Netfilx対Youtube Premiumだけではない、前向きな消費と不便を避ける消費

前回の記事で触れた、NetfilxとYoutube Premiumの課金に対するスタンスの違いに限らず、受け入れられる様々なサービスは、快を得る要素、楽しみを得る要素か、不快を避ける要素のどちらかを強く備えています。

 

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電車・飛行機によるサービス

一つの例として、電車・飛行機によるサービスで考えてみましょう。

 

電車であれば、長距離移動におけるグランクラス・グリーン車は「快適性を得るサービス」ですし、JAL、ANAなどの国内における「ファークストクラス・プレミアムクラス・クラスJ」や「海外のビジネス・プレミアムエコノミー」などは普通席と異なる快適な座席、食事などの特別なサービスを体感できる「快」を体言化したサービスです。

 

一方、飛行機であれば、LCCは基本料金が安価な分、荷物量・座席・食事様々な制限があります。様々な制限を取り払うという意味では、「不快」を避けるサービスを別料金で提供していると言えましょう。

 

鉄道であれば、最近は通勤時間帯向けの座れる列車や、近距離でのグリーン車を打ち出す関東近郊の鉄道会社も増えました。

 

こちらは、通勤ラッシュを避け、仕事に専念したい、休息を取りたいなどの不快を避けるというニーズにに着目している印象があります。

 

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「予防」というビジネスのフックの限界

人間は、「快を得るためか、不快をさけるため」にお金を消費する傾向が強いという観点を考えると、「予防」「保険」など、防ぐ・いざというときの対策というのは、どうしても後回しにされがちです。

 

最近のコロナウイルスの流行のように、危機が顕在化すると、一気に予防(2020年2月初頭現在であれば、マスク・消毒ジェル・ウイルスの除去をうたう空気清浄機など)分野のアイテムでも一気に売れ、時に市場より高い値段がついてしまうことがあります。

 

しかし、特に何もない平時においては、「予防」というのは後回しにされがちです。

(自営業・フリーランスの人間ドック・健康診断など・・・)

 

また、虫歯にならないと歯医者に行かないと言う人も少なくないでしょう。

 

一方で、特定の重い病気になると、効果に対して医学的なエビデンスが存在しない、グレーな高額商品でも、「本人の気が弱ってしまう」「なにかにすがりたくなる」「ともかく治したい」などの一心で、大きなお金を出してしまいます。

 

ただ、「人間は健康を失って初めて健康のありがたみを実感する」という旨のことがよくいわれるように、なにか問題が顕在化していない時点では、予防には目を向けにくいものです。

 

もし「予防」「事前対策」などに関わるビジネスに関与している場合は、そういう人間の性質に目を向け、「気軽に」、もしくは「会社の健康診断などシステム的に」利用させる手法などをとることが大切かと思われます。

 

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快のビジネスの代表

人間がお金を支出しやすい、快のビジネスの代表といえば、「旅行」「ディズニーランド・USJなどの観光施設」「コンサート」「フェス」などのエンターテインメント分野でしょう。

また、「新築の家を建てる、マンションを購入する、車を買う」なども、快に分類できるでしょう。

 

FUJI ROCK FESTIVALであれば、富士山の山の中にテントまで持ち込み、時には雨に打たれながらも、参加者が好きなアーティストのライブを楽しみます。

 

ディズニーランド・USJも、「楽しみ」を得るために行くものです。(USJのファストパスは、「待ち時間という苦痛」を避けるための消費ですが・・・)

 

また、現在はブームが落ち着いてはいますが、AppleのiPhone・iPad・Apple watch、Airpods(Pro)なども、製品を手に入れ、開ける段階からの高揚感も含め、楽しさがあるといえます。

 

このように、「楽しい」のための支出は、お金を出す側も前向きで、比較的高額な金額でも、自分や家族が納得できれば出してしまいます。

 

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不快を避ける(もしくはやむを得ず行う)ビジネスの代表

一方、不快を避ける、もしくはやむを得ずお金を出すということに対しては、多くの人が「できるだけ安いコストで行う」「納得できない場合は他の方法を探す」など、価格下落の圧力や、顧客・クライアントの、「仕方がないけれど・・」という心理を汲まないといけません。

 

例えば、葬儀はその典型例でしょう。

 

以前はきちんとしたお葬式を挙げることが、故人への配慮も含め重要に考えられておりました。今もきちんとした葬式を行おうという遺族がいる一方、遺族がいない、故人の遺志など様々な理由で、簡素な葬儀や、時には直葬(通夜・告別式を行わず、納棺後すぐに火葬)を行うケースも増えています。

公正取引委員会の、葬儀の取引に関する実態調査報告書(平成29年3月22日)によると、

 

葬儀業の市場規模は平成27年において約1兆7800億円と見込まれ,漸増傾向が続いている。
死亡者数は,平成26年において約127万名であり,過去10年間でおよそ25%増加している。今後も増加傾向は続き,平成51年には約167万名と,ピークを迎えることが予測されている。

 

と、絶対数の増加は予測されるものの、

 

従来型の「一般葬」が減少傾向にある一方,「一般葬」に比べ,参列者数が少ない,葬儀日数が少ない,葬儀費用を低く抑えることができるといった特徴を有する「家族葬」,「直葬」等が増加傾向にある。葬儀の取扱件数は死亡者数の増加に応じて増加するものの,葬儀1件当たりの売上高は減少傾向をたどることが考えられる。

という記述があり、今後の傾向・現在の国民の経済状況、などを考えると、今後も簡素な葬儀、家族葬、直葬などのケースは増えていくと思われます。

 

快を得る消費、不快を避ける消費については、また機会があれば、もう少し掘り下げたいと思います。