オンライン時代だからこそ注意したい、契約書に潜むトラップと契約書トラブルを防ぐこつ

ビジネスに関しては、業務の根幹となる契約書の締結も含め、あらゆる手続きがオンラインで行われる状況にシフトしています。

 

しかし、紙ベース契約書と違い、オンラインの契約書になると、「印刷した書面を読み、署名・捺印」というプロセスが必要ないのが原則で、どうしても契約書チェックが甘くなってしまいがちです。

 

また、ローカル企業や小規模企業、一部業種などでは、昔からの慣習やこれまでの信頼などで、契約書を締結しないケースも多くありますが、今後はローカルではなく、区域外(時には海外)との契約が増えるケースも出てきます。

 

その際、契約書を相手から差し出された場合、ほぼ間違いなく、契約書は相手に有利なようにできています。

 

ビジネスという観点で考えると「自社の利益になるように作成する」のは当然のことですが、相手側の企業としては、何かあったときに不利になるのは自分の側となります。

 

銀行の金銭消費貸借証書、不動産の賃貸契約書のように業界内のひな形が決まっており、交渉の余地がない契約書もありますが、企業間が任意で結ぶ契約書の場合、事前のチェック(リーガルチェック)も含め、「交渉」という形が、双方の落とし所をつけることもできます。

 

ただ、契約書に関し専門的な解説を行うと、相当なページ数になってしまうため、今回はローカルビジネス・スモールビジネスだからこそ抑えておきたい、経営者・総務担当者にとって重要な契約書のごく基本部分をまとめました。

 

今回は、契約書チェックという注意点で、特に先方から差し入れられた契約書を確認する際に注意したい点と、契約書締結後のトラブルを防ぐための要点をまとめました。

また、今後反応に応じて個別記事で、契約書の基本事項なども書く予定がありますが、今回に関しては、契約書のごくごくシンプルな部分に絞って話をします。

 

なお、参考書籍として、「契約書式の作成全集 自由国民社」をベースに、よりかみ砕いて説明します。

 

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記事のサマリー

  • 契約書を結ぶことの基本的な意味がわかる
  • 契約書締結のチェックポイントや、専門家・専門サービスの活用の必要性がわかる
  • 先方から差し入れられた契約書を、必ずしもそのまま受け入れてはいけない、交渉の必要があるケースがわかる

 

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契約書を締結することの、基本的な意味とは?

そもそも、契約書をなぜ結ぶのか?という部分からシンプルに話をしていきましょう。

契約というのは、多くの方がご存じの通り、「口約束」でも成立します。これは、電話・メール・チャット・LINE・対面などです。

例外として、

  • 農地の賃貸借契約など農地法(農地法二十一条 契約の文書化他)など、各関係法令の絡みがあるケース
  • 割賦販売、訪問販売、連鎖販売(ネットワークビジネスという名のマル・・・)、特定継続的役務提供(エステ・語学・学習教室)など、過去にいろいろと問題を起こしたビジネスに縛りをかけるケース
  • 借地借家法に基づく一部の賃貸借契約(例えば取り壊し予定の建物の賃貸借契約など複数)

のように、あらかじめ契約書を作ることを義務としているケースもあります。

 

ただ、それ以外の場合は、契約書を作成するか、口頭でいうかは自由です。

本来であれば、極力契約書を締結するのが理想です。

 

特に、後で何かの争いになったとき、「証拠」が、特に電話・対面の場合は残りにくいですよね。

もちろん、スマホ・ICレコーダーで録音するなどの方法はあったとしても、いつもスマホ・ICレコーダーで録音しているとは限りません。

 

メールやLINEなどの文字で残るコミュニケーションツールは、履歴がきちんと残りやすいですが、それでも、契約書に比べると、連絡した部分以外の点が曖昧になるなどの課題があります。

 

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契約書は、お互いが記名・押印しているから価値がある

契約書というのは、口約束やメールのやりとりと違い、

  • 具体的な内容も明確にした書面が存在する
  • お互いが記名(署名)・押印しているから、言った言わないや知らなかったがない
  • 何かあったとき、どう解決するかの落とし所も含め設定している

という点で、契約者の双方にとってとても便利です。

また、契約上のトラブルを防ぐ意味では、どこまでが契約上の義務の範囲なのか、契約先に対してどこまで権利を主張できるかを契約書の中に落とし込んでおく必要があります。

 

ただ本音として、99%の人が思うことでしょうが、

契約書を読むのは面倒くさい!ましてや作るのなんて無理!

