今回ピックアップする書籍は、文響社より出版された、「漫画バビロン大富豪の教え」です。
タイトルだけで引いてしまう人もいるかもしれませんが、内容は極めて全う。そして、働くこと、資本を活用することの意味を再認識させてくれる良著で、「前回紹介した、土井英司さんの『人生の勝率』の高め方、このブログでは取り上げていませんが、motoさんの「転職と副業のかけ算」同様、ヒットしていく作品だと個人的に思っています。
「漫画バビロン大富豪の教え」の良さを一言でいうと、「堅苦しく時代がかかった文体の原著を、あらゆる世代に読みやすく、現代にも適用できるように再構築した」ところにあります。
「漫画バビロン大富豪の教え」がヒットしている3つの要素
新聞で増刷の広告を見たり、書店のコーナーで目立つところに置いてあったり、amazonのジャンル分類で1位を取っていることから、既にこの書籍がヒットしていると言えますが、以前にも何度も原著のリメイク版がつくられたり、漫画版も出版されていました。
ただ、今回の場合は、3つの要素が相まって、かなり売れるのではないかと感じています。
その3つの要素とは、
- 消費者に、資産構築・防衛の機運が高まっているなど、時流に沿ったタイミング
- 極力文章を凝縮し、漫画主体にした読みやすい展開
- 古代のエピソードを現代に通用するよう翻訳している
という点です。
消費者に、資産構築・防衛の機運が高まっているなど、時流に沿ったタイミング
2019年10月からの消費税増税、一時期話題になった「老後2,000万円問題」、また金融機関・保険会社の一部は、老後に1億円、もしくは数千万円が必要と喧伝していること、業種による給与の伸びの異なりなどで、消費者には、「節約・資産を守る、資産を築くこと」に対して、敏感になり、財布のひもを締めています。
当書籍で語られる、10分の1貯金のエピソード、なぜ同じ人間でも富める者と貧しい者がいるのか、どのようにお金を働かせるか、欲望に順位をつけるなど、当書籍が初期の主眼としているのが「貯蓄と自分を最大の資本にすること」は、
「これからに備えなくては、でもどうすれば?」
という疑問に対する、有用なヒントを示しています。
また、10分の1貯金(担当者はそれ以上を、配偶者の強い意向により貯金に回していますが・・)の有用性や、「貯め」をコツコツ積み上げることによる自信、生命保険や携帯電話の見直しなど(+本書には書いていないですが、嗜好品のカットなど)で、大きな節約ができます。
例えば、携帯電話の見直し。
担当者はSIMフリーのiPhoneにUQMobile(いわゆるMVNOと格安SIMと呼ばれるもの)、配偶者は3大キャリアを利用しています。
私の場合は機種代・Apple Care Plusを2年でならして毎月約4,900円(以前のスマホが壊れるまでは1年半近く0円でした)に、UQMobileの請求分は、9GBの利用で月3,900円(14ヶ月目からは4,900円の予定)。機種代などとあわせても7,900円~8,900円で、以前の3大キャリアの時の毎月の請求が、付随サービスも含め16,000円近くでしたので、相当な固定費の削減になります。(ただし、紹介画面の下の方に、「14ヶ月目以降は+1,000円/月」と書いてあり、旧プランのため2年縛りもあるので、こういう小さいところほど、しっかり読むことも大切です)
例えば、担当者の例で考えますと、毎月16,000円近くの支払が約8,500円(14ヶ月目からの+1,000円値上げを加味)。
24ヶ月で考える(3大キャリアのスマホ返却プランを使わない)前提だと、16,000×24ヶ月=384,000円、現在のMVNOだと8,500×24ヶ月=204,000円。
2年間では約180,000円の節約が想定できます。
配偶者の場合は、月に1GBの利用もないですが、24分割の機種代込みで毎月11,000円を支払っています。もし担当者と同じように、7GBを超える利用をしていたら、月の請求額はおそらく14,000円~16,000円を超えるでしょう。
