親(母親)のペインポイントから見る、現状の不満と新規ビジネス

親(特に母親)の感じている不便・不満を分類すると?

 

前回の記事では、経済産業省とボストン・コンサルティング・グループにより2017年3月に作成された「日本の中長期ビジョンの検討に関する調査」について、概要をまとめました。

 

経産省とBCGの「日本の中長期ビジョンの検討に関する調査」から見える、未来のトレンド

 

この報告書には、P146に「日本における主体別のペインポイント(例)」という記事があります。

上記の記事にリンクを張っておりますが、430ページ近くのボリュームがある表ですので、PCなどPDFを閲覧しやすい状況であれば、表を参考にしながら、ご覧いただけると幸いです。

大変興味深い内容で、今後新規ビジネスを考えたり、既存の業務・周辺領域で痛みの部分をカバーできないか、という発想のヒントになる部分もあるかと思います。

今後5記事にわたって、主体別のペインポイントについてピックアップし、また、現在の状況や記事作者の見解も含め、表に標記されている以外のペインポイントも含めます。

 

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親(母親)のペインポイント(不便・不満・不安など)

まず、親の立場におけるペインポイントを引用します。

 

生活環境

  • 部屋が狭い
  • 生活費が高い
  • 近所付き合いがおっくう
  • ゴミの分別が面倒
  • 家族団らんの時間がない

 

 

介護

・親の介護が大変

 

 

保育

  • 産休・育休が取れない
  • 養育費が高い
  • 保育園が少ない
  • ベビーシッターがいない
  • 育児の相談相手がいない

 

このように、様々なペインポイントがありますが、他にも思いついたものを挙げていくと、

 

お金の問題

  • 子どもの教育費が心配
  • 節約・家計簿をつけるのが大変
  • 自営・フリーランスの場合、妊娠・出産で仕事がしんどくなる・できなくなる時期があり、産休・育休もない
  • (地方の場合)都市部の大学に進学させるのに下宿・仕送りなど出費がとても大きい

 

夫婦それぞれのキャリアの問題

  • 夫婦のキャリアと子育ての両立
  • 特に男性が育休を取りにくい、取ると会社によっては出世しにくくなる
  • どちらかが居住地を伴う転勤をすると、ワンオペ家事になる可能性が高い
  • せっかくキャリアを築いてきたのに、マミートラック(パピートラック)に乗ってしまい、キャリアと収入がダウンする
  • 保育園・幼稚園に通う子どもの発熱時、共働きで頼れる人がいないと、どちらかが仕事を切り上げて急に迎えに行かないといけず、仕事に影響が出る

 

家事の問題

 

  • 食事の献立を考えるのが大変
  • 家事で時間・体力の負担がかかる
  • 外に出ての買い物が、特に子どもが小さいときは大きい負担になる

 

人付き合い・行動範囲・体力・アイデンティティなどパーソナルな問題

 

  • ママ友との付き合いがしんどい
  • ○○ちゃんのママ(パパ)になってしまう
  • 妊娠・出産で相当な体力の負担・痛みを伴う
  • 専業主婦(主夫)だと交流範囲が限られてしまう
  • 美味しいレストランには行けず、いつもファミレスなど、子ども連れでも無難なところになる
  • 飛行機・電車に乗ったり、車での長距離移動で静かにさせるのが大変
  • 主婦(主夫)仕事は、やって当たり前と思われ、承認欲求が満たされない

 

教育の問題

  • 他の同じ月齢の子どもと、成長具合を比べて、不安になってしまう
  • きちんとした中学・高校・大学に通わせたい
  • 特定の習い事を習わせたい
  • 子どもに英語などで異文化交流をさせたい

 

など、ペインポイントをあげるとまだまだありますが、問題なのは、

 

  • 「当事者が解決するのが望ましい領域」
  • 「公的機関が担うべき領域(重要な役割だけど、マネタイズしにくい)」
  • 「民間としてビジネスが成立する領域」

 

を仕分けて、

 

「民間としてビジネスが成立する領域」で、

「当事者が痛みを感じており、お金を払ってでも解決したい」、

かつ、「当事者にそのお金がある」(もしくは、公的機関・家族・第三者が支出してくれる、もしくは当事者からお金をもらわなくてよい別のキャッシュポイントがある)

 

という3条件を満たして初めて、参入するかどうかというところでしょう。

 

例えば、「育児の相談相手がいない」という悩みですが、都道府県などの自治体や、一部クレジットカードなどで「育児や子どもの病気時の24時間無料相談」など、既にソリューションはあるが、当事者まで届いていない、もしくは純粋に近くに「育児で相談できる人がいない」など、マネタイズにつなげにくい痛みの部分もあります。

 

他にも、介護は完全に公的領域、生活環境は「住む場所・職場・働き方を変えるしかない(リモートワークという方法もメジャーになってきましたが)」、養育費が高い、保育園が少ない、はこれも公的領域の部分になります。

 

シッターや家事代行、また食事の宅配サービスなどについては、近年様々な事業者が出てきています。

また、全自動洗濯乾燥機・自動食洗機・自動調理家電・ロボット掃除機など、仕事時間の捻出や家族団らんの時間を作るための「時短家電」へのニーズも高まっています。

 

ただ、全体を通して、親のペインポイントに対して参入できるわかりやすい領域は、教育・習い事や代行業・キャリアコンサルティングなど、限られる印象があるかな、というのが現時点での印象です。(より深く考えたり、市場テストを行うと、また違ったものが見えてくるかもしれません)

 

ただ、個人の複業やスモールビジネスというレベルで考えると、

 

  • 節約
  • 貯金術
  • 時短
  • 子育てノウハウ
  • 料理(最近よく見るのはレンジを使った時短系。その逆でキャラ弁も?)
  • 時短メイクテク
  • 父親向けの子育てノウハウ

 

などを発信していくなど、情報に対するニーズなどはあるかと思います。(ダイエット法が手を変え品を変え出るように、節約術・家計簿・料理など、いろいろな方法が出てきます・・・。課題は、それをどのように発信しマネタイズするかです)

日本のペインポイント(課題・痛み)まとめ