては、契約単価のデータベース化等により、再委託・再々委託先も含めた賃金の適正化等に向けて取り組む
  • 公共工事の発注者(地方整備局、都道府県、市町村、地方公社等)に対し、労務費、原材料費、エネルギーコスト等の取引価格を反映した適正な請負代金の設定や適正な工期の確保について、契約後の状況に応じた必要な契約変更の実施も含め、公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成 17 年法律第 18 号)の趣旨を踏まえて対応を図るよう周知
  • 民間発注者に対しても、同様の適正な請負単価の設定や適正な工期の確保を求めるとともに、毎年1月から3月までの「集中取組期間」において、国土交通省が請負代金や工期などの契約締結の状況についてのモニタリング調査等を実施
  • トラック運送業について、燃料サーチャージの導入等を通じて燃料価格上昇分が適切に運賃に反映されるよう、荷主企業等に協力を求めるとともに、貨物自動車運送事業法に基づく標準的な運賃の導入を促す
  • 国土交通省本省、地方運輸局等に相談窓口を設置する。荷主への働きかけ、要請、勧告・公表など同法に基づく法的対応を強化
  • 内航海運業について、荷主企業等に燃料価格上昇分の運賃への反映について協力を求めるとともに、相談窓口を設置し、来年4月から施行される改正後の内航海運業法(昭和27 年法律第 151 号)に基づき、対応が不適切な荷主への勧告・公表を実施
  • 「期間限定価格」等と記載し、表示された期間内に限り安い価格で販売しているかのように表示しているが、実際には表示された期間後も同じ価格で販売していること、「追加料金不要」等と記載し、オプションサービスを追加した場合であっても追加料金が発生しないかのように表示しているが、実際には追加料金が発生する場合があること、店頭看板等において誰でも表示された安い価格で購入できるかのように表示しているが、実際には表示された価格で購入できるのは有料会員のみであること、など、一般消費者に対して、実際のものよりも著しく有利であると誤認される表示については、有利誤認表示として不当景品類及び不当表示防止法(昭和 37 年法律第 134 号)上問題となることを周知徹底
  • 「スタートアップとの事業連携に関する指針」(令和3年3月、公正取引委員会・経済産業省)を策定、この指針にのっとり、新たに、下請代金法の適用対象とならない大企業とスタートアップとの取引について、5,000 件程度の書面調査を実施
  • 調査の結果、
    – 秘密保持契約(NDA)を締結しないままでの営業秘密の開示の要請
    – 秘密保持契約に違反して、スタートアップの営業秘密を活用した競合商品・役務の販

    – 共同研究の成果に基づく知的財産権を大企業のみへ帰属させる契約の締結の要請
    をはじめとする「優越的地位の濫用」が疑われる事案については、立入調査を行うとともに、関係事業者が自主的な検証・改善に取り組めるよう、具体的な懸念事項を明示した文書を送付
  • パートナーシップ構築宣言の拡大・実効性強化を図る
  • 宣言企業については、全社に書面調査を実施し、宣言内容の実行状況をフォローアップ。取組の好事例については、これを周知
  • 事業再構築補助金、先進的省エネルギー投資促進支援事業など5つの補助金については、それらへの申請に際し、パートナーシップ構築宣言を行っている企業に対しての加点措置を実施しているが、その対象範囲を全省庁の補助金に拡大することを検討
  • 実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する具体的な取組を取りまとめている「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(平成 30 年9月、経済産業省)において、パートナーシップ構築宣言が望ましい取組であることを示す
  • 優越的地位の濫用に関する執行を強化するため、公正取引委員会に「優越的地位濫用未然防止対策調査室」を新たに設置するとともに、体制強化を図る
  • 下請取引の監督を強化するため、現在 120 名の下請Gメンの体制を来年度から倍増させ、年間1万社以上の中小企業の現場の声を聴取
  • 賃金引上げなど労働条件向上に向け、労働基準監督署に労働条件向上相談窓口(を設置するとともに、体制強化を図る
  • 各種のデジタル技術、デジタル関連サービス等の発達を背景に、さまざまな事業分野において寡占化が進む中、垂直的な取引の適正化について、より正面から取り組んでいくため、「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」(平成 22 年 11 月、公正取引委員会)の策定以来の運用実績や、近年の諸外国における「買いたたき」等に対する考え方も参考にし、「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」の改正を検討

以上、様々な業種、様々な角度で、報酬の適正化が取り組まれていくことが見込まれます。

 

 

 

 

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