#ポツンと一軒家 の高視聴率にみる、穏やかなもの・ちょっとした共感が求められる時代の空気

仕事を終えた後、子供とポツンと一軒家を見てみました。

2020年1月5日放送分で、舞台は島根県の一軒家。

視聴率は、関東で19.5%、関西で20.7%と、この時代で20%を取る番組というのはなかなかないですが、地方民の立場から見ても、「あ、この番組は日曜の夜にちょうどいい番組だな」と人気があるのも頷ける印象を受けました。

 

なぜこの番組がヒットしているのかを、3つのポイントで考えてみました。

 

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穏やかで、家族全員で安心してみられる構成

ポツンと一軒家は、年配向けというイメージがありますが、意外と子供も好んでみます。

 

親の立場としては、穏やかな展開、ポツンとたたずむ一軒家に込められた先祖代々のストーリーなど安心して見せられる数少ないコンテンツです。(あと、鶴瓶の家族に乾杯も)

 

また、地方民としては結構当たり前に感じていることが、所さん、林先生などスタジオのコメンテーター陣のリアクションから見て普通ではないんだ、というところも多くあります。(田舎と都市のギャップを感じる)

 

日曜八時という、明日から仕事という時間に、ちょうどいい加減の番組のゆるさ・見やすさや、誰も笑いものにしない、傷つけない平和さが今の空気にマッチしているように感じます。

 

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こういうところでも人間は生活できるんだ、という意外性

コンビニ・飲食店が24時間オープンしている現在、コンビニ・飲食店なんてあるわけねぇ、最寄りの農協直営スーパーまで8キロ10キロ当たり前、という環境というのは相当珍しいです。

 

担当者の住んでいる地区も田舎ですが、それでもコンビニへは車で5分、スーパーも車で10分程度。(歩いての距離にコンビニはありません。徒歩30分くらい?)

 

ただ、コンビニやスーパーがなくても、食材は家の畑や田んぼで、肉はジビエ(11月15日~2月15日まで狩猟が解禁だそうです)をというのは、なかなか現代では体験できないでしょう。

 

担当者の家も、米・野菜は大体自家製ですが、友人と話をしていると、「食糧危機が来たときに自分の家で米や野菜が作れるのって強いよな」と言われます。

 

田舎には、東京カレンダーとは様々な意味で真逆の世界があります。

 

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市井に生きる一軒家の家族にスポットライトを当てた構成と、消えゆく限界集落への郷愁

ポツンと一軒家では、一軒家の家庭・ストーリーにフォーカスが当てられますが、人里離れたその地に生きる人にも固有のドラマがあるのだな、と感じる次第です。

 

また、今後一軒家どころか限界集落は、急速な勢いで消滅していく可能性があります。

そんな、消えゆく日本の山村に対するノスタルジー的側面もあるのではないでしょうか。

 

また、都市部の時間に追われる生活とは真逆の、スローライフに対する憧れを持つ方もいるかもしれません。

 

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毒のある番組から、緩くて穏やかな番組が好まれるようになった?

 

この番組に限らず、鶴瓶の家族に乾杯、孤独のグルメ、吉田類の酒場放浪記など、これまであった「トゲのある番組」だけなく、穏やかにゆったりと見られる番組が根強い人気を集めています。

 

こういう番組は、家族でみるのもよし(酒場放浪記はアレですが・・)、仕事が終わった後、出張先のビジネスホテルで用事が終わった後など、缶ビール片手に一人で見るもよし、とゆるい時間・刺激の多い現代からの束の間の逃避をかなえてくれるような、「ゆるい、ちょっとした共感」を提供してくれる、そんな存在と感じますし、今後もこういう、落ち着いた番組は求められていくのではないかと思います。