脱ハンコがさけばれている現在ですが、今でも不動産取引・重要な契約など、ハンコを押印する取引は多く残っています。
今後は、行政改革担当・内閣府特命担当大臣を担う河野太郎大臣がリーダーシップを取って、ハンコを押すという手続きはどんどん減っていくかと思います。(署名でOK、電子契約の推進など)
ただ、現状重要な取引(契約書・不動産関係・金銭消費貸借証書・保険契約など)に関しては「実印+印鑑証明」、賃貸借の軽微な取引の場合は認印を押さないといけないケースが多いです。
今回は結構ありそうな事例として、
- 不動産の物件を借りる契約(いわゆる賃貸借契約を行う)
- 夫婦間で家族に話がなく、本人とその親
- 署名は本人だが、ハンコを押したのが家族や宅建業者自身の場合はどうなるのか
- 子どもや配偶者など他の家族に説明や内覧をさせておらず、理解を得ていない場合はどうなるのか
という点について、国土交通省本省の不動産業課適正取引係に確認してみました。
あくまで、これは賃貸借契約の場合、と前置きをした上での、先方の回答です。
- 家族等の納得がなくても、契約者と事業者がお互い納得していれば有効な契約
- ハンコを押したのが本人かそれ以外に関しては、管轄官庁が関与するものではない
- 仮に、本人が押印せず、宅建業者にハンコを押してもらった場合でも問題はない
- 家族等への説明は特に問われるものではなく、あくまで貸主と借主の個人、双方の合意があれば成立する物
- 契約の不備・無効をもし争う場合は、裁判などに持ち込むことになる
賃貸借契約・その他の契約がクーリングオフできると誤解している人は、以外に多い
クーリングオフ(法定書面を受け取った日から8日以内に、契約を解除できる)制度がかなり広まっていますが、よく世間では、何でもクーリングオフの対象になると誤解している人が意外と多いです。
国民生活センターに呈示されている、クーリングオフOK/NGの契約を列挙してみましょう。
クーリングオフ対象の取引
- 訪問販売(キャッチセールス、アポイントメントセールス等を含む):8日間
- 電話勧誘販売(テレアポ):8日間
- 連鎖販売取引(マルチまがい商法・ネットワークビジネス):20日間
- 特定継続的役務提供(エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービス):8日間
- 業務提供誘引販売取引(内職商法、モニター商法等):20日間
- 訪問購入(業者が消費者の自宅等を訪ねて、商品の買い取りを行うもの):8日間
(上記販売方法・取引でも条件によってはクーリング・オフできない場合も)
これまでにいろいろ問題が起こった業種が8日間、特に社会問題を引き起こした(起こしている)業種は20日間のクーリングオフ期間が設定されています。
訪問購入の場合、クーリング・オフ期間内は、消費者(売主)は買取業者に対して売却商品の引き渡しも可能です。
クーリング・オフ期間は、申込書面または契約書面のいずれか早いほうを受け取った日から計算されます。書面の記載内容に不備があるときは、所定の期間を過ぎていてもクーリング・オフできる場合があります。
よく訪問販売のリフォーム業者が、契約書を交付しなかったことで、特商法違反で逮捕され新聞沙汰になることがあります。
なお、金融商品や宅地建物の契約等でもクーリング・オフができる取引があります。(自分で事務所に訪問した場合はNG、呼び出しを受けた場合はクーリングオフができるケースもあるが、業種による。賃貸借契約はNG、売買の場合はクーリングオフが場所によっては可能)
加えて、賃貸借契約は、クーリングオフの対象外になります。
そして、契約したが、家族が物件を見て、「このマンション・アパート」嫌だ!と言っても、一度署名捺印し、契約のハンコを押した以上は、違約金(解除料)を払うことになりますし、貸主さんにも迷惑をかけることになります。
そのため、
- 賃貸借契約を行う前には、家族(子どもも含めた)と一緒に行き、納得を得るようにする
- 賃貸借契約はクーリングオフできないと心得る、中途解約の場合は、違約金で数十万を支払うことになっても文句は言えない
- 宅建業者の重要事項説明(重説)、その他契約に関するあれこれは、きちんと読み込み、わからなければ質問。サインをしたら基本引き返せない
という点に注意して欲しいと思います。