ただし、MVNOの場合は、サポート体制が各社まちまちであったり、利用側にある程度知識が必要であったり、会社によっては、スピード・接続性に難がある(社名は出しませんが、ある格安SIMの会社の場合、web・メール閲覧には問題がなくても、アプリ更新や購入した電子書籍のダウンロードは極めて遅かったです)場合もありますし、都市部では3大キャリアの方が安定しているという話もよく聞きます。会社勤めの場合は法人支給のスマホがあるので、仕事にはそちらを使えばよいですが、プライベートのスマホをMVNOに変更する場合は、自身のスマホの利用状況、業務でどれくらい使うか、通話の頻度なども考えた方がよいでしょう。
また、MVNO会社によっては、15日など日にちを区切り、お試しプログラムをしている会社もあるので、3大キャリアでSIMロックがかかっている場合は、所定の日数経過後、SIMロックを解除、お試しプランで実用になるかを試してから加入するのが無難でしょう。
また、保険・車・家なども大きな節約項目です。
保険であれば、「万一のための保障」の部分に、定期逓減特約という、一定期間まではこの額の保障だが、子どもが大きくなると、その分補償額を減らすことにより、保険料の支払額自体がある程度減るケースがあります。
車については、必要な地域、不要な地域の問題、趣味趣向がありますのでそれぞれ好みですが、逆に「任意保険は絶対ケチるな」、ということは強く主張します。対人・対物は絶対無制限。また物品でも、タイヤやドライブレコーダーなど、万一の時の備え、点検などは削ってはいけません。
また、大企業・公務員の場合、職域保険・共済などの形で、本人・家族が有利な条件で加入できる様々な生保・損保があるので、それを検討してみるのも大切です。
家に関しても、買うか買わないかは完全に個人の考えの問題ですが、「夫婦共働き前提の資金計画は避けた方がよい」ことと、1%に満たない金利の差が、35年スパンでは数百万、ときには1千万を超える違いになること、また、団信(団体信用生命保険・債務者の死亡時や重篤な疾病で働けなくなった場合、残債の返済が免除される)は絶対に入っておいた方がよい)と個人的には思っています。
参考までに、金利固定型のフラット35で、団信などを考慮せず、住宅ローン5,000万円を、35年、適用金利1.1%(1割以上の頭金が用意できる最低基準のケース)と適用金利2.13%(フラット35の2019年10月現在の最高基準)で比較してみました。
すると、
同じ5千万円の借入でも、金利が1.1%であれば毎月約14.4 万円、総返済額は6,027 万円、金利が2.13 %であれば毎月16.9 万円の支払い、総返済額は7,098 万円と、1.03%の金利の違いで、35年のスパンでは、1,000万円を超える差が出てくるわけです。
これに団体信用生命保険の保険料、その他諸費用がかかるわけですから、金利をいかに減らすか、または買わない、中古物件など安価な物件という選択をするかなど、家を建てる、マンションを買う場合は、金利に対しても敏感になる必要があります。
担当者が返済完了までの固定金利を推したのは、もし今後金利が上昇し、2%、3%、5%となった場合(ないと思いたいですが)の返済総額を見ると、恐ろしいなんてものではなくなるからです。
5,000万円の借入で2%なら総返済額は6,957 万円、3%なら、8,082 万円、実に3,000万円近くの金利を支払うことになります。
5%なら、10,599 万円と、借入額の倍以上を支払う・・・。
家やマンションを購入するか、金利いくらで借りるかが、長期的なスパンで見るといかに大きいかがおわかりいただけるでしょう。
というわけで、本書の話からは逸れましたが、月々の違いはさほど大きくなくても、年間や長いスパンで見ると、大きな金額になるということは強調したいと思います。
この時点で大分長くなりましたが、後ほど他の事項についても加筆します。