というのが偽らざる本音かと思います。

 

これは、よほどのあら探しマニア(ここでは褒め言葉です)でない限り、数ページ、ましてや数十、数百ページの契約書を読むことは面倒です。

 

自分の事例に置き換えてみると、携帯電話を契約するとき、「契約のあらまし」は目をとおしても、約款の細かい部分に関してまで読み込む人がどれだけいるでしょうか。

 

また、金銭消費貸借証書(住宅ローン・マイカーローン・カードローン)や、住宅建設の契約書、賃貸借契約の契約書などは、先方の説明を聞いていても、きちんと本当に注意をして聞く人は少数かと思います。

 

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諸外国では、契約・契約書に関して極めて厳密な国が多い

今はCovid-19の関係で海外とのビジネスが限られる状況ですが、海外とビジネスをする場合においては、契約書がより重みを持つケースが多いです。

 

日本マクドナルド・トイザらスを日本に持ち込んだ藤田田氏は、自著「ユダヤの商法」で

 ユダヤ人は ”契約の民” といわれている。それだけに、ユダヤ商法の神髄は『 契約』にある。 ユダヤ 人は、いったん契約したことはどんなことがあっ ても破らない。それだけに契約の相手方にも契約 の履行は厳しく迫る。契約には甘えもあいまいさも許さない。

藤田田. ユダヤの商法(新装版) (ワニの本) (Kindle の位置No.502-505). KKベストセラーズ. Kindle 版.

ユダヤ人が契約を破らないのは、彼らが神と契約しているからである。神様と交わした約束であるから、破るわけにはいかないのだ。「人間同士の契約も、神との契約同様、破ってはいけない」 ユダヤ 人はそう言う。それだけに、債務不履行という言葉は、ユダヤ商人には存在しないし、相手の債務不履行に対しては、 厳しく責任を追及し、容赦なく損害賠償の要求をつきつける。

藤田田. ユダヤの商法(新装版) (ワニの本) (Kindle の位置No.508-511). KKベストセラーズ. Kindle 版.

と、契約書の重要性を数十年も前に説いていました。(他のエピソードは下記のリンクより)

昭和・平成を席巻した起業家・藤田田氏の著書「ユダヤの商法」を令和に読む

 

人種を問わず、欧米など海外では、微に入り細に入り、契約条項が存在するケースが多いです。

 

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契約書を作成・締結する際の、チェックポイントや専門サービスの活用性の大切さとは?

契約書を作成する際や、チェックする際の注意点を逐一提示すると相当な量になりますので、最低限のチェック事項を箇条書きにしてみましょう。

  • 契約書は全文目を通し、違和感を感じる条文があれば、先方なり、弁護士による契約書のリーガルチェック、もしくは、後述の契約書チェックサービスでチェック
  • 一見どんな好条件に見えても、契約書に即押印を迫る取引先であれば気をつける。契約書の不利な条項をばれたくない、ともかく契約を取ってしまいたいなど、完全に自分本位
  • 契約では概要だけでなく、小さい部分や、各条項の部分(特に後半部)こそ注意。相手側(つまり自社)にとって不利な条項は、小さい部分や契約書を読み疲れてくる後半や最後尾に紛れ込ますケースも、考えておくべき
  • 他の法律に抵触する条項や、あいまいな状況、公序良俗に反する条項は付加しない
  • 契約書の修正を拒否する取引先とは注意して関わるか、取引をしない

契約書は、誰もが「そんなのめんどくさいよ」と言いたくなるかと思いますが、全部目を通し、明らかに違和感がある部分については、先方に「これはどういうことか」「条項の変更や削除の提案はできないか」を提案してみましょう。

 

ただ、やはり経営者側から言うより、「弁護士のリーガルチェックを受けて、下記の指摘があったのですが・・」と提案したり、詳しくは後述しますが、「AIによる契約書チェックサービスを利用し、下記のような指摘があったので、この点に関しては変更できませんか」など、第三者や外部サービスの指摘を盾にして、契約書の変更をお願いする方が、相手も受け入れやすいでしょう。

 

「私や総務部門が読んで、ここはおかしいと思った」と提案するより、「専門家や専門サービスがこう指摘しているんですから、変えませんか」と言った方が、トゲがありません。

 

契約書を作成する場面においては、弁護士に依頼する前段階として、「ひな形集」やAI-CON契約書のような契約書チェックサービスを使うことも、小規模なビジネスにおいては否定しません。あれこれ、弁護士などの専門家に頼らなきゃ・・・など悩むより、もともとある様式や、弁護士にチェックをお願いするまでもない契約は、ひな形集やAIによるリーガルチェックサービスに任せた方が、経営者・総務担当者の負担が圧倒的に減るからです。

 

また、AI-CON登記のように、登記書類の作成など、契約以外の法務のバックオフィスを担ってくれるサービスもあります。

簡単!AI-CON登記で登記変更書類を作成

積極的にバックオフィスに関しては、専門のSaaSを利用するということも大切です。

 

顧問弁護士をつける余裕ができたら、顧問弁護士とSaaSの併用など、重要な局面では弁護士のリーガルチェックや契約書作成、そこまでの余裕がない場合は、AI-CONなどAIを活用したチェックサービスなど、SaaSの活用を積極的に行うのが望ましいでしょう。